世間に大きな衝撃をもたらすことや、海外から入ってきたモノのインパクトをあらわす名称として、黒船という言葉が使われることがある。これは、1853年にペリー艦隊が、浦賀沖に来航した史実に由来する言葉である。
ふだんなにげなく使うこの黒船という言葉。そもそも、ペリーが乗っていた船はなぜ黒船と呼ばれているのか、疑問に思ったことはないだろうか。この記事では、その謎についての雑学を解説していこう!
【歴史雑学】ペリーの黒船が黒かった理由
【雑学解説】ペリーが日本にもたらしたのは開国だけではなかった
ペリーが日本に来航したのは1853年のことである。ペリー率いる黒船艦隊は、アメリカ大統領フィルモアの親書を携えて、開国を迫るために日本にやって来た。その際、彼が乗船していたのが、黒船である。
この船には、木材が腐敗しないようにコールタールが塗られており、そのため、黒船といわれているのだ。コールタールは、石炭を熱することで得られる黒色の液体で、かつては塗料や防腐材として使われていた。
ペリーが乗船した船が木造で作られていたため、木材が腐敗しないように黒いコールタールが塗られていたのである。一般には、威圧感を与えるために船体を黒く塗ったと信じられているようだが、実際には木材の腐敗を防止するためである。
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【追加雑学①】「アルプス一万尺」が日本で初めて演奏されたのは、ペリーが日本に来航したとき
ペリーが浦賀に上陸した際に、アメリカの音楽隊によってある曲が演奏されている。それは「ヤンキードゥードゥル(Yankee Doodle)」という曲である。
この曲はもともとアメリカ合衆国の民謡で、独立戦争時の愛国歌として親しまれた曲だった。この曲は誰しも一度は耳にしたことがあるはずだ。この曲の邦題は、あの手遊び歌として知られる「アルプス一万尺」だったのである。
現在でも野球の応援などに使われている、アルプス一万尺は、「ヤンキードゥードゥル」の曲に歌詞をつけたものとして世に広まった。ちなみにアルプス一万尺の歌詞は29番まであり、作詞者は不明であるという。
【追加雑学②】「ヤンキードゥードゥル」に隠された意外な秘密
ペリー艦隊が日本に上陸した際に演奏したとされる「ヤンキードゥードゥル」。この曲の由来については、確かなことは分かってないという。だが、一貫しているのは、18世紀に北アメリカを舞台にイギリスとフランスとのあいだで起こった戦争にルーツをもつことである。
一説には、アメリカの人々がイギリス軍の呼びかけに応じて収集された際、その服装や装備がマチマチだったことから、それを見たイギリス人の医師が馬鹿にして作った曲だといわれる。
また曲名の由来については、アメリカの人々を指す「ヤンキー (Yankee)」と、その人々を蔑称する「まぬけ」という意味の言葉、ドゥール(Doodle)から来ているという。
だが、アメリカの人々はこの曲を意外にも気に入り、アメリカ独立戦争の際に歌詞を変更して、多くの人々に愛唱された。こうして「ヤンキードゥードゥル」は、アメリカの愛国歌として国民のあいだに広がっていったのだ。
雑学まとめ
ペリーが来航した際に乗っていた船が、黒く塗られていた理由をご紹介してきた。船体が黒だったのは船体に使用された木材の腐敗を防ぐために、コールタールが塗られていることにあった。
さらに、ペリー上陸時に演奏された行進曲が、邦題の「アルプス一万尺」であり、その原曲はイギリスの植民地だった時代のアメリカにルーツがあることが分かった。
物事を調べていくと、意外な発見があっておもしろい。ひとつの出来事が新たなつながりを生む、歴史のおもしろさを感じさせる雑学である。