日本人の伝統的な座り方・正座。私はこの正座というものが大嫌いだ。足はしびれるし、しばらく立つことも歩くこともままならなくなってしまう。
「どうしてこんな不便な座り方が、正式な座り方になったのか」「そもそも昔の人がこんな苦しい座り方を、普通にしていたとは思えない!」と、子供のころは思ったものだ。
本当に正座が日本人の伝統的な座り方なのだろうか? 実は、正座が正式な座り方として定着したのは、それほど昔のことではなかったのだ!
今回は、知っているようで知らない、正座についての雑学を紹介していこう。
【歴史雑学】どうして日本人は正座が伝統になったのか?
【雑学解説】きっかけは明治時代
正座自体は奈良時代に伝わってきたものではあるが、正座が「日本人の正式な座り方」として定着したのは、なんと明治時代のころだった。
明治時代といえば文明開化の時代。西洋諸国に追いつくように頑張っていたころだ。そんな中、外国の文化との違いを強くするために、「正座が日本人の正式な座り方」として政府が広めたのだ!
このほかにも、日本人に正座が定着した原因の1つとして、畳が普及したことも挙げられる。
それまでの畳は高級品で、部屋全体に敷き詰められるようになったのが室町時代のころだった。しだいに一般的に普及したことで、正座も定着していったという説がある。
「伝統的な座り方」といわれるから、どれほど古い時代から受け継がれていたのだろうと思えば、明治時代とは、そんなに昔のことではなかった。なんとも理不尽な歴史の流れである。
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【追加雑学】意外と日常的ではなかった正座
最初にも少し話したが、正座は奈良時代に中国から伝わった座り方だ。しかし、正座をする場面といえば、仏さまや神さまにお祈りをするときや、将軍など身分の高い人にひれ伏すときぐらいだ。
「正座」という言葉自体もなく、そういった座り方を指すには「かしこまる」や「つくばう」といった言葉が使われた。そもそも、「正座」という言葉が生まれたのは明治時代のころという説がある。
さて、特別な場面でしか使っていなかった正座だが、それ以外の日常的な場面ではどのような座り方をしていたのだろうか?
基本的には「あぐら」である。身分も男女も関係なく、基本的にみんな「あぐら」で座っていたのだ!
歴史上の人物の肖像画を見てほしい。だいたいみんな「正座」ではなく「あぐら」で座っている。正座のイメージが強い茶道の始祖・千利休(せんのりきゅう)でさえ、「あぐら」をかいた姿で描かれているくらいだ。
正直、「伝統的な座り方」を指すのなら「あぐら」が適切なのではないだろうか? たしかに「正座」は「きちんとした礼儀正しい座り方」という意味では納得がいくが、一般にも定着したのは明治時代からと最近だ。
日本人の座り方の歴史を知れば知るほど、あんなに苦しい座り方が「伝統的な座り方」とされて当たり前となっていることに、私は納得がいかない…。
雑学まとめ
正座についての雑学、いかがだっただろうか。正座といえば「日本人の伝統的な座り方」というイメージをもつ人がいるかもしれない。しかし、正座が一般に定着したのは、明治時代からだ。
それまでは、お祈りのときや将軍に対しての座り方としては使われることはあったものの、基本的には「あぐら」で過ごしていた。
明治政府の普及がなければ、今頃は「正座をしなさい!」と、苦しい座り方を押し付けられることはなかったかもしれない…。