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冬に"富士山へGO"は絶対にダメ。滑落事故を振り返る【動画あり】

"富士山へGO"の滑落事故。斜面の様子

滑落事故現場の様子

「ここも危ないな…滑る……うわっ!!」

そう言い残して亡くなったTEDZUさん。

11月6日、山梨県の長崎幸太郎知事は「富士山は決してやさしい山ではない」と話し、富士登山への注意喚起を行った。

これは冒頭で紹介した、富士山山頂からの滑落事故を受けてのものだ。10月28日に発生した事故だが、この時期の富士山は閉山中。なぜこのような事故が起こってしまったのか…。

この滑落事故、ニコ生の配信中に起きてしまった悲劇だった。冠雪した富士山を登り、下山する動画を配信していたところだったのだ…。

【冬山登山】"富士山へGO"の滑落事故を振り返る

山には魅力がたっぷりと詰まっている。そしてその山を制覇する登山に、人は昔から魅了されてきた。

しかし、同時に自然の恐ろしさを感じる場所でもある。

当サイトでも紹介しているように、日本の「谷川岳」は「最も遭難死者が多い山」としてギネス記録に認定されている。

日本には最も死者が多い山があるという雑学
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しかし富士山はというと、日本の象徴でもあることから、滑落して死亡してしまうようなイメージがないと感じる人も多いだろう。

では、今回の滑落事故はどのようにして起こったのか。

"富士山へGO"滑落事故の経緯

ニコニコ生放送で動画を配信していたのは、TEDZUさん。

TEDZUさんのTwitterからは、9月にも富士山に登ったことが伺える。

皮肉にも「富士山なめんな」とツイートした翌月に亡くなるとは、本人も全く予期していなかったに違いない。

TEDZUさんは引き止められていた?

10月28日事故当日、TEDZUさんは新宿駅から富士山五合目に向かう。

このままキャンセルになっていれば…と思うのは私だけではないだろう。

バスの車中でのツイートと思われる。本当に帰ってくれれば…。

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ニコ生配信スタート

しかしTEDZUさんを乗せたバスは、富士山吉田ルート登山口5合目に到着。10月28日10時30分ごろ、「雪の富士山へGO」と題し、ニコ生の配信をスタートする。

14時30分ごろ、富士山頂に到着。

そして15時ごろ、山頂から下山中に滑落し、命を落とした。

TEDZUさんが滑落するまでの動画

載せようか迷ったが、冬山登山の犠牲者が少しでも減ればと思い、あえて載せることにする。

TEDZUさんが富士山頂から滑落する様子が映っている、10分前後の動画だ。実際に滑落する様子も映っているので、閲覧注意である。

※0:50あたりから映像が止まるが、3:20あたりから再び再生される。

 

再生してみると、TEDZUさんはしきりに「手がヤバい」「指がヤバい」と言っている。この時期の富士山は、真冬の寒さである。「(手の)感覚がない」と言っていることから、雪山登山用の手袋ではなかったんだろう。

"富士山へGO"の滑落事故。山頂付近

かなりの量の雪が積もっていることが動画から伺える。

「カイロ持ってこなかった」という言葉からは、雪山登山への対策を怠っていたことがわかる…。

"富士山へGO"の滑落事故。足跡がある

動画の途中では、TEDZUさんが進む道に足跡が見られる。おそらく複数人だ。TEDZU以外にも、閉山中の富士登山を行った人がいる証拠だ。

決して真似してはいけない。

"富士山へGO"の滑落事故。道がなくなってくる

下り坂になる場所。TEDZUさん自身も「こけないように…」と言っている…。

しかし道を進むにつれ、「滑るな…」「滑るなコレ…」とつぶやく。音声からは、かなりの強風が吹いていることもわかる。

"富士山へGO"の滑落事故。斜面の傾斜がすごい

富士山頂はまさに絶景。

だが、素人目にもわかるくらい危険度が高い。まともに進めそうにない。

ここでTEDZUさんは「落ちないようにしないとね」と話す。視聴者からは「滑落しないでね」とコメントが。AIが読み上げる音声も動画に入っている。

「最大限に気をつけてね」とAIが話し、「了解。最大限に気をつける」と答えるTEDZUさん。「指が痛くて感覚がない」とも。

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"富士山へGO"の滑落事故。まもなく事故現場

左側に見える傾斜の角度が恐ろしい。

指の痛みがかなりつらいらしく、その後も脇で指を温めようとする。が、なかなか温まらない。

下山に関する視聴者からの注意喚起を受け、「こういうとこって危険よね」と話すTEDZUさん。

"富士山へGO"の滑落事故。柵がなくなる

画面中央、ついに左側の柵がなくなるゾーンに来てしまう…。

その後、視聴者から「ここ危険」と言われ、TEDZUさんは「危険、危険」と話す。しかし配信中ということもあってか、笑い声も聞かれる。あまり危機感は感じられない。

このあたりから「滑る」という単語が多く聞かれる。

"富士山へGO"の滑落事故。事故現場

柵のない場所まで来てしまったTEDZUさん。

「小さい岩を伝って行こう」と、下山方法について話す。しかし冷静に考えると、この角度の斜面である。岩を伝って降りられるわけがない。疲労と寒さで、思考能力も落ちていたのかもしれない。

"富士山へGO"の滑落事故。ここから滑落した

視聴者が「滑って下山」と冗談を言うと、TEDZUさんもそれに答えて「滑って下山?」と返す。

岩のない場所をまっすぐ進むTEDZUさんだが「道合ってるの、これ?(笑)」と話す。この雪では、正しい道がどれかもわからない…。

そして事故は起きてしまった。

道なき道を進みながら、「ここも危ないね」と話したとき、滑って画面がブレる。TEDZUさんが「滑る!」と言って驚いたのち、富士山頂から一気に滑落してしまった。

動画には、滑落中のショッキングな映像も残されている。

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富士山・滑落事故はなぜ起こったのか

なぜこのような悲劇が起こってしまったのか。

TEDZUさんの装備が冬山仕様ではなかった

上記の動画でもTEDZUさんが話していたが、「手がヤバい」「指が痛い」「カイロ持ってくればよかった」といった内容から、TEDZUさんの装備が冬山仕様ではなかったことが伺える。

TEDZUさんの当日の服装は、フリースの上着・ジーンズ・運動靴といった格好だったらしく、まるで富士登山の服装ではない。

また、雪山登山には欠かせない「アイゼン(靴に装着する滑り止めの登山ギア。爪のあるタイプが主流)」や「ピッケル(雪山の斜面に刺して足場をつくる、ツルハシのような道具)」も持っていなかった。

この装備で、雪山と化した富士山に挑むのは無謀すぎた。

ニコ生配信中で危機感が薄れた?

前述した通り、TEDZUさんはニコニコ生放送で登山の様子を配信中だった。視聴者と会話をしながらだったので、下山の恐怖が悪い意味で薄れてしまった可能性もある。

動画やTwitterを確認したところ、TEDZUさんはサービス精神が旺盛な方のようだった。配信中ということで、明るく振る舞っていたのかもしれない。低下した危機意識が、安易な行動を招いた可能性も否定できない。

そもそも富士山は閉山中

しかし、そもそも11月は富士山は閉山中である。

大原則として、富士山は夏にしか登ることのできない山だ。「富士登山オフィシャルサイト」によると、TEDZUさんが登った「吉田ルート」の登山シーズンは7月1日(月) 〜 9月10日(火)のみ。それ以外の時期の富士登山は禁じられているのだ。

しかし閉山時期の富士登山がなくならなかったため、山梨県は開山期間以外の登山について、登山計画書を警察に提出する条例を制定した。

が、罰則はなし。効力がどの程度あるかは定かではない。

富士山・滑落事故を防ぐために

亡くなったTEDZUさんを責めるつもりは毛頭ない。しかし、あまりに装備が貧弱だった。

しかしその前に、閉山中の登山は厳禁である。このような事故を防ぐために閉山期間があるのだ。

冬山登山は、歴戦の登山経験者でさえも相当の注意が必要。軽装備で行くなどもってのほかである…。

まとめ

今回の滑落事故は、ニコ生放送中に配信者が亡くなるというショッキングなものだった。世間に与える影響も大きい。

そうであるからこそ、私たちは自然の脅威を再認識しなければならない。そして登山の際には、十分すぎるほどの装備と登山スケジュールを組まなければならないのだ。

TEDZUさんの死を無駄にしないためにも、安全第一の登山を心掛けなくてはならない。

TEDZUさんのご冥福をお祈りします。

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