一般的な植物は声をだしたり、動いたりはしない。「キレイ」「癒やされる」とは思うものの、人間から見たら植物はそこに生えているだけの存在だ。
植物を加工し、ハーブや花の香りを楽しんでいる人は多い。その「におい」が、植物のコミュニケーション手段と知っていただろうか?
人間には察知できない、植物世界のやり取りについて解説するぞ。この雑学を知れば、植物を見る目がガラリと変わるかもしれない。
【自然雑学】植物は「におい」でコミュニケーションをとっている
【雑学解説】植物は周囲の仲間に「におい」で危険を知らせている
植物にとって一番危険なのは、自身を食い荒らす害虫の存在だ。葉や幹をボロボロにしたり、病気を運んできたりすれば、抵抗できない植物はいずれ枯れてしまうだろう。
食い荒らした後の害虫は、次なるターゲットへと移る。害虫にされるがまま…かと思いきや!?
「においを介した植物間コミュニケーション」という論文によると、なんと害を受けると植物は、においを使って周囲の仲間にシグナルを発するのだ!
受け取った植物は、葉を食べる害虫が嫌うにおい物質を分泌する。周囲に危機を知らせたり、植物の仲間がまわりから嫌がるにおいを出すことで被害を最小限に抑えるのだ。
植物の種類にもよるが、カビや病原体への防御物質を増やす、幼虫の成長を阻害するといった効果の物質を出すこともあるのだとか。
【追加雑学①】植物は「におい」で虫を操っている
コミュニケーションは植物間だけでの話ではない。虫を惹きつけるにおいを発することで、自身のボディーガードにすることもあるのだ!
害虫の天敵である虫を呼び出し、食べてもらう。人間が感知できない微量なにおいではあるが、それを虫は嗅ぎ分け、植物までたどり着くのである。
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しかも、害虫の種類によって、発するにおいの成分を変化させる植物まである。害虫の天敵をピンポイントで呼び寄せるのだから、なんとも賢い…!
虫を操って自分を守らせるのは、動けない植物ならではの知恵だろう。虫も苦労せずにエサの場所がわかるので、まさにwin−winの関係だ。
【追加雑学②】植物と虫の意外な協力関係
キャベツは天敵の青虫に齧られると、コナガコマユバチを呼び寄せる。なんとこの虫、青虫の体に卵を産み付けて、孵化した幼虫が体の中から食い破るのだ…! ウニョウニョと出てくる様子は、まるで悪夢である。
また、煙草の元になるワイルドタバコは、スズメガの幼虫を察知すると、数時間も立たずに天敵であるカメムシの仲間が集めてくる。
大人しいように見えて、なかなか苛烈な反撃である…。植物がここまで考えているのか…と少しだけ恐ろしくなった。植物にとってこれらの虫は、まさにベストパートナーなのだろう。
雑学まとめ
か弱いと思い込んでいた植物だが、予想外のしたたかさを持っていることがわかった。においというコミュニケーション手段があったとは…。
反撃が出来ない植物ならではの知恵なのだろう。長い年月をかけて、天敵を退けるために植物も進化してきたのだなぁ。
人間もにおいが読み取れるようになったら、植物とコミュニケーションを取れる日も来るのだろうか? 害と思われて、何を言われるか少し心配ではある。