「登山が好き」という人も多いと思うが、登山には常に「遭難」という危険が背中合わせである。では実際に山で遭難をした時、どうすれば自分の身を守れるだろうか?
山では何気なく選んだ自分の行動で命が救われる場合もあるが、その反対に間違った選択をすることで命を落としてしまうこともある。
今回は、山で遭難したときの対応について紹介していこう。この雑学、知っておいて損はないはずだ。
【自然雑学】山で遭難したときは「頂上」を目指す
【雑学解説】頂上を目指したほうが発見されやすい
登山の素人だと遭難したとき、「下山したほうが助かるんじゃないか」と思いがちだが、実はこれが命取りになる。下山すること=山の面積が広がっていくため、余計に迷いやすくなってしまうのだ。
さらにすでに遭難(迷っている)ということは、悪天候・暗さで見晴らしが悪くなっていることが大半。そんな状態で下山しようとしても道は分からないだろう。このときに危険なのが、「沢」が道のように見えてしまうことだ。
「なんとなく歩きやすそうに見える」と考えもなく、沢づたいに歩いて行くと、突然滝・崖に出て身動きが取れなくなってしまう可能性が高くなる。反対に頂上を目指すと面積がどんどん狭くなっていくため、捜索される事態になっても発見・保護されやすくなるというわけだ。
登山初心者からすれば、心細いという心理が働いて、つい下山を選びがちである。だが、下山すれば必ず助かるということはなく、むしろ頂上を目指すほうが安全なのだ。ぜひ覚えておいてほしい。
また、暗くなってからの移動も危険なため、辺りが暗くなるまでに雨風をしのげる場所を探し、その場で野宿(ビバーク)するという選択も忘れないでほしい。この行動・選択ができるかで無事に帰還できる可能性が変わってくる。
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【追加雑学①】登山計画書を提出することも大切
登山をする人なら知っている人も多いと思うが、「登山計画書」というものがある。
登山計画書には自分の氏名はもちろん、「住所・携帯番号・緊急連絡先・予定している登山コース・日程・持参している装備や食料」といった項目を記載。登山口の登山ポスト、または地元の警察に1部提出しておくのがベストだ。
こうしておくことで登山中に万が一遭難しても、どこで何をしているかが分かり、発見・保護が早くなる。「山に行ってくる」といった簡単なメモだけでいつも登山に行っていたという人は、今後はできるだけ登山計画書を提出しておこう。
登山は自然相手なので、急激な天候の変化や噴火といったように何が起きるか分からない。周りに心配をかけないようにするためにも、登山計画書の控えは家族・知人にも渡しておき、自分でも1部持っておくとより安心だ。
【追加雑学②】遭難の捜索には費用もかかる
では、万が一遭難したらどうなるのか?
山で遭難した場合、基本的には消防庁の管轄の「山岳救助隊」になるため費用は無料だ(実際は税金から捜索費用が支払われている)。ただし、自治体によって山岳救助隊が設置されていない場合もあり、そういった場合は民間の山岳会に協力してもらうため、捜索費用が発生する。
さらに山の捜索で忘れてはいけないのが、ヘリコプターだ。まずは実際にヘリコプターを使って捜索している動画を観ていただこう。
このヘリコプターだが、山岳救助隊が自前で保有している場合は捜索費用がかからない。
しかし、なんせヘリコプターは維持費に費用がかかる。そのため、ヘリコプターを保有している山岳救助隊は数少ない。ヘリコプターを保有していない山岳救助隊の大半は、民間業者にヘリコプターを依頼するため、当然費用が発生する。
民間業者にヘリコプターを依頼した場合の気になる費用は…1日3時間飛行でおよそ180万円程度。
ヘリコプターの捜索が6日間続いた場合、1000万円以上もの費用請求が遭難者の家族にいく。これは遭難者が命を落としてしまった場合でも、変わらない。
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このように莫大な捜索費用を家族に支払わせないようにするためにも、登山計画書の提出・万全の準備をして登山に向かうようにしたいものだ。
雑学まとめ
登山をして遭難してしまったときに関する雑学、どうだっただろうか?
遭難したときは初心者ほど焦って下山しがちだが、自分の命を守るためにも1度冷静になり、まずは頂上を目指すことを覚えておいてほしい。また、何よりも遭難しないようにするために万全の準備をし、登山中は無理な行動をしないということも覚えておこう。
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