幼いころに「わけのわからない木の実」を食べたことはないだろうか。
小学校までの登下校の道のりにある、街路樹や庭木の木の実をみつけては、「なんの果実だろう?」「おいしそうだな~」と、つい口へと運んでいたことを思い出す。当時は派手な色をした木の実が、それぐらいおいしそうに見えたのだ。
この木の実の中には種が入っていて、これらの種が、また別の場所で芽を出して、大きな木に育っていく。
そう、木の実は木が子孫を残すためのとても大切なものだ。「だったら食べられないように、目立たない色をして、下に落ちるまで大人しく待てばいいのに…」と思わされるところ。
だが、なんでも木の実はわざと派手で美味しそうな色をしているという。今回の雑学では、そんな木の実がどれも派手な色をしている理由を解説していくぞ!
【自然雑学】木の実がどれも派手なのは、鳥にみつけてもらうため
【雑学解説】鳥に種を運んでほしいから
木の実がなる植物は、木の実の中にある種を植えることにより繁殖する。一見すると鳥に食べられたら終わりだし、目立たない色をしてポトリと落ちたほうが、子孫を残せるようにも思う。
それなのになぜ、わざと派手な色をしているのかは、植物の気分になって考えるとよく分かる。
植物:「やっと、木の実ができるまで成長したぞ! このまま、ポトリと下に木の実が落ちれば、ぼくの子孫が残せるぞ! …いや、ちょっと待てよ。ぼくのそばで新しい木が成長すると、窮屈になるな~。
ぼくのそばではなく、遠いところで成長していってほしいな。そうすれば、地球のいろんな場所でぼくの子孫が増えていくことになってうれしい!」
…このように、植物は自分と近い場所で繁殖されるよりも、地上のあちこちで子孫が増えることを望んでいるのだ。
しかし植物自体は動けないため、派手で美味しそうな木の実をつけることにより、鳥がみつけて食べてくれるように仕向けているのである。
その点はご安心を。
鳥に食べられると木の実はなくなるが、消化できない種は鳥の糞(ふん)となって、地上におちる。そこから新しい命が芽吹くのである。
植物は、鳥に種をいろんな場所に運んでもらうために、派手でおいしそうな色の木の実をつけていたのだ。
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【追加雑学①】ニュージーランドには赤くて流線型の木の実が多い
それぞれの国によって、木の実にも特徴がある。たとえば、ニュージーランドの木の実は、赤くて流線型のものが多い。
ニュージーランドには哺乳類よりも、鳥類のほうが多く存在するからである。ジューシーなフルーツ系の木の実より、森の中でも目立つ赤い木の実のほうが、鳥にとってはみつけやすいのだ。
流線形をしているのは、鳥が飲み込みやすくするため。大きさもクチバシに合わせた一口サイズになっている。
【追加雑学②】花の色は白色が多い
ちなみに自然界での花の色は、白色が多いというのは知っているだろうか?
花は虫を誘引するために、美しく目立つ姿や甘い香りを放つものが多い。よって色にしても目立つためのものだ。…しかしそれなら、目立つ赤色のほうが、虫も近づくのでは? と疑問に思わされる。
もちろん赤色の花も存在するが、白色の花のほうが圧倒的に多い…。
なぜかというと、実は赤色は鳥にはアピールできる色だが、虫には通用しない。多くの虫は赤い色を認識することができないのだ。一方白色は、夜に最も目立つ色になるため、夜に活発になる虫を惹き付けることができるという。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。地球上に命を宿すものの中で、人間が一番進化してきたという考えは、おごりだったのかもしれない。
木の実ひとつをとっても、種を残すために最適な姿へと進化しているのだ。しかも人間は、自分自身を変えることより、地球や環境、自然界を変えることにより、生き延びてきたといっても過言ではない。
植物はさまざまな創意工夫により、自然界とうまく共存できる道を選んできた。人間も同じ生き物なのに、ひょっとすると生きることの本質は、植物たちのほうがずっと理解しているのではないか…?