日本人は感受性豊かだ。桜を見て花見、満月を見て月見と、自然を見ながら行う行事が多い。筆者は花見も月見も「花より団子」になってしまう…みなさんも私と同じだと勝手に信じている。
そんな季節行事に欠かせないお団子だが、なんと十五夜にお月見団子を盗んでもいい地域があるようだ。その名もずばり、「お月見どろぼう」。なんだかかわいい呼び方だが、やっていることはどろぼうである。
この風習がある地域では当たり前の光景らしいのだが、筆者は知らなかったのでかなりビックリした。調べてみたらとても和やかな風習で、その地域の子どもたちが羨ましくなってしまったぞ(単に食い意地が張っているだけともいう)。
今回はそんな「お月見どろぼう」についての雑学をご紹介しよう!
【生活雑学】十五夜に団子を盗む「お月見どろぼう」という風習がある
【雑学解説】お月見団子を求めて子どもたちが家々を渡り歩く!
なんとも面白い風習「お月見どろぼう」は、仲秋の名月、いわゆる十五夜に行われる。毎年変動があるが、たとえば2019年なら9月13日(金)が十五夜だ。
その昔、子どもは月からの使者だと考えられており、お月見の夜は子どもたちがお供え物の団子を盗んでもいいとされた。長い竿の先についた針で団子を引っ掛けて盗む、これは子どもにとってはゲーム感覚で楽しい風習だ。
軒先や縁側など子どもたちが取りやすいところに団子を飾り、盗まれた家は豊作に、盗んだ団子を食べた子どもは長者になるという言い伝えがあったとか。
豊作にかけて全国各地の農村部で行われていたが、今では福島・茨城・千葉・山梨・愛知・奈良・大阪・三重・大分・鹿児島、そして沖縄の一部で残っている。中でも愛知県日進市・同名古屋市・三重県四日市市では今でも有名な風習である。
この地域ではお月見の夜になると、玄関先にお菓子が入った箱などが用意される。地域の子どもたちは元気よく「お月見どろぼうでーす!」と叫びながら各家をまわり、お菓子をゲットするのだ。
【追加雑学①】十五夜は「芋名月」
なんとも微笑ましいお月見どろぼうの風習だが、うんと昔は大人も盗んでOKだったようだ。盗んでいいのは団子ではなく「芋」。農村部にこの風習が多いのは、主力作物が芋だったことも関係しているだろう。
十五夜の別名は「芋名月」といわれ、さつまいもの収穫がピークの時期と重なる。このため、この日ばかりは他人の畑から芋を盗んでもいいという太っ腹な風習があったのだそうだ。
ただし、盗んでいいのは畑に片足を入れて届く範囲だけ。豊作の証に、よそさまにもほんの少し恵みをおすそ分けしますよ、という奥ゆかしい風習である。こういった大らかな農村部の風習が、子どものお月見どろぼうに変化していったようだ。
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【追加雑学②】お月見どろぼうは日本のハロウィン
地域の子どもたちが夜になると家々を渡り歩いて、あいさつしながらお菓子をもらってまわる。この光景、どこかで目にしたことがないだろうか?
正解は「ハロウィン」。海外でのハロウィンは子どものための風習で、仮装した子どもたちが地域の家々を「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!」といいながらまわって歩くイベントである。
お月見どろぼうは日本のハロウィンともいわれ、地域の人たちは子どもたちのために夜も玄関に明かりをともし、お菓子をいっぱい用意して待っているのだとか。
今や日本のハロウィンは夜な夜な大人がコスプレして大騒ぎするイベントになりつつあるが、本来は地域の人たちが子どものために開く交流イベント。海外の人たちからすると、お月見どろぼうこそ日本のハロウィンに見えるのかもしれない。
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めっちゃ楽しそう! 月夜にお菓子をもらう子どもたちの動画発見
どこからともなくワラワラとやってくる子どもたち。夜に歩き回ってお菓子をもらいまくる、こんな楽しい風習があるなんて羨ましい…! それにしてもほのぼのとした光景である。
「お月見どろぼう」の雑学まとめ
「お月見どろぼう」についての雑学、いかがだっただろうか。子どものころ、夜遅くに出歩くのはなんだかドキドキする一大イベントだった。おまけに他の家からもお友だちがたくさん参加し、お菓子をもらって大はしゃぎできるなんて夢のような風習だ。
昔から農村部で行われているホッコリ和やかな風習だが、これは日本の治安がとてもいいから持続してきた風習ともいえるだろう。
現存している地域にかぎらず、いろいろな地域でお月見どろぼうが復活すれば、お月見がますます楽しくなるに違いない。もしうちの地域でも復活したら…三十路の筆者が小学生のコスプレをして参戦するつもりである(誰か止めて)。
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