このような雑学記事を書いているときもそうなのであるが、筆者はわからない言葉が出てきたら、今の時代ならば主にネット検索などで調べることもある。ネットがなかった頃は、辞書などで調べていた方も多いだろう。
個人的には、最強の辞書は広辞苑だと思っている(あくまで個人の意見でございます)。解説の詳細文の情報量の多さなど、知らないことなどないのではと思わせる万能そうなところが良い。
収録言語も版を重ねるごとに増え、初版では20万語ほどであった収録言語数は、最新の七版では25万語に増えるなど、その広辞苑の最強伝説は進化しつつあるのだ。
この先どれだけ広辞苑は分厚くなっていくんだよ~! と思っていたのだが、実はなんと、今の今まで広辞苑の分厚さは変わっていないようなのだ。嘘のようだが本当である、広辞苑は言語数は増えても厚さは変わらない辞典なのだ。
【ルール雑学】広辞苑はページが増えても本の厚さは変わらない
【雑学解説】厚さが変わらない秘訣は紙にあり!厚さを統一するために様々な工夫が施されてきた
本当に8cmの厚さなのか? とりあえず筆者の家にあった広辞苑第二版に定規を当ててみたところ、たしかに大体8cmほどの厚さであった。ついでに近所の図書館にある広辞苑(二~七版)も厚さを見比べてみたのだが、厚さに変化を感じなかった。
なぜ8cmという厚さで統一されたかというと、使用者の使いやすさと、製本技術の限界が8cmの厚さまでだからという理由から決められたのだ。
言語が増えつつ、厚さを統一するために、広辞苑がこだわっているのが「紙」である。
文字の大きさはそのままに、紙の厚さを限界まで薄くし、本の厚さを8cmになるようにしているのであるが、ただ薄くするだけでは紙が透けてしまい、破れや裏写りなどの原因になってしまう。
紙は特殊な薬品などの他にチタンが配合されているという。絶妙な配合にすることで、広辞苑の紙は薄くても丈夫な紙を作り上げており、版を重ねてきたのだ。
さらに広辞苑のもう一つのこだわりが「紙のぬめり感」だ。
このぬめり感がないとページがめくりにくくなるということで、岩波書店としては絶対に外せない条件なのである。2018年に出た七版の紙は2年という開発期間を経て、六版の紙が薄さ50マイクロメートルであったのに対し、47.5マイクロメートルまで薄くできたのだ。
もちろんめくりやすさも良好だ。言語は増えても広辞苑の厚さが変わらない秘密は、紙にあったのである。出版会社と製紙会社の汗と涙の結晶といっても良いだろう。
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広辞苑から例外的に削除された「おおあつあつ」って何?
ところで広辞苑は、収録言語が増えるという話は聞いても、言葉が削除されるという話はあまり聞かない。基本的に広辞苑は言語の削除は行わないのだ。過去の古い言い回し・死語などを削除してしまうと、使用者が調べることができなくなるからである。
それでも、誤りや載せる必要がないと判断された言語のみ、例外的に削除されることがあるという。実は初版のみに収録されていた幻の言語があるのだ。
その言語は「おおあつあつ」といい、意味としては「非常にあつあつな恋愛」を意味する言葉だそうだ。全体的に時代を感じる言葉であるが、出典などがあいまいであったという理由から、第二版からは削除されているのである。
おおあつあつ…ラブラブカップルなどに「おおあつあつなカップルだ」とかいうのであろうか? 不思議な言語である。
【追加雑学】厚さ1.2mm!CD-ROM版広辞苑など変わった媒体の広辞苑もある
広辞苑は非常に凄いことはわかったが、やはり8cmは厚すぎる、重すぎるという方に朗報である。広辞苑は本だけではなく、デジタル版もあるのだ。
PCで楽しめるCD-ROM版や、電子辞書版、さらにはスマホアプリとしてApple・Android共に販売中である。CD-ROMならディスクの厚さが1.2mmである。薄い。
内容は紙媒体の広辞苑の各版ごとの内容は同じく、そこにカラー写真や、鳥の鳴き声やクラシックなどの音声データを追加するという、デジタル媒体ならではのコンテンツを楽しめるようになっている。
使い慣れた機器で広辞苑を使用したいという方は、こちらも検討してみてはいかがだろうか。
雑学まとめ
広辞苑についての雑学、いかがだっただろうか。厚さを見比べてみたところ、広辞苑の厚さが全て8cmという内容は、事実のようである。
ページが増えながらも厚さを変えないようにする秘密は紙にあり、出版社の並々ならぬ努力があってこそのものだったのだ。
広辞苑の紙の技術はもはや日本一…いや、ひょっとしたら世界一なのではないだろうかと、「ぬめり感」ある広辞苑のページをめくりながら思った。