時間に余裕のある夕方。たまには中華料理をきちんと作ってみようとレシピサイトを開いたが、豆板醤(トウバンジャン)以外が冷蔵庫になくて撃沈した。
甜麺醤(テンメンジャン)? ない。そして、コチュジャンもない…。
なかなかすべてがそろった冷蔵庫もないとは思うが、筆者の認識では豆板醤がなんとなく辛い程度。甜麺醤とコチュジャンはとっさに味の想像ができなかった。これらの違いは一体何なのか。
【食べ物雑学】豆板醤(トウバンジャン)、コチュジャン、甜麺醤(テンメンジャン)の違いって?
【雑学解説】なんとなく一緒かと思ったら、かなり風味が違う調味料
これらの調味料を一緒にしていると、きっと中華料理・韓国料理好きに怒られてしまう。それほど風味が違うし、何なら原産国も異なるのだ。
まず、すべてについている「醤(ジャン)」とは日本語でいう味噌のこと。ペースト状で料理の味つけに使う調味料といった位置づけで、味噌同様に発酵食品である。とっても体にいい調味料なのだ。
それぞれの名前は「原料+ジャン」という法則でつけられている。
豆板醤(トウバンジャン)
豆板醤は中国発祥。その味の特徴は「辛さ」! ピリッと辛い、そのまま舐めたら大変な唐辛子ベースの調味料である。
主な原料はそら豆が中心で、大豆や米・ごま油・塩などを加えて発酵させ、最後に唐辛子で辛みを強調する。ピリ辛な中華料理、特に激辛で有名な四川料理には欠かせないので、麻婆豆腐や担々麺に使うことが多い。
コチュジャン
コチュジャンは韓国発祥。豆板醤に比べると辛みがまろやかで、唐辛子のほかにもち米の麹が使われている。
原料であるもち米麹の甘みがきいた甘辛い風味だ。辛いだけではないので、強すぎる辛さが苦手な人でも食べられる。ビビンパやダッカルビなどの韓国料理によく使われている調味料である。
甜麺醤(テンメンジャン)
甜麺醤は中国発祥。複雑でコクのある甘みが特徴で、意外なことに辛みはまったくない。濃い赤茶色をしていて、トウガラシは入っておらず、主な原料は小麦粉である。
激辛四川料理に「うまみとコク」を出すための隠し味に使われたり、ホイコーロー・北京ダックのタレなど甘めの味つけに使われている。
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【追加雑学】他の調味料で代替できるの?
すべてが「醤=味噌」なので、味噌をベースに再現すると失敗が少ない。もしあるなら甘みとコクが特徴の八丁味噌が最適なのだが、普通の味噌でももちろん可能だ。
冷蔵庫に豆板醤だけはある! という場合、そこに甘みを足してやるとコチュジャン風になるので便利だ。砂糖・味噌を好みの量で足して甘辛さを調節する。
また、味噌に唐辛子を多めにいれ、ごま油で風味をつけると豆板醤の代わりになる。塩気が足りなければ、しょう油を足してみよう。
甜麺醤は辛みがないぶん味噌で再現するのが簡単だが、ここはできれば八丁味噌が欲しいところだ。辛みより複雑な甘みとコクがある調味料なので、八丁味噌に砂糖やしょう油・ごま油・ショウガを加え、水で溶きのばして火にかけて煮詰めよう。
唐辛子を使っていない甜麺醤なら、自宅でも簡単に再現可能!
甜麺醤をおいしく手作りしたいなら、八丁味噌(赤味噌)さえ用意すれば簡単に本格的な風味を再現可能! 焦がさないように注意して作り置きすれば、炒め物やタレまで使える万能さにとりこになるかもしれない。
雑学まとめ
そもそも本格的に中華料理を作ろうとしているのに、調味料類を軽く考えていた筆者は甘かった。豆板醤さえあればイケる! と思っていたが、ぜんぜん別物の風味のようだ。
豆板醤、コチュジャンはたっぷり唐辛子が入っているし、甜麺醤も発酵食品。蓋を開けても冷蔵庫で清潔に保管すれば、相当長く保存可能である。炒め物などに使えば残る心配もいらないので、風味の差を味わいたい方はぜひ3種類をそろえてみよう。