大きなサメなどの体に、ぴたっとくっついているちょっと小さめのサメを見たことがないだろうか。わたしは水族館でその光景を見たときに、「あのサメは、楽してるのか?」と思った。子ザメと間違う人もいるかもしれない。
涼しい顔して、他人の体にくっついて移動するナマけた魚、コバンザメ。名前ぐらいは聞いたことがあるだろう。
しかし騙されてはいけない! じつはあの魚は、サメではないのだ。見た目も名前もサメなのに、サメではない!? どういうことだ…。と、気になって仕方ないので調べてみたぞ!
【動物雑学】コバンザメはサメの仲間ではない
【雑学解説】サメのような姿をしているが、コバンザメはスズキの仲間である
サメっぽいシャープな体つき、鋭い口元、そしてなにより…大型のサメと涼しげに泳ぐ姿を見れば、サメだと思って当然だ。
しかしコバンザメの本当の正体は…。スズキ! 刺身やムニエルでおなじみの、あの白身の魚、スズキの仲間なのだ。
なぜスズキの仲間であるコバンザメが、大型の魚にくっついて生活しているのか…。それは、「メリットがたくさんあるから」ではないだろうか。
コバンザメにとってのメリットは…
- エサのおこぼれや、体についている寄生虫などにありつける
- 大型の魚にくっついていれば襲われる危険がない
- 自分のエネルギーをそれほど使わなくても移動できる
といったところだろうか。つまり、大型の魚にくっつくことが、彼らの生きる手段になっているのだ。ちゃっかりしている…。
また、コバンザメは、大型のサメにくっついているイメージがあったのだが、エイ・ウミガメ・マンボウ・イルカなどにもくっついて生きるそうだ。これはちょっと意外。イルカなんて、振り落とされないのかな…。
世界最大のエイ「マンタ」にくっつくコバンザメの映像を見つけたので、ご覧いただこう。
優雅に泳ぐマンタの映像にちょっと感動…。そして、いたいた! いましたよ! ちゃっかりくっついている、楽ちんなコバンザメが。
いいなぁ~こんな人生…。うらやましすぎる。
【追加雑学①】子供のコバンザメには吸盤がない
コバンザメは、くっつきたい相手を見つけたら、頭にある吸盤をぴたっと押し付け装着完了! これで楽に生活できるわけだが、子供のコバンザメには、この吸盤が見られない。
コバンザメの吸盤は、第1背ビレといわれる部分が成長とともに変化して出来あがるそうだ。まるで靴底のような縞状の突起を、相手の体に押し当てると、吸盤の中の圧力が下がる仕組みになっているのだとか…。
成長とともに出来あがる、とっておきのアイテム…吸盤。吸盤ができることが大人になるということなら、コバンザメの子供たちは、楽ができる大人に早くなりたいと思っているに違いない…。
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【追加雑学②】コバンザメの名前の由来とは?
コバンザメなんて、リッチな名前がついているが、これはどうやら見たまんまのネーミングのようだ。コバンザメの「コバン」は、昔のお金「小判」。
小判に似ているサメのような魚ということで、コバンザメと名前がついたのだ。
魚にくっついているコバンザメしか見たことがない人も多いだろう。あまり見ることのない、コバンザメの頭の部分をアップでご覧いただこう。
どうやら、水槽にくっついているようだ。たしかに、きれいに並んだ縞が小判のような模様に見える。しかし…どこでもくっつくんだな…。
【追加雑学③】コバンザメはくっついた相手に食べられることもある
コバンザメは楽ちんな生活を送っているが、くっついた魚にとっては、すぐ近くにエサとなるコバンザメがいるわけで…。食べられることはないのだろうか?
じつは、コバンザメはくっついた魚の寄生虫を食べることで、相手の魚の体を掃除している。つまり、くっついた魚にとってもメリットがあるため、エサとして食べるということは基本的にはないようだ。食べられるのが分かっていたら、コバンザメも近寄らないだろう。
しかし…誤って飲み込んでしまったり、エサが見つからず空腹に耐えきれないときに、コバンザメを食べてしまうこともあるそうだ…。そりゃそうだよね…。
雑学まとめ
サメのような顔をして、大型の魚にくっついているコバンザメ。じつはサメではなく、食卓にもあがるスズキの仲間だったのだ。紛らわしい名前つけるなよ…とも思うが、あの見た目ではサメと思われても仕方がない。
ちゃっかり他人の体にくっついて、身を守り、エサまでゲットしているコバンザメの生活がうらやましくて仕方がないのは、わたしだけだろうか。