日本人なら大抵カニが好きだろう。「カニっ食っべ行こう~」なんていう歌が大流行するぐらいだ。実際カニを食べる目的の旅行ツアーも存在している。
だがしかし、悲しいかな、カニはしょっちゅう食べられるものではない。カニ缶ですら、他の缶詰に比べて高価に感じなかなか手が出ないのは筆者だけであろうか…。
このカニジレンマを和らげてくれるのが、そう我らが庶民の味方、カニカマである。赤と白のはっきりとしたコントラストが食卓に彩りを添え、なおかつカニっぽいものを食べているという満足感を与えてくれる。
家庭の食卓にすっかり定着しているこのカニカマだが、実はある過程で生まれた偶然の産物だという。今回はそんなカニカマの誕生秘話にまつわる雑学をご紹介するぞ。
【食べ物雑学】カニカマの由来とは?
【雑学解説】カニカマは人工クラゲの開発中に偶然生まれた
カニカマが誕生したのは1970年代前半、練り物メーカーのスギヨが開発したといわれている。しかし、実際にはカニカマを作ろうとしていたわけではないのだ。
当時、食用のクラゲの輸入がストップしたことを受け、人工クラゲの開発に乗り出したスギヨ。しかしクラゲの独特のコリコリ感を出せず、失敗に終わってしまった。
がしかし! 話はそこで終わらない。当時の社長が失敗作を味見したところ、食感がカニの身に似ていることに気付いたのだ。そこから方向転換、よりカニに似せるべく、カニカマ開発プロジェクトが始動したわけである。
クラゲのコリコリ感とカニカマの食感は程遠い気もする。どんだけ大失敗なんだとつっこみたくもなるが、失敗は成功のもと。まさにこの言葉が当てはまるケースである。
【追加雑学①】カニカマにカニは使われていない
カニカマは正式には、「かに風味かまぼこ」と呼ばれる。つまり、実際にカニの身は使われていない。いやでも、商品名に「カニ」って使ってるんだからちょっとくらい入ってるんじゃ…? いいえ、入っていない(ばっさり)。
カニカマの主な原材料は白身魚のすり身だ。ほとんどはスケトウダラが使用される。スケトウダラの卵は明太子となる。よって捕獲量は多いけれど、スケトウダラの身は傷みやすく、冷凍にも向かない。
そこですり身として加工され、かまぼこの原料によく使われている。またスケトウダラの身は風味も淡白なため香料が付けやすく、カニカマの材料として最適なのだ。
カニカマにはカニの身は入っていないが、カニから抽出されたカニエキスが含まれている。それで風味がカニっぽくなるのだ。
カニカマが売り出された当初は「カニが入っていないのにカニかまぼこなんてインチキだ」という声もあったそう。しかしそんな声も抑えられるくらい、カニカマはそれ自体が美味しかったので、いっきに国民食として上り詰めた。
もはやカニが入っていようがなかろうが、カニカマ自体の美味しさは誰もが知るところとなっている。
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【追加雑学②】カニカマは海外で大人気!
失敗作から生まれたのに、いまや一般家庭に定着しているカニカマ。実は世界各国で大人気なのだ。
日本と同じようにサラダに使われることが多いが、ごく普通に寿司のネタになっていることもある。さらには、パンのトッピングとして使われていることも。日本よりも位置づけが高いように思える。
フランスではカニカマのことが「surimi(すりみ)」と呼ばれている。カニではないことがバレている! と思いきや、意外とカニが入っていると思っている人も多いようだ。
さらにアメリカのある地域では、カニカマのことを「kani(カニ)」と呼ぶところもあるらしい。完全にカニカマに騙されている!? なにはともあれ、カニカマは世界で大人気なのである。
カニカマの雑学まとめ
今回の雑学記事では、今や日本のみならず世界中で人気となっているカニカマの誕生裏話についてご紹介した。
カニカマは人工クラゲの失敗作から偶然に生まれたものだった。失敗を無駄にしなかった当時のスギヨ社長のおかげで、今や高価なカニを食べなくとも普段からカニ気分を味わえるのだ。
失敗からのひらめきは成功へとつながることをカニカマは教えてくれる! 今度何かで失敗して落ち込んだら、カニカマを食べてそのことを思い出そう。
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