先日、妻とケンカになった。やつときたら、せっかく筆者が作った料理が見えなくなるまで七味唐辛子を振りかけたのだ。辛党なのは知っているが、もとの味が分からなくなるまで七味を振りかけるのはいかがなものか。
我が家の食卓事情は置いておいて、七味唐辛子がすばらしい発明品であることは事実である。蕎麦に牛丼に、風味豊かな七味は欠かせない。
ところで、一味唐辛子は唐辛子「だけ」。では七味唐辛子って何が入ってるの? そもそも七味唐辛子ってだれが発明したの? これは調べる価値アリだ。今回の雑学では七味唐辛子の秘密に迫る!
【食べ物雑学】七味唐辛子はもともと風邪薬だった
【雑学解説】まさかの「もとは風邪薬」という真実…!
唐辛子が世界的に認知されたのは、実はコショウなどよりもずっと最近のことだ。新大陸を発見したコロンブスが唐辛子も発見し、世界中に広まるきっかけになったという。コショウよりなお辛く、汗が出て体の温まるふしぎな薬草だった。
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日本への唐辛子の渡来は16世紀中ごろ。日本独自の七味唐辛子は「医者町」ともいわれた薬研堀(やげんぼり)という場所で、1625年(寛永2年)に「漢方薬をなんとか食用にできないか」と工夫の末に生まれたとされている。
元祖の発売元は「やげん堀唐辛子本舗」。その七味の中身は、生の赤唐辛子・炒った赤唐辛子・粉山椒・黒ゴマ・ケシの実・麻の実・陳皮(みかんの皮)。実はこれらはすべて風邪にとてもよく効く漢方薬として有名なのだ。
元祖七味唐辛子は調味料としてもたいへんおいしくできていた。江戸の庶民は、当時の屋台でよく食べられていた熱々の蕎麦にこの七味唐辛子を振りかけ、無意識のうちに風邪予防をしていたというわけだ。
【追加雑学①】日本三大七味はそれぞれ特徴がある
七味唐辛子はすっかり日本全国に広がり、今では薬効というよりおいしさが重視されている。長い歴史の中で洗練され、「日本三大七味」といわれる有名な3店舗を生み出した。それぞれの店舗と七味の基本は以下である。
- やげん堀
- 七味屋本舗
- 八幡屋磯五郎
東京浅草「やげん堀」は、唐辛子・焼唐辛子・黒コショウ・山椒・陳皮・ケシの実・麻の実。これが前述した元祖の七味唐辛子になる。唐辛子が2種入っているのが特徴だ。
京都の清水「七味屋本舗」は、唐辛子・山椒・麻の実・白胡麻・黒胡麻・青のり・青紫蘇。香りが強い薬味を中心とした香り高い七味である。
信州の善光寺「八幡屋磯五郎」は、唐辛子・山椒・生姜・麻の種・胡麻・陳皮・紫蘇。香りと辛さのバランスがいい組み合わせだ。
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【追加雑学②】オリジナル七味が作れる!? パッケージまで制作可能
東京浅草の「やげん堀」、信州の「八幡屋磯五郎」はもとより、全国で店舗を構える七味唐辛子専門店の多くは、店頭でオリジナル七味を作れることが多い。自分好みに調合できるのだ。
基本の七味の量をそれぞれ微調整して「より辛く」「辛さより香りを」といったオーダーをすることが可能。これは通好みの裏技だ。
八幡屋磯五郎では、店頭でなんと20種類以上の薬味から完全にオリジナルを制作することができる。さらには、七味の容器(缶)に写真や文字などを特注してパッケージまで変更可能である。
パッケージはネットから申し込むことができる。記念品や結婚式の引き出物としてオリジナル缶を作る人がいるそうなので、オリジナルを作りたい人は必見だ。
店頭でオリジナル七味を調合する様子。スパイスの多さに注目しよう!
八幡屋磯五郎の店頭でオリジナル七味を作る動画がこちら。まるでアイスクリームのショーケースみたいに、薬味が並んでいる…。種類の多さに要注目!
雑学まとめ
七味唐辛子についての雑学、いかがだっただろうか。七味唐辛子がもともと漢方薬だったとは驚きだ。たしかに体によさそうな材料だし、唐辛子で身体を温めて風邪予防するのは理にかなっている。しかし漢方薬を蕎麦に振りかけていたとは…蕎麦を見る目が変わってしまいそうで怖い。
意中の相手がいる人は、オリジナル七味を作るデートに誘ってみよう。意外性に相手もイチコロである(成功するかどうかは自己責任でお願い致します)。
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