失業してしまった人のことを失業者と呼ぶのはそのままだが、この失業者に対し、普通に「失業者」と呼ぶ場合と、「完全失業者」と呼ぶ場合があるという。
完全失業者と聞いて、何年も働かずニートを極め、失業者の完全体になってしまった人を想像したのは筆者だけだろうか…。
働いていないのはどちらも同じ、なのになぜ分ける必要があるのか? これには失業率の計算が関係していた!
【ルール雑学】完全失業者と失業者の違いは?
【雑学解説】失業率の計算に働く気がない人は含まれない
まず完全失業者は、以下の3つの条件を満たす者だと定義されている。
- 仕事についていない
- 仕事があればすぐにつくことができる
- 仕事を探す活動をしていた
つまり「働く気はあるのに仕事に就けない人」を完全失業者というのだ。対する失業者は、働くことを諦めて、就職活動さえもしていない人のことである。
失業者と完全失業者を分けているのは、総務省統計局が毎月失業率の計算を行うためだ。失業率の計算は(完全失業者数÷労働力人口)×100で求められる。
失業率というのは、いわばそのときの就職の難しさを求めた数値なので、就職する気のない人は数に含まれないのだ。それはそうだ、就活もしないのに難しいも何もあるわけがない。
【追加雑学】失業率は当てにならない場合も?
失業者と完全失業者の扱いが分かれていることで、失業率が不確かなものになっていると問題視する声も見られる。
たとえば失業率が改善されたとしても、単に就職を諦めた人が増えて、完全失業者の数が減った結果だったということがあるのだ。
そして「お、失業率が減ったからチャンス!」と、失業者が就活を再開すれば、また完全失業者数が増えて、失業率が悪化してしまう。
つまり失業者が就活を諦めたり、再開したりしているだけで、就職難であることは何も変わらない…という場合がある。公表されている数字だけで判断するのは難しいのだ。
雑学まとめ
完全失業者と失業者は失業率の計算のため、働く気があるかないかで扱いが分けられていた。失業率の不確かさも問題視されているが、そもそも失業者も完全失業者も現状、働いていないのは同じなので、判断が難しいのも仕方ないように思える。
うーん、それにしても言葉のニュアンス的に、完全失業者のほうが失業者を極めていそうだと思ったが、まったく逆だったとは…。