学生の頃クラスに1人はいた、佐藤さんや鈴木さん。
この雑学記事を読んでくれている方が佐藤さんや鈴木さんである確率も、けっこう高いのではないかと思う。
では、全国の佐藤さん・鈴木さんはご自分の名字の起源をご存知だろうか。
佐藤姓・鈴木姓のルーツを辿ってみると、なかなか古い歴史を持っていることがわかったぞ! 歴史ある佐藤さんと鈴木さんの名字は、なぜ多いのか。
調べてみると、思わず「え、そんな理由なの!?」と言ってしまうほどあっさりした理由だった!
【生活雑学】佐藤さんと鈴木さんが多い理由
【雑学解説】佐藤さんや鈴木さんが多いのは、役場の出した「名字の例」が理由
庶民が名字を名乗れるようになったのは、明治維新後からである。
それ以前、庶民は公に名字を名乗れなかった。しかし、公にしなければいいだけであり、先祖から代々伝わってきた名字を私的に使うぶんには問題なかったのだ。
明治時代になると、政府はほぼ強制的に、庶民に名字を名乗らせる政策を出した。
名字を役場で登録する際、それまで私的に名乗っていた名字を登録したり、住んでいた地名や地形の特徴を名字として登録した人もいた。
しかし、「名字って何?」「どんな名字を付ければいいかわからん」という人も、もちろん多くいたわけだ。今までなかったものを急に考えて付けろと言われても、そりゃ困る。困った庶民は役場に相談に行くことにした。そして役場から提示されたのが、名字の参考例。
どうやらその例に「佐藤」と「鈴木」が書かれていたため、考えあぐねた多くの庶民は、それらをそのまま使用したらしいのだ。
諸説あるが、佐藤さんと鈴木さんが多い理由は、このような単純なことだった…!
【追加雑学①】全国名字ランキング
2018年の全国の名字ランキングトップ5を紹介しよう。
1位 | 佐藤(約1,887,000人) |
2位 | 鈴木(約1,806,000人) |
3位 | 高橋(約1,421,000人) |
4位 | 田中(約1,343,000人) |
5位 | 伊藤(約1,081,000人) |
やはり佐藤さんと鈴木さんは不動のツートップとして君臨している。
1位の佐藤さんと2位の鈴木さんはおよそ8万人差だったが、2位の鈴木さんと3位の高橋さんとはおよそ40万人差ということで、佐藤さんと鈴木さんが圧倒的に多いことがわかる。
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【追加雑学②】佐藤姓の起源について
佐藤という名字の起源はいくつかあると言われている。
1、「左衛門尉(さえもんのじょう)」説
平安時代中期、関東地方に一大勢力を築いた藤原秀郷(ふじわらのひでさと)の子孫・藤原公清(ふじわらのきみきよ)が、「佐藤」姓を初めて名乗ったといわれている。
当時の日本では、「藤原さん」のように、人を名字だけで呼ぶことは少なく、職業や店名を付けて呼んでいたらしい。
たしかに、藤原氏が多くいたであろう平安時代に、「藤原さん」だけではどの人を指すかわからず宛先ミスが多発してしまう…。
公清は、「左衛門尉の藤原」と呼ばれていたそうだ。「左衛門尉」は、「左衛門」・「左門」などと略されることが多かった。そして昔は姓名のうちの一字をとって呼ぶことも多かったという。
「左衛門尉の藤原」が「左衛門の藤原」になり、「左門の藤原」→「左門の藤」→「左藤」→「佐藤」と変化していったといわれている。
A:「『左衛門尉の藤原』って長すぎじゃない?』」
B:「もう『左門の藤』で良くない?」
A:「いや、もういっそ『左藤』で」
公清:「じゃあ今度から『佐藤』って名乗るわ」
…という感じだったかは不明だが、昔の人はせっかちだったのだろうか。
2、「下野国佐野(しもつけのくにさの)」説
上記で登場した藤原秀郷は、関東地方で勢力を拡大した人物で、その子孫たちが下野国佐野(現在の栃木県佐野市)に移り住んだ。
職業を付けて名前を呼ぶことが多かったのと同様に、地名を付けて呼ぶことも多かったため、「佐野の藤原」→「佐野藤原」→「佐藤」になったといわれている。
3、「佐渡の守(さどのかみ)」説
地方の管轄をする「○○の守」という官職があった。
佐渡でその官職についていた藤原氏が「佐渡の藤原」を名乗り、そこから「佐藤」になったという説である。
4、「佐(すけ)」説
朝廷の官職で2番目に高い地位に「佐」という役割があった。その「佐」を務めていた藤原氏が「佐藤」と名乗ったという説。
このように様々な説があるが、真相は不明。しかし、藤原氏に関係する名字であることは間違いなさそうである。
また、日本の佐藤さんのうちの半分程度が、東北地方の佐藤さんだそうだ。東北地方は奥州藤原氏の勢力が強く、一族が「佐藤」として広がっていったためだ。
上の項目で述べた「私的に名字を名乗っていた人たち」の中で、藤原氏の流れをくむ佐藤姓を使っていた人も多かったのではないだろうか。
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【追加雑学③】鈴木姓の起源について
日本で最初に「鈴木」が登場するのは、かなり昔の古事記の時代! 和歌山の熊野信仰がルーツだそうだ。
イザナギとイザナミのひ孫、ニギハヤヒノミコトの子孫が熊野に移り住み、物部(もののべ)氏という豪族となった。物部氏は熊野大社を建て、代々神官を務めるようになる。
神官が行う儀式は、稲穂を高く積み上げて、真ん中に木を1本立てるというもので、その真ん中に立てた木を「ススキ」と呼んでいた。そしていつしかこの儀式を仕切るリーダーのことを「ススキ」と呼ぶようになり、それが「スズキ」となり、名字として使われるようになったそうだ。
そして時は流れて、徳川家康の時代。家康が生まれた松平家に、「鈴木」という名字の人が嫁ぎ、家康の親戚に「鈴木さん」が多くなったらしい。「鈴木というのは、あの徳川家康の親戚の名字らしい」ということが世間に伝わり、後々名乗る人が多くなっていったといわれている。
雑学まとめ
佐藤さんと鈴木さんが多い理由は、なかなかあっさりとしたものだった。たしかに、参考例が書いてあったらそれを真似してしまうのは自然の流れだろう。
もし、現在では珍しいと言われている名字が当時の参考例として書かれていたら、その名字は珍しいものではなくなっていたかもしれない。
明治時代の役場が「佐藤」や「鈴木」を参考例として出したのは、それぞれの名字が長い歴史を持つ由緒正しい名字だったからなのだろうか…。
このように、名字のルーツを辿ると面白い発見があったりするものだ。自分の名字の由来や元になる雑学を調べてみると、歴史上の偉人がご先祖様だった…なんてこともありえるぞ!
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