8本の長い足、左右対称な形・円に近い形でつくられる糸の巣…そう、蜘蛛である。
多くの罪を犯し地獄に落ちた罪人の目の前に垂らされたのは、蜘蛛の糸…。子供の頃は、蜘蛛は背中に神様を乗せているから殺さない方がいい、と教えられたこともあった。
ある文化では糸を使うことから“束縛”を連想させ、またある文化では糸を伝って上ることから“自由”を連想させる。
どこか神秘的なものを想像させる蜘蛛だが、そのフォルムやイメージから、本体や巣のシルエットは模様のデザインとしても多く活用されている。蜘蛛柄の服、メッセージ性はちょっと強いけれど、なかなかスタイリッシュだと思う…服で威嚇したいときなどにおすすめである!
幅広い場面で我々の生活に溶け込む蜘蛛だが、一見どれも同じように見える蜘蛛の糸、実は用途によっていくつか種類があるそうなのだ! 今回はそんな雑学をご紹介しようと思う!
【動物雑学】蜘蛛は7種類の糸を使い分けている
【雑学解説】図解!蜘蛛の巣の7種類の糸
それではいよいよ糸について触れていく。
説明しよう! 蜘蛛の糸には以下のものがある。それぞれどんな役割があるのだろうか。図とともに解説する。
①枠糸
円状の巣の一番外側の部分。巣を囲っている糸のこと。
②繋留糸
木や壁などと①の枠糸を繋げている糸のこと。ベタベタしていない。
③こしき
巣の中央部のこと。糸が密集している部分。蜘蛛の住処でもある。
④縦糸
巣の骨格を形成している。①の枠糸と③のこしきを結ぶ糸のこと。ベタベタしていない。巣を支える役割なので、とっても強い!
⑤横糸
渦巻き状に④の縦糸に張ってある糸のこと。ベタベタする粘着球がついていて、ゴムのようにビヨンビヨン伸びるし戻る。そう、ここで獲物をキャッチするのだ!
⑥牽引糸
蜘蛛がブラーンとぶら下がっている糸のこと。命綱の役割を担うので、7種類の中で一番丈夫な糸だ。
⑦付着盤
木や壁などと⑥の牽引糸を繋いでいる部分のこと。
蜘蛛の糸はベタベタしているイメージが強かったが、全てがベタベタというわけではなかった! たしかに全部がベタベタだと、風が吹いただけでせっかく作った巣がぐちゃぐちゃになってしまいそうだし、その辺よく出来ているんだな…。
蜘蛛自身は、このベタベタしていない糸の上を歩いたり、足の先を油分でコーティングして、引っかからないようにしているそうだ。
子供の頃、自然界を初めて知ったときにたくさん見つけた「なんで?」のうちのひとつが、今明らかになった!
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【追加雑学】蜘蛛の糸の仕組みは無限の可能性を秘めている
蜘蛛はいくつかの糸を使い分けていることがわかったわけだが、この糸の仕組みは、人間の生活を豊かにする可能性をたくさん秘めているそうだ…!
蜘蛛の糸の主成分はタンパク質で、何本かの糸がより合わされて出来ている。伸縮性・耐熱性・強度などに優れているので、使いどころがたくさんある! 蜘蛛の糸にならって、人間の手で「人工的蜘蛛の糸」を作りだし、いろんな分野で活用が期待されている。
医療現場では、手術の際、皮膚を縫う糸としてすでに実用化されているようだ。タンパク質でできているので化学繊維などと比べて人体の成分に近く、よく馴染む。この糸の開発がもっと進めば、人工血管などの細かいものを作ることも夢じゃないかもしれない…!
また、産業の分野では、この「人工的蜘蛛の糸」を服の素材や車の部品、電子機器などに活用できるのではないか、と開発が進んでいるようだ。
伸縮性・耐熱性・強度などに優れているこの糸から、丈夫で破れにくい服や、壊れにくい物品を作り出すことができたら、生活に幅が出るだろう。石油を使わずにできるので環境にも良い。なんと素晴らしいことか!
こんなに可能性の秘めている糸を、本能的に作り出している蜘蛛もすごいし、その仕組みを研究して実際に作り出してしまう人間もすごい! いい時代に生まれたな…。
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雑学まとめ
蜘蛛の糸についての雑学、いかがだっただろうか。お掃除するときなどはどうしても煩わしい存在となってしまう蜘蛛の糸だが、こんなにも素晴らしい仕組みであることがわかった。
中には人間を殺すほどの毒をもっている蜘蛛がいることも事実ではあるが、部屋の中の害虫を食べてくれる蜘蛛もいるそうだ。
急に家の中で発見したらびっくりしてしまうが、殺すことはしないでおこう。蜘蛛と人間、仲良く暮らしていける世界を、win-winな関係を築いていきたいと思う!