実家が食堂だったこともあり、「野菜炒め」が定番だった我が家。なかでも安くておいしいもやし炒めは大活躍だった。大人になった今、自分で作ってみても当時ほどおいしく作れないのは、単純にばあちゃんとの料理の腕の差だと思っていたのだが…。
あるときばあちゃんから、「あ~だって、お前が使ってるもやしはマッペでないもの」という衝撃発言が飛び出した。マッペって何? ただのモヤシじゃないの…?
【食べ物雑学】実はいろいろな種類がある!もやしって何の豆の芽?
【雑学解説】実はもやしの歴史には戦争や経済成長が絡んでいた
もやしの定義は「豆が発芽した幼芽のこと」で、豆の種類が変わればモヤシの種類も変わる。
ばあちゃんが言った「マッペ」とは、戦後から1970年くらいまで国内で一番普及していた「ブラックマッペ」というモヤシの種類である。それより以前は韓国料理・中華料理に多用される「大豆もやし」が主流だった。
しかし原料に使われていた大豆が戦争の影響で中国から輸入できなくなり、国家事情に無関係なミャンマーからブラックマッペを輸入することにしたのだ。
育てやすく、早く育つブラックマッペは大豆もやしにとって代わったのだが、その後は経済成長に伴い「大型スーパーで安く大量に売れるもやし」の需要が拡大。
戦争後は中国から安価に「緑豆」を大量輸入できるようになっていたこともあり、「緑豆もやし」を大手メーカーが推して、今度は緑豆もやしが主流になったのだという。原料の輸入や種類の入れ替わりに戦争と経済成長が絡んで、想像以上に複雑だ。
ちなみに最近では、新たな品種として「アルファルファもやし(糸もやし)」が台頭し、おしゃれに敏感な女性を中心にサラダとして生食するのが流行している。
【追加雑学①】種類別もやしの特徴や栄養価
それでは、主なもやしの種類をご紹介しよう。
大豆もやし
成長するのに高い温度と時間が必要なもやし。大豆がしっかり残るので、食べると茎部分だけでなく豆そのものの味わいや食感を楽しめる。たんぱく質が豊富で味わい深く、食のプロにも好まれる通好みのもやし。
ブラックマッペもやし
今現在よく見るもやしよりさらに細く、水分が少なくシャキシャキしている。独特の甘みが特徴で、「ケツルアズキ」という小豆のような黒豆から作る。原料はタイやミャンマーからの輸入が主で、この黒豆はなんとインドのナンの原料としても使われている。
緑豆もやし
今現在、国内で販売されている流通の約9割を占めるもやし。やや太めでクセがなく、水分が多いのでみずみずしい味わいだ。
もやし製造の大手メーカーである株式会社サラダコスモが中国から緑豆を大量輸入し、日本で初めて製造・販売を進めた。もやしの中では特にビタミンCが豊富である。
その他のもやし
他のもやしと違って生で食べられるアルファルファもやしや、日光を当てることで緑化させた緑もやし・ピーナッツもやし・そばもやしなど…。大量生産できないため一般流通していないマニアックなもやしが存在する。
スポンサーリンク
【追加雑学②】もやしによって違う!おすすめレシピのご紹介
スーパーでは一般的に緑豆もやし、アルファルファもやしが手に入る。大きなスーパーでは大豆もやしやブラックマッペ(黒豆もやしと書いてあることも)もあるだろう。これらは種類によっておすすめレシピが違う。
- 緑豆もやし:なんといっても安さと食べごたえが魅力だ。ゆでて使うのに向いている。水分が多いので、炒め物をするときはサッと炒めよう。
- ブラックマッペ:実はもやし炒めにもっとも向いていて、水分が少ないのでシャキシャキに仕上がる。もしゆでるなら、緑豆もやしより細いので本当にサッとゆでるだけで十分だろう。
- 大豆もやし:独特の風味と歯ごたえが最高なので、味噌汁の具におすすめだ。こちらは豆にしっかり火を通すために4~5分はゆでる。ナムルにも向いているぞ。
- アルファルファもやし:他と違って生食できるので、サラダ料理一択である。彩りにもなるし、栄養価が高いのでドレッシングをかけてもりもり食べよう!
一気に5品紹介しているもやし動画レシピを発見したので、以下に紹介しておこう!
定番のもやしナムルやスープのほか、バター醤油で炒めたり、いなりの具にしたり、明太クリームパスタに投入したり…。カロリーが高い料理ほどほどおいしいのは罪深いところだが…もやしが原料なら罪悪感が減るかも!?
雑学まとめ
改めて調べてみたら、ブラックマッペのもやし炒めをなんとしても食べたくなってきた。大型スーパーを根気よく探して、絶対に「あの日のもやし炒め」を作り上げよう。
今では緑豆が流通の9割なので、ブラックマッペを探すのは難しいが、大豆もやしは見かけることがある。筆者のイチオシは味噌汁なので、もし見かけたらぜひ味わい深い豆もやしの味噌汁を作ってみてほしい。