「学校の椅子」と言われて多くの人が思い浮かべるのは、おそらく背もたれのある、木と鉄のパイプで作られた椅子だろう。
しかし学校の椅子は、何もその一種類だけではない。理科室の椅子には背もたれがないことに、あなたは気付いていただろうか。
背もたれがないと子供が椅子の上で立ったりして、危ないのではないか? と思わされるが、実はその逆。理科室の椅子に背もたれがないのは、子どもたちを守るための配慮からだった!
【生活雑学】理科室の椅子に背もたれがない理由とは?
【雑学解説】椅子に背もたれがないのは、子どもを危険から守るため!
理科室の椅子に背もたれがないのは、主に以下の2つの理由からだ。
- 実験の邪魔にならないため
- 万が一の事故が発生した際、逃げやすくするため
まず理科の実験というと、火や薬品を扱う関係上、座って行うことは少なく、立って行うのが普通だ。そのため、実験の邪魔にならないよう、椅子は机の下にしまえるようになっている。
また火災やガスが発生するなど、万が一の事故が起きたときに逃げやすくするという意味でも、椅子に背もたれは設けられていない。大人の我々にはわかりにくいが、背の低い子どもの視点では、椅子の背もたれは視界をさえぎるものとなり、逃げる際の障害となるのだ。
また服が背もたれに引っかかって逃げ遅れるなど、想定外のアクシデントも起こりかねない。さらに椅子をひっくり返してフラスコなどを割ってしまったら、事態はより悪化しそうである。
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ん~、理科室の椅子…どんな感じだったっけ? という人のために、動画も紹介しておこう。懐かしい! やっぱりどこの学校でも内装は同じ感じなのか。
このように理科室の椅子に背もたれがないのは、子どもたちを危険から守るためなのだ。しっかりと指導を行いながらやるといっても、実験に危険は付き物なのである。
ちなみにこの背もたれを設けない決まりは、国によって定められたもので、文部科学省の発行する『学校用家具手引』のなかにも厳密に記載されているぞ!
【追加雑学】理科室の机も安全に配慮されたもの
理科室は椅子だけでなく、机も安全に配慮されたものになっている。理科の実験ではガスバーナーなどの火を使う場面が多いため、机には不燃性の塗料が塗られているのだ。
また理科室の机といえば、黒い天板を思い浮かべる人が多いだろう。あの黒い天板が使われているのは、白い粉末や薬品を使うことが多く、それをこぼしてしまったときにわかりやすいからなのだ。
理科の実験には危険がたくさん潜んでいる。万が一のことが起こらないよう、設備にもさまざまな工夫が凝らされているのである!
雑学まとめ
理科室の椅子に背もたれがないのは、実験の邪魔になったり、事故の際に逃げ遅れる子どもが出たりしないようにという、安全面への配慮からだった。机が燃えない素材になっていることも、またしかりだ。
子どものころは気に留めることもなかったが、我々が無事に学校生活を送れたことには、このような大人たちが考えた工夫がいくつも隠されていたのである。大人になった今、私たちも子どもたちのためになるものを残していければ…と思う次第だ。