「桃太郎」といえば、桃から生まれてお爺さんとお婆さんに育てられ、犬・猿・雉(きじ)の家来と共に鬼退治に行くという、日本で有名な昔話である。
ところで「桃太郎」を読んでいるとき、このようなことを感じたことはないだろうか? 「どうしてお供が犬・猿・雉なのだろうか」と。鬼退治のお供にするなら、もっと強そうな熊や猪でも良さそうな気がする。
だが、実は桃太郎のお供が犬・猿・雉なのは、深いわけがあったのだ。そのカギを握るのは「干支」である!
今回は、日本人の多くが親しみを持つ昔話の、あっと驚く雑学を紹介しよう。
【歴史雑学】桃太郎と干支の関係
【雑学解説】鬼門封じの桃太郎
そもそも陰陽道というのは、「全てのものは陰(いん)と陽(よう)に分かれていて、一定のルールで循環している」という思想のことだ。昔の科学に近いものといえるだろう。
かつての日本では干支を方角にあてはめるという風習があった。たとえば子(ね)は北、午(うま)は南というような感じだ。
陰陽道では、丑寅の方角に当たる北東は「鬼門(きもん)」とされており、不吉な方角だと考えられていた。桃太郎では、鬼門が鬼ヶ島に当てはまる。
その鬼門に対抗できる方角が「裏鬼門」となっており、干支にあてはめると未申(ひつじさる)の方角になる。桃太郎は鬼が島(鬼門)に向かう話なので、申(さる)から順番に酉(とり)・戌(いぬ)と続く。これが、桃太郎のお供となった理由の1つだと考えられているのだ。
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【追加雑学①】なぜ「桃」太郎なのか
では、なぜ桃太郎は「桃」太郎なのだろうか? 昔話的にいえば、桃から生まれたから桃太郎なのだが、実は「桃」から生まれたのも陰陽道と関係がある。
陰陽道の考えの1つに「五行(ごぎょう)思想」というものがあり、木・火・土・金・水の5つの要素が影響を与え合って循環しているとされていた。この五行思想には、季節や干支の他、果物も当てはまる。
どのようなものが当てはまっていたのかは、以下の表のとおりだ。
要素 | 果物 | 干支 | 季節 |
木 | スモモ | 寅・卯・辰 | 春 |
火 | アンズ | 巳・午・未 | 夏 |
土 | ナツメ | 無し | 土用(季節の変わり目) |
金 | 桃 | 申・酉・戌 | 秋 |
水 | 栗 | 亥・子・丑 | 冬 |
ここで注目すべきなのは、「金」に当てはまる項目だ。「金」に当てはまる干支は「申・酉・戌」。果物は「桃」。「桃太郎」に出てくる要素がここに集まっている。
さらに、桃は昔から「邪気を払う縁起の良い果物」といわれており、邪気の象徴である鬼を退治する主人公にふさわしい要素なのだ。
【追加雑学②】鳥が雉である理由
ところで、桃太郎のお供になぜ雉がいるのだろうか? 犬と猿はまだ攻撃力や賢さがあるからお供にするのは分かるが… 某携帯電話会社の英雄CMでも、「なぜ雉なのか?」と疑問を持たれていたほどだ。
最も有力な説といえるのは、「雉が日本の国鳥だから」というものが挙げられる。昔から日本では、天皇に献上する鳥として雉が選ばれていた。
日本の代表的な鳥類として、英雄である桃太郎のお供としても雉はピッタリだったというわけだ。
雑学まとめ
「桃太郎」は鬼門封じの物語だった。陰陽道から見れば、桃から生まれた桃太郎が犬・猿・雉を連れて鬼ヶ島に行って鬼退治をすることは、当然のことなのである。
古くから日本人に親しまれている昔話にも、こういった深い雑学があるというのは興味深い。鬼門を封じて、人々を守る桃太郎…日本を代表する昔話のヒーローとして、ますますカッコよく見える。
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