我々日本人にとって、野生の姿をみることがなく動物園でしか会えないサイ。あまり詳しく知らない人が多いのではないだろうか。そもそもサイには「シロサイ」と「クロサイ」がいるという。名前をきいたことはあっても、その違いまでは知らないだろう。
「シロサイとクロサイの違いって、アレしかないんじゃない?」という意見のあなたに、ぜひ読んでいただきたい雑学をご紹介しよう。おそらく、人に教えたくなるぞ。
【動物雑学】シロサイとクロサイの違いは?
【雑学解説】シロサイとクロサイの違いと見分け方はコレだ!
そもそもシロサイは「サイ科シロサイ属」、クロサイは「サイ科クロサイ属」であり、属性が違うのだ。シロサイは群れで生活し、クロサイは単独行動をする習性がある。
見た目で一番判断しやすいのは体の大きさだ。シロサイはかなり大きく体長4m前後で、オスの体重は2t~3tもある。対してクロサイは体長2.8mほどで、体重も大きいオスで1.3tだ。また、サイの特徴であるツノも、シロサイの方が長くて大きいツノをもっており、クロサイのツノは短い。
もうひとつの見分け方は口のかたちである。幅が広く四角い口をしているのがシロサイで、尖った口をしているのがクロサイだ。シロサイは地面の草を、クロサイは樹木の葉や果実をつまみとって食べるため、それぞれのエサを食べるための適した口のかたちをしている。
どちらの口もかわいいなあ。そして、おめめがつぶらだ。動画で、からだの大きさや口のかたちの違いをおわかりいただけただろうか。
見た目でわかる違いは以上だ。…あれ? と思うだろう。シロとクロで見分けるんじゃないのか? そう、実はシロサイもクロサイも灰色なのだ…!
【追加雑学①】白いサイと黒いサイじゃなかった!
シロサイとクロサイの違いをご紹介したが、「色が白いのがシロサイで、クロサイは黒いからでしょ」と思っていた人、挙手! たくさんいるだろう! もちろんわたしもそう思っていたぞ。
そして、さきほどからシロサイとクロサイの違いを列挙しながら、この言葉をいいたくて仕方がなかった…「色の違いじゃないんだってさ!」いやあ、驚いたよ。ではなぜ、色の違いはないのに「シロサイ・クロサイ」という名前がついたのか?
実は、前述したシロサイの特徴に理由がある。シロサイが生息している現地の言葉では、シロサイは「幅広い」という意味の「wijde」と呼ばれている。口の幅が広いシロサイを「wijde」と呼んだが、これが英語に訳された際に、発音の似ている「white」と間違われてしまったというのだ。
英語で「white rhinoceros=白サイ」と名付けられてしまったため、不本意ながらそのまま「シロサイ」と呼ばれているのだ。じゃあ、クロサイはどうなんだ! これはもっとテキトウ。シロサイと区別する目的で「シロじゃないから、クロにしよう」と名付けられたという!
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【追加雑学②】シロサイとクロサイどちらも実は獰猛
サイといえば、からだが大きくかわいらしいつぶらな瞳。そのビジュアルから、おっとりした印象をおもちの方も多いかもしれない。
しかし、シロサイもクロサイも実は獰猛なのだ。サイのなかで比較的穏やかな性格のシロサイも、裏を返せば臆病なので、攻撃的な性格ではないが非常に縄張り意識が強く、侵入者には容赦しない。
巨体を揺らしながらなんと時速50㎞で走るし、そのスピードと重量で突進・体当たり! さらにあの立派なツノを突き刺してくる! 徹底的に攻撃してくる性格から、世界最強ともいわれている。
しかも、サイの皮膚は「鎧」と形容されるほど非常に堅い! 皮膚の厚さが1.5~5㎝もあるため、肉食動物に噛みつかれてもノーダメージなのだ。
からだが大きく力持ちだが普段はおとなしい子が、恐怖心から自己防衛で力を発揮したとき、普段イキっている子よりよっぽど強いことってあるよね。
サイは絶滅危惧種
とても強いサイなのだが、現在世界的に生息数が少なく、絶滅危惧種になってしまった。とくにクロサイは最も絶滅の危険に瀕している「近絶滅種」に指定されている。
世界最強といわれるサイが、なぜ絶滅危惧種になってしまったのか? 原因は残念ながら我々人間なのだ。昔は、サイのツノが癌などの病気に効くという噂があり(実際にはそんな効果はないのだが)、高額で取引されるようになったため、乱獲にあった。
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また、サイのツノは工芸品としても使われ、瞬く間に生息数は減ってしまった。いまだにサイの密漁が行われている地域もあるが、現在はサイの保護活動がはじまり、徐々にその数も回復しているのだという。
雑学まとめ
シロサイとクロサイはなにが違うのか…ぱっと見分けるには、からだの大きさやツノの大きさ、口のかたちの違いに注目だ。
これは、「シロサイは白くてクロサイは黒い」だなんて、名前に惑わされて思い込んでいる人々(わたしも含め)に、色で見分けることはできないんだよ! と、張り切って披露できる雑学だ!
「幅広い」という現地の言葉と「white」の発音が似ていたせいで、勘違いされ「シロサイ」、さらに「シロじゃないからクロ」という、かなりゆるいネーミングをされてしまったクロサイが気の毒だ。
いや、本当に気の毒な勘違いは、サイのツノが病気に効くなんていう、人間の金もうけのための思い込みに他ならない。野生動物は人間のために存在しているのではないのだ。