子どものころは「待ちに待った大晦日!」という感じだったのに、大人になった今は「もう年末か…」とため息をついている。なんだか少し寂しいが、年を重ねるごとに時間の感覚は驚くほど変わってしまうものだ。
大人になってからのほうが長く感じるという人や、別に子どものころから変わらないという人には、今のところ会ったことがない。この感覚はどうやら、誰にでも通じる不変のものらしい。
そう、19世紀フランスの哲学者がひとつの法則として名前を付けたように…。え! 名前あるの!? 今回は、そんな人間の時間感覚の変化に関する雑学だ。
【人体雑学】年をとると時の流れが早くなるように感じる現象を「ジャネーの法則」という
【雑学解説】ジャネーの法則!人の時間の感じ方は感情や人生経験に左右される
年を重ねるごとに時間の流れが早く感じるようになる現象は「ジャネーの法則」といい、19世紀フランスの哲学者ポール・ジャネが発案したものである。
ジャネーの法則は、もちろん実際に時間の流れが早くなっているというものではなく、人生経験や感情の変化によって、その感じ方が変わることを意味する。
要するに感じ方の問題で、「10秒後にストップウォッチを止めたら、大人だけが8秒を示した!」などという物理的な意味ではない。大人になったって1日は24時間。1年は365日である。
たとえば大学で90分の講義を受けたとして、講義中の時間の感じ方は受けている生徒の感情によってそれぞれ違うはずだ。
「今日の講義めっちゃおもしろい!…って、もう1時間も経っちゃったの!?」という人もいれば、「全然興味ないし、早く終わらないかな…え! まだ1時間しか経ってないじゃん!」という人もいるだろう。
同じ1時間でも前者は30分ぐらいに感じているし、後者は1時間半ぐらいに感じている。この心理的な時間感覚の違いがジャネーの法則なのだ。
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年を重ねることで早くなる時間の感覚は人生経験から
上記は感情による時間感覚の違いだが、年を重ねて時間の流れを早く感じるようになるのは、人生経験からくるものである。地図を見ながら探り探り辿り着く道のりは長く感じるが、一度通ってしまえば帰りは短く感じるあの感覚といえばわかりやすいだろう。
終わりの予測が付けば短く感じるということか、1年の流れもだいたいのイベントを経験していればその分短く感じるようになる。
ジャネーの法則は発案された後年、ポール・ジャネの甥っ子にあたる心理学者ピエール・ジャネによって数値化もされており、彼は時間の感覚は年齢に反比例して短くなっていくと定義した。おおざっぱに考えて「1年の体感時間=年齢分の1」となるわけだ。
30歳の人の時間の感覚は1歳の子どもの30分の1。365日の感覚なら、365÷30で1歳児の12日間の感覚にしか満たないということである。
この法則で考えると、80歳まで生きた場合、20歳が丁度人生の折り返し。残りの60年が、これまでの20年と同じぐらいの長さに感じるわけだ。
さすがに言い過ぎだろ…と思ったが、心理的な観念である以上、実際に計測するのも難しい。とりあえずは長く支持されているこの法則に従っておくのが無難か。「20歳過ぎたらあっという間だよ」とはよく言ったものだ。
楽しい! と充実した気持ちで過ごしても、年齢を重ねて1年の予測がつくようになっても、時間の感覚は短くなる。夢中になると早まると思えば、新鮮味がなくなっても早まる…人間の感覚は実に複雑なのだ。
雑学まとめ
今回は人間の時間感覚の変化を表す「ジャネーの法則」の雑学を紹介した。感情によっても人生経験によっても、人間の体感時間は短くなっていく。
やっぱり少し寂しいが、どうせ短くなるなら、飽きるより楽しいほうがいいに決まっている。年を重ねても新しいことにどんどん挑戦していけば、体感的には短くても、人生の満足度は高まるはずだ。
重要なのは長さではない! という結論で今回はまとめておこう。