メダカは日本でもっともポピュラーな魚の1つだろう。野生のメダカは、非常に身近な魚だった。しかし、環境の変化で絶滅が心配されるほど数が少なってしまった。
野生のメダカを増やそうという保護活動が盛んになったが、そのせいで思わぬ問題が発生してきているという。野生動物を保護するのは、簡単ではない。
今回の雑学記事では、メダカの絶滅が心配されている問題や、日本のメダカの種類などについてご紹介しよう。
【動物雑学】メダカは今では絶滅危惧種
【雑学解説】野生のメダカが絶滅危惧種に指定されている
メダカといえば童謡「めだかの学校」でも知られるように、日本では非常にポピュラーな魚である。数十年前までは、メダカは日本の川で泳いでいる姿を見ることができた。
しかし、このメダカが今では絶滅危惧種に指定されている。飼育されているメダカは多いが、野生のメダカは減少している。
農地改良によって水田に入れなくなったことが原因?
メダカの数が少なくなってしまった原因は、水質の悪化や外来種の影響、水路が整備されたことなどにより、川の流れが変わったことが挙げられる。メダカは水の流れが緩やかな環境でないと生息するのは難しく、緩やかな小川が少ないこともメダカにとっては痛手だ。
一番大きな原因は、水田の変化だといわれている。本来、メダカは水田で繁殖を行うことが多い。メダカは用排水路から水田の中に侵入して、繁殖を行っていたのだ。
近年は農地改良が行われたため環境が変化してしまった。用排水路から水田内に入ることが難しくなり、思うように繁殖することができなくなったのだ。また、現在は単純に数が少なくなったから、絶滅が心配されているわけではない。
メダカの放流が遺伝子汚染を引き起こしている
メダカが絶滅危惧種だという問題が広く知られるようになり、保護活動が盛んになった。そのため、メダカの放流が行われるようになったのだ。
一見良いことのように思えるが、これが遺伝子汚染を起こすとして問題視されている。日本にいる野生のメダカは長いあいだ1種類の魚と考えられており、「メダカ」という名前がつけられていた。
しかし、地域によって遺伝子的にかなりの違いがあることが判明し、1種類の魚ではなく2種類の魚と考えるようになった。
現在では北日本に生息していた野生のメダカに「キタノメダカ」、南日本に生息していたメダカ「ミナミメダカ」と名前がつけられ、魚の正式名称としての「メダカ」は消滅したことになる。
1種類の魚だと思われていたメダカが遺伝子的には複数の種類に分類できるため、安易なメダカの放流が問題視されているのだ。
メダカの放流は種類の違いを考えずに行われている。ペットとして品種改良された、野生には存在しない種類のメダカまで放流されることもあるという。異なる種類のメダカでも子供が生まれないわけでない。
そのため、違う地域同士のメダカのあいだに生まれたメダカが増えることになり、もともといたメダカの絶滅が心配されているのだ。
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【追加雑学①】日本には10種類以上のメダカがいる?
現在、キタノメダカとミナミメダカがいるわけであるが、地域ごとにさらに細かく分けられるといわれており、名前が変更される可能性もあるのだ。
個別に名前が付けられているわけではないが、琉球型・薩摩型・有明型・大隈型・北部九州型・山陰型・西瀬戸内型・東瀬戸内型・東日本型などと、水域別に9種類に分けられている。
これらすべては遺伝子的に別の種類と考えられるわけだが、外見などで見分けるのはかなり難しい。メダカの放流が盛んに行われるようになったせいで、関東でも北部九州型や瀬戸内型のメダカが増えているという。
東京でメダカの調査を行った際には、二十数ヶ所のほとんどで都内にいない種類のメダカが発見され、本来の東日本型のメダカが見つかったのは一ヶ所だけだった。
野生のメダカが全く見られなくなる可能性は低そうだが、本来生息していた種類のメダカは徐々に消滅しつつあるのだ。
【追加雑学②】体が光るメダカがいる
メダカは通常、黄色に近い色をしているが、突然変異によって様々な色に変化することが知られている。これらはカラーメダカと呼ばれている。
ペット用のメダカはどんどん品種改良されており、体が光るものもいる。これらのメダカは光を反射して体が光っているように見えるだけで、実際に体が発光しているわけではない。
上のメダカは、みゆきメダカという種類で体が光って見える。これらのメダカを放流するのは問題だが、飼育することは全く問題ない。
本当に発光するメダカがつくられた!
なんと最近、本当に体が発光するメダカがつくられた。この光るメダカは品種改良ではなく、体が発光するクラゲの遺伝子を組み込まれた遺伝子組換え生物である。
しかし遺伝子組換え生物は、自然界ではありえない遺伝子をもつ生物だ。遺伝子組み換え生物が野生化するとどんな問題が起こるかわからない。そのため、外来種以上に危険視されている。
遺伝子組換え生物の輸入に関して、日本では厳しく規制している。この光るメダカは、無許可で違法に輸入されたため問題となった。
雑学まとめ
メダカが絶滅危惧種だという雑学や、安易にメダカを放流することの危険性についてご紹介した。野生のメダカの数は少しずつ増えてきているが、もともとその地域に生息していたメダカはどんどんいなくなっている。
野生で絶滅寸前の種類もいるという。違う地域のメダカを放流してしまうのも問題だが、品種改良したメダカを放流してしまうのはそれ以上に問題だ。
メダカだけとは限らないが、遺伝子組み換えが行われた生物がいつか野生化する可能性は否定できないだろう。
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