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谷川岳の恐ろしいギネス。日本には最も遭難死者が多い山がある【動画】

日本には最も死者が多い山があるという雑学

谷川岳。普通の山に見えるが…

何人もの登山家の命を奪う「死の山」と聞いて、あなたはどんな山を思い浮かべるだろう。

世界最高峰で映画の題材にもなったエベレストやK2? 人喰い山として名高いアンナプルナやナンガパルバット? たしかにいずれも8,000m級の難関で、登頂には危険が伴う。

だが、世界で一番死者が多い「死の山」は、実は日本国内にある。

え、日本にそんなに高い山あったっけ…? もしかして富士山? いや…死者数世界一の山は、富士山ほど高くはない。

…高くないのに人がたくさん亡くなってるってどういうことだ? ということで、今回はそんな死者数ナンバーワンの山、「谷川岳」の雑学をお届けしよう。

【自然雑学】日本には世界一死者が多い危険な山「谷川岳」がある

じいさん
最も死者が多い山は谷川岳で、1931年から2012年までに、なんと805名が遭難死しているんじゃよ…!
ばあさん
そうなんですか…!?

【雑学解説】谷川岳は死亡者数はギネス世界記録

谷川岳の死亡者数はギネス世界記録というトリビア

谷川岳

群馬県と新潟県の境い目にある谷川岳は、トマノ耳(1,963m)・オキノ耳(1,977m)という、二か所の山頂を有する山である。

山頂からの景色は、山脈の重なりからなる四季折々のグラデーションが美しく、2,000m以下の標高とは思えないほどの絶景。「日本百名山」にも数えられる人気スポットなのだ!

…2,000m以下って富士山より1,700mも低いよね。それに景色が綺麗な人気スポット? 全然、危険な感じしないんだけど……と思わされるところだ。

しかし谷川岳はその死亡者数において、れっきとしたギネス世界記録をもっている。

1931年から遭難者記録が付けられており、2012年時点で死亡者数は805名。これがどのぐらいすごい数かは、世界の難関と比べることで明らかになる。

エベレストなど、世界に14ある8,000m級の山々を合計しても、登頂による死者数は640名ほど。そう、谷川岳は世界の最高峰が14個集まっても勝てないぐらいの死者数を誇る山なのだ!

じいさん
谷川岳…ヤバすぎじゃな…。

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谷川岳がそこまで危険な理由は?

一ノ倉沢・幽ノ沢などのクライミングルートは超危険というトリビア

一ノ倉沢ルート

どうして標高2,000mにも満たない谷川岳がそこまで危険なのか、不思議に思った人も多いことだろう。筆者が谷川岳はどんな山と言ったか、もう一度思い出してほしい。

「山脈の重なりからなる四季折々のグラデーションが美しく、とても2,000m以下とは思えない絶景が見られる山」だ。この景色を作り出している要素こそが、谷川岳を危険たらしめているのである。

どういった要素で谷川岳の絶景は作りだされるのか…挙げられるのは以下のふたつだ。

  • 激しい気象変化
  • 高低差の激しい斜面

谷川岳はこれらの要素が重なることで、折り重なる山脈にさまざまな表情を宿し、その景色の変化がとても美しいのだ。要は「激しい×激しい」のぶつかり合い。以下よりそれぞれどのぐらい激しいのかを見ていこう。

谷川岳の激しい気象変化

谷川岳は日本海側に流れていく河川と、太平洋側に流れていく河川が丁度二手に分かれていく地点、分水嶺(ぶんすいれい)に位置している。

要は日本海・太平洋からの空気が丁度ぶつかる場所で、ここで降った雨から両方へ流れていく川が始まっているのだ。「山の天気は変わりやすい」とよくいうが、谷川岳はこの環境もあってさらに別格である。

雨がたびたび降るのはもちろん、霧が濃いことも多い。さらに雪の積もる12~2月末までは、「群馬県谷川岳遭難防止条例」において、立入禁止の地区なども設けられている。

この特殊な気候のために、1,500m以上の地点からは植物が育たない森林限界となっており、過酷な環境で育つ高山植物しか咲いていない。念のため言っておくと、通常の森林限界は標高3,000mぐらいからである。

以下の動画でも、高い山に登らないとなかなか見られない花がたくさん紹介されている。このように標高2,000m以下の山としては、明らかに異常な気候なのだ。

悪天候での登山となれば、それほど難しいコースでなくても勝手は変わってくる。この類まれな気象条件が、谷川岳を危険たらしめているのだ。

高低差の激しい斜面

谷川岳は斜面の起伏に富んでおり、場所によって高低差がめちゃくちゃ激しい。

小学生でも登れる天神尾根ルートのようなコースもあれば、「一ノ倉沢ルート」「幽ノ沢ルート」のような、断崖絶壁でロッククライミングの聖地となっているコースも…。どのコースで登るかで登頂の難易度がここまで変わる山はそうないはずだ。

遭難死亡が相次いでいるのは、この一ノ倉沢・幽ノ沢ルートである。「まさに壁」ともいわれるその岩壁は険しいだけでなく、岩質がもろく手掛かり、足掛かりが作りにくい。

そもそも人が普通に足を踏み入れられないぐらいの難所なので、過去には30年も経った白骨遺体が見つかったなんてニュースもあった…。

また特に有名な事故としては、1960年9月に起こった「谷川岳宙吊り遺体収容」がある。

一ノ倉沢の登頂に挑戦した登山家2名が岩壁から落下し、死亡。しかし断崖絶壁にロープで宙吊りになってしまったため、遺体の回収ができなかったという事故だ。

最終的に自衛隊の精鋭による射撃が4時間にわたって行われ、ロープと岩の接地面を破壊することで、遺体が回収された。以下は当時のニュース映像である。

特別に訓練された自衛隊でも踏み込めないぐらいの領域…。その恐ろしさがわかっていただけただろうか。

一ノ倉沢・衝立岩(ついたていわ)登頂の様子を映した動画も紹介しておこう。こんなの忍者ぐらいしか登れる気がしないぞ…。

じいさん
わし、これからもし山登りすることがあったとしても…ロッククライミングルートだけはやめておこう…。
一番の危険は初心者の油断から

…と、ここまで紹介しただけでも、谷川岳の危険性は十分わかっていただけただろう。しかし…圧倒的な死亡者数を記録している原因は、単に斜面が急だとか、気象条件が悪いというだけではないという話もある。

一番の原因は「登山初心者の油断から」だというのだ。

先ほども触れたように、谷川岳は小学生でも登れるルートから、断崖絶壁のクライミングルートまで、さまざまな難易度のコースが入り乱れた山だ。そのぶん、さまざまな目的で訪れる人がいる。

また上越新幹線を使えば東京から約2時間と、都心からのアクセスもいい。こういった要素が重なり、年間の登山客は約4万人にも登る。

それだけの人が訪れれば、なかには「登れるだろ」と、上級者コースをなめてかかる人もでてくる。初心者が間違って登ろうとすることだって、なきにしもあらずだ。

誰でも登れるコースと、超難関が混在していること…これが谷川岳の本当の恐ろしさなのかもしれない。

【追加雑学】天神尾根ルートなら初心者でも楽しんで登れる!

ルート次第では世界一といっていいほど、危険な谷川岳。しかし難易度の低い「天神尾根ルート」の登頂はすごくおすすめだ。初心者でも登れるし、何より山頂からの景色が素晴らしい!

天神尾根ルートを登る人は、ふもとの「土合口駅」からのロープウェイを使う。土合口駅までは、新幹線「上毛高原駅」からバスが出ているぞ。

ロープウェイで標高1,319mの「天神平駅」まで行けば、山頂まではあと700m。そこからさらにリフトを使って「天神峠」まで登れば、わずか500mだ! 往復約5時間ほどの、登山入門にはうってつけのコースである。

しかしながら、途中には鎖を使わないと登れない鎖場などもあり、短いながらに本格的な登山を体験できる。珍しい高山植物が見られる点も、やはり人気の理由のひとつだ。

山頂まで行かず、少し尾根を歩く程度でよければ、「天神尾根ウォーキングコース」という約2時間の簡単なコースもある。こちらは「谷川岳ロープウェイ」の公式サイトで確認を!

じいさん
うむ。天神尾根ルートじゃな!覚えたぞ!

季節ならではの催しも!

天神尾根ルートは、冬にはロープウェイ区間がゲレンデに早変わり。また秋には天神平にて、「星の鑑賞会」なんかも行われている。

ロープウェイを利用したナイトクルージング! 星空もそうだが、山肌を彩るイルミネーションもまた美しい。天神尾根ルートは単純に登山だけではなく、季節によってさまざまな催しが楽しめる憩いの場なのだ!

ただ…やっぱり天神尾根ルートが入門者向けといっても、念には念を入れておこう。「谷川岳登山指導センター」にて、その日その日の気象状況なども伝えてくれているので、登頂の際はこちらをチェックしておくといい。

死亡者数世界一という危険な一面も見せれば、催しものや美しい高山植物など、楽しい面も見せる。自然は脅威であり、恵みでもあることをこれほど物語る山があるだろうか。

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雑学まとめ

今回は世界一の死亡者数を誇る「谷川岳」の雑学を紹介した。

死の山や人喰い山という言葉には、海外の高い雪山を想像しがちだ。しかしこのようの、世界ワースト1の死の山は日本国内に存在していた。

とはいえ谷川岳は普通に登れば、入ったら出てこられないような魔境ではない。多くの人は通常ルートを安全に登って帰ってきているのでご安心を。

山の怖さをしっかり認識して、安全第一で登山を楽しもう!

ばあさん
遭難死者1位との言葉に、怖いと思ってしまいそうな谷川岳ですが…実は紅葉がとってもステキな山なのです。
じいさん
キレイな景色を楽しみたい人にオススメの山の1つじゃから、安全に楽しく!自然を満喫してほしいのぅ!

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