「調整液状乳」。はじめてこう書かれた缶入り飲料を見たときは、いったいどんな飲み物なのか想像つかなかった。
牛乳はほとんどが紙パックで売られているし、あったとしてもたまにビンがある程度。缶入りの「調整液状乳」なるものを見て、新しい乳酸飲料かと思ってしまったくらいだ。
しかし、よく見てみるとどうやら大人用ではないらしい…? かわいらしいイラストと一緒に、「哺乳瓶(ほにゅうびん)」・「赤ちゃんミルク」と書いてある。これ、まさか粉ミルク的なもの!?
そう、時代はついに最先端へ。今まで母乳の代わりといえば「粉ミルク」しかなかったのだが、ついに「液体ミルク」が発売されたのだ。実はこれ、簡単なようでいてものすごい大進歩なのである。
今回はこの歴史的大進歩「液体ミルク」についての雑学をご紹介しよう!
【食べ物雑学】最新型!乳児用液体ミルクとは「すぐ飲めるように調合済みのミルク」のこと
【雑学解説】日本では100年以上も粉末から赤ちゃん用ミルクを作っていた
子育て経験者でなければ分からないことだと思うが、実際に母乳「だけ」で育てられるのは幸せなこと。しかし、粉ミルクに助けられたご家庭も多いのではないだろうか。
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この粉ミルク、すこしクセモノだ。
いちいちお湯を沸かし、粉末ミルクとお湯の適量をはかって哺乳瓶(ほにゅうびん)に入れてシャカシャカ振って溶かす…。出来たては熱いので、冷めるまで辛抱…。そうやって作っているあいだはお腹がすいた赤ちゃんがギャン泣きである。
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日本で初めての粉ミルクが誕生したのは1917年とされており、日本人は100年以上もずっと、この面倒くさい「お湯を沸かして、粉をはかって、シャカシャカ溶かしてから冷ます」をし続けていたのだ。
2019年、それをしなくても飲めるミルクがついに開発された。日本製の乳児用液体ミルク爆誕である。
世の中のお母さんお父さんは狂喜乱舞だ。面倒くさい工程もなく、そのまま常温で飲ませるだけなんて、本当に便利になった。
液体ミルクが注目されている理由は、地震や災害に強い点にもある。紙パックや缶に入って長期保存できる形態で、お湯を沸かしたり道具の消毒ができない状態でも、救援物資として赤ちゃんに届けることができる。
ゴクゴク飲んでる~!パパが実体験、液体ミルクは超便利
母親ならともかく、父親が粉ミルクを作って赤ちゃんのお世話をするのはちょっとハードルが高い。そんな男性陣に、液体ミルクは救世主のようだ。
ゴクゴク飲んでる赤ちゃんが超かわいい、そして喜ぶお父さんがまたかわいい。
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【追加雑学①】日本で未発売だったのは法整備が追い付いていなかったから
そもそもスウェーデンなどのヨーロッパ諸国では、だいぶ前から乳児用の液体ミルクが粉ミルクよりも主流になっていた。
日本で注目されたのは東日本大震災がきっかけ。世界各国から届けられた救援物資のなかに、赤ちゃん用の液体ミルクがあったのだ。お湯も沸かせない不衛生な状況では、これがどれほど役に立っただろう。
こんなに便利で災害に強いものはないからと、国内メーカーは再三、国に開発・販売許可を求めてきた。ところが国はなかなか認可を出さない。理由は簡単、食品衛生法に「粉末状」のミルクしか記載がないからである。
政府が重い腰を上げたのは、相次ぐ地震や災害で国内販売の需要を求める声が非常に大きくなってからだ。2018年にようやく法改正が行われ、2019年の春に各社からいっせいに液体ミルクが発売された。
【追加雑学②】メリットもあればデメリットも…
こう書くとメリットしかないような液体ミルクだが、デメリットももちろんある。そもそも粉ミルクを一度沸騰したお湯で溶かすのは、非常に繊細な赤ちゃんのために、飲み物を滅菌するためだ。
液体ミルクはそのまま飲ませるため、作る工程やパック詰めの段階で完全滅菌にする必要がある。この一連の作業をするための工場設備やシステムの開発にはお金がかかり、その設備は厳重管理されている。
このため、販売価格が粉ミルクに比べて約4倍(同量換算)。毎日何度も飲むミルクをすべて液体にしたら、お財布がいくつあっても足りない…!
しかし、夜中に眠い状態でミルクを作ったり、外出先でいちいちお湯を沸かすのは大変な作業だ。このため、夜間や外出時または緊急用の備蓄として使う親が多いようだ。
雑学まとめ
乳児用液体ミルクについての雑学を紹介してきた。はじめて乳児用液体ミルクを見たときは、ついに粉ミルクもここまで進化したか! と感激したものだ。しかしお値段を見てビックリ。そりゃそうだよね、便利だけど作るのお金かかるよね…と納得である。
完全液体ミルクで育てるには、大富豪と結婚するしかないようだ。日本国内でももっと認知度や需要が高まって、いつの日か粉ミルクと同じ値段になることを筆者は切望している。