江戸時代

三猿の"見ざる聞かざる言わざる"には4匹目が存在する【日光東照宮】

雑学カンパニー編集部

雑学カンパニーは「日常に楽しみを」をテーマに、様々なジャンルの雑学情報を発信しています。

「見ざる言わざる聞かざる」以外のサルもいたという雑学

日光東照宮の【三猿】

日本屈指の観光地である栃木県の日光東照宮には、有名な「見ざる言わざる聞かざる」のサルの彫刻がある。「三猿」と呼ばれ、眠り猫とならぶ人気の重要文化財だ

さて、この彫刻を実際みたことのある人は、「見ざる言わざる聞かざる」の他にもたくさんサルがいるなあと思ったのではないだろうか? 有名な三猿ばかりに目が行きがちだが、日光東照宮にはサルの彫刻が複数あり、それぞれ興味深い意味をもっている

そしてさらに興味深い雑学をご紹介しよう。実は、「見ざる言わざる聞かざる」には、本来セットになるはずの4匹目が存在していた…

【歴史雑学】「見ざる言わざる聞かざる」以外のサルもいた

秀吉くん
信長さん、『日光東照宮に本来いるべきだった4匹目の猿…それはお前だ!』なんて言うんでしょ…。
信長さん
馬鹿な。俺がそんなひどいことを言うと思っているのか?ところで、その4匹目の猿は、『ある事情』があって彫刻にしてもらえなかったのだ。

【雑学解説】サルの彫刻は8面あり、人間の一生を風刺している

サルの彫刻は8面あり、人間の一生を風刺しているというトリビア

有名な「見ざる言わざる聞かざる」の彫刻は、日光東照宮表門から入って左手にある「神厩舎(しんきゅうしゃ)」という馬小屋の屋根の下にある。しかし、実はサルの彫刻はその「三猿」だけではない

神厩舎のサルの彫刻は全部で8面あり、それぞれ違うサルの様子が表現されていて、それが物語形式で人間の一生を風刺している。有名な「三猿」はこの中の第2面に登場する。つまり、「見ざる言わざる聞かざる」は総勢16匹のサルが登場する物語のなかの一部なのだ。

下記の動画で実際のサルの彫刻をみることができる。

信長さん
お、お前の仲間がたくさんいるな!
秀吉くん
やっぱりそういうこと言うじゃないっすか…。
  • 1面…母ザルと子ザルの彫刻。母ザルは手をかざしてこどもの将来をみている。人生のスタートだ。
  • 2面…幼年期のサルを表した「見ざる言わざる聞かざる」
  • 3面…座った姿勢の1匹のサルの彫刻。独り立ち直前の様子。
  • 4面…天を仰ぐ2匹のサルの彫刻。志を抱く青年期を表現している。
  • 5面…うつむいたサルと寄り添うサルの彫刻。人生の崖っぷちを表現している。
  • 6面…座り込み正面を見据えるサルの彫刻。恋に落ちて悩んでいるサルらしい。
  • 7面…結婚した2匹のサルの彫刻。波やバラの花の彫刻が夫婦の第二の人生を表現している。
  • 8面…お腹の大きなサルの彫刻。良い家庭を築き子宝に恵まれた様子を表している。

そして第1面の彫刻へとまたつづいていく、というわけだ。第2面の「見ざる言わざる聞かざる」には「子供のころは世の中の悪いことを見たり言ったり聞いたりしないように、悪いものを吸収しないで育ちなさい」というメッセージが込められている。

このトリビアだけで、現地で実際にサルの彫刻を見てみたい衝動にかられるのだが、さらに興味深いことに、「見ざる言わざる聞かざる」には、実は4匹目のサルが存在していたというのだ!

スポンサーリンク

三猿は実は四猿だった

三猿は実は四猿だったというトリビア

「見ざる言わざる聞かざる」には前述のような意味が込められているが、これは、孔子の論語「非礼勿視・非礼勿聴・非礼勿言・非礼勿動」から引用された教訓なのだ

  • 非礼勿視=「礼に背くものを見るな」
  • 非礼勿聴=「礼に背くものを聞くな」
  • 非礼勿言=「礼に背くものを言うな」
  • 非礼勿動=「礼に背くことをするな」
秀吉くん
これが『見ざる言わざる聞かざる』の元ネタなんっすね。

このうち、多くの人が初耳かもしれない「するな」の教えは、余りある欲は災いをもたらすという意味をもち「嘘や卑猥なこと」を禁止する性的戒めだ

ここでお気づきだろう。この教訓、4つなのでは? そう。サルが1匹足りてないぞ! 中国では三猿ではなく四猿であり、孔子の教えを彫刻で再現するのなら、サルが4匹いなければいけなかったのだが…。

4匹目のサルが彫刻にされなかった理由とは

なぜ、4匹目のサルは彫刻にしてもらえなかったのか? それは、このサルのもつ意味に原因があるのだ。ここで、孔子の言葉をおさらいしよう。「見るな・聞くな・言うな・するな」だ。だから、三猿たちは目・耳・口をふさいでいる

それでは、「するな」のサルは? なんと、実は股間を両手でふさいでいるのだ! はい、彫刻にしてもらえなかった理由はこれでした。

信長さん
これは日光東照宮には置けないな…。
秀吉くん
神社っすからね。

「四猿(しざる)」だと死を連想させて縁起が悪いという理由や、徳川家康公を祀った神聖な場所に下品な彫刻がふさわしくないという理由があるようだが、やはり股間をふさいでいるサルは露骨すぎて、こどもたちに対して「見ざる」だったということか。

【追加雑学】海外における「見ざる言わざる聞かざる」

海外における「見ざる言わざる聞かざる」についてのトリビア

日光東照宮の三猿は、孔子の教えが由来の彫刻だったことがおわかりいただけたと思うが、この「見ざる言わざる聞かざる」の教訓は、孔子が現れる以前の古代から存在していた

なんと、古代エジプトやアンコールワットにも、三猿のモチーフが存在していたのだ! シルクロードによる国際貿易によって広まり、世界共通で人の生き方を指し示したという。古代インドにも、神の使いとされるハヌマーンというサルがいて、これが三猿のモチーフになったといわれている。

信長さん
猿は神の使いか…。
秀吉くん
ちょ…信長さん、ニヤニヤしながらこっちを見ないでくださいっすよ!

インドのマハトマ・ガンディーは三猿の像をいつも身に着け、教えを説いていたという。アメリカでも教会で三猿を用いて「卑猥なものを見ない・聞かない・言わない」と諭すのだとか。また、ヨーロッパにおいて、三猿は「三賢猿」と呼ばれている。

孔子さんが、この古代からの三猿を知っていて論語のなかに組み込んだのか、たまたま似たような教訓になってしまったのか、それはわからないが、時代や国により多少解釈は違えど、「見ざる言わざる聞かざる」という道徳は世界共通なのだ

雑学まとめ

三猿の"見ざる聞かざる言わざる"には4匹目が存在する【日光東照宮】についての雑学まとめ

今回は、有名な「見ざる言わざる聞かざる」のサルの彫刻についての雑学をご紹介した。日光東照宮には「眠り猫」を含め、たくさんの動物の彫刻が彫られている。「見ざる言わざる聞かざる」はそのなかの一部にすぎない。人の一生を風刺した彫刻のサルたちは全部で16匹

たくさんのサルの彫刻のなかでも、「見ざる言わざる聞かざる」はあまりにも有名で、誰もが知っている。それは、孔子の教訓を誰にでもわかりやすいようにサルの彫刻で表現して広めた、日光東照宮の広報力のたまものだ

孔子の教えはおろか、読み書きさえ一部の日本人しか学ぶことができなかった江戸時代に、いかにして道徳を広めるか。当時の寺社は仏像や彫刻・物語など、わかりやすく興味をもってもらえる手段で、広く民間に説いたのだ

実際、彫刻を目にすると様々なメッセージが込められた丁寧な構成に、クリエイティブな力を感じることができる。ちなみに、日光東照宮の建築に関わった彫刻師は22万人にものぼるのだという。

もしも日光東照宮が、孔子の教えに登場するはずの4匹目のサルを並べていたとしたら…。思春期の修学旅行生が「みろよ! あのサル股間おさえてるぜ~!」という具合に、大喜びで食いついていただろうなあ。

信長さん
この猿は侍の格好なんかしてるぞ~!
秀吉くん
ちょ、修学旅行生のマネして僕をディスらないでくださいっす!

いま読まれている記事

  • この記事を書いた人

雑学カンパニー編集部

雑学カンパニーは「日常に楽しみを」をテーマに、様々なジャンルの雑学情報を発信しています。

© 2020 雑学カンパニー