クモといえば糸を吐く虫というイメージがあるだろう。
スパイダーマンは糸をワイヤーのように使い、空を飛びながら移動するが、本物のクモは糸を出して風を利用することで空を飛ぶことができる。また、クモは糸を使って網をはることで獲物を捕らえている。しかし、全てのクモが糸で網をはって捕らえているわけではないらしい!?
網をはらないクモがいるという雑学をご紹介しよう。
【動物雑学】網をはらないクモがいる
【雑学解説】クモの半数は網をはらずに生活する
クモというと、糸で網をはって獲物を捕らえる生物というイメージが強い。基本的に虫を捉えることが多いが、網にかかったものなら鳥だろうと何だろうと食べてしまう。
人間の家の中に網をはることも珍しくなく、クモの糸が体に絡まった経験のある人はかなり多いだろう。建物の中にクモが網をはっているのを見て、クモって網をはる生物だとしか思えない。
しかし、クモの半数は網をはらずに生活しているという。
日本のクモに限っても総数は1000種類ほどいる。そのなか、半数近い約400種は網をはらないクモなのだ。
網をはるクモは「造網性」と呼ばれており、網を作って獲物がかかるのを待ち構える習性がある。一方、「徘徊性」と呼ばれるクモは網をはらずに、自分から移動して獲物を探し回るのだ。
徘徊性のクモも狩りに糸を使うことはあるが、待つのではなく自分から積極的に獲物に攻撃をしかけることが多い。
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下の動画は日本でよく見られるハエトリグモの映像だ。
ハエトリグモは典型的な徘徊性のクモで獲物を探して動き回っており、人間の家の中にもよく現れるポピュラーなクモだ。
関西にいるアシダカグモはかなり大型だが、足が非常に速くゴキブリの天敵として知られている。また、ネズミを捕食することも珍しくないという。下の動画はアシダカグモを撮影したものだ。
アシダカグモは人間の家の中に現れることもよくあるが、獲物がいなくなると自然と外に出ていくという。アシダカグモが現れたということは、ゴキブリが家の中にいる可能性が高い。
このアシダカグモはもともとインドに生息していたクモで、19世紀に外国から船に乗って日本に来たと考えられている。ゴキブリ駆除のために輸入されたという説もあるが、真相は不明である。
思い返してみると、意外と歩いているクモを見ることは多い。しかし、網をはる印象が強いせいか、ほとんどのクモは網をはって獲物を待ち構えていると思ってしまっていた。思い込みはいけないな…。
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【追加雑学①】全てのクモは毒をもっている
毒蜘蛛というとタランチュラのようにごく一部のクモというイメージがあるかもしれない。しかし実際は、全てのクモが毒をもっているという。
小さなクモが自分より大きなアリに襲い掛かることがある。体格差があるのにも関わらず、攻撃を受けたアリは動きが鈍くなって、クモに捕まってしまうことは珍しくない。
クモの毒はそれほど強力ではないことがほとんどだ。だが、クモとあまり大きさが変わらない生物に対しては十分有効な武器になる。
猛毒をもつクモというとタランチュラのイメージがあるかもしれないが、実際のタランチュラは大きいだけのクモがほとんどだ。強力な毒をもつタランチュラはごく一部だという。
また、人間の命にかかわるような猛毒をもつクモはほとんど存在しない。噛まれたとしても大して気にする必要はないらしい。
意外にクモに噛まれて死ぬ人間はほとんどいないそうだ。毒をもつイメージの強いヘビによる死者は年間数万人といわれており、クモよりもヘビのほうがよっぽど殺している。
一応、全てのクモの毒はアナフラキシーショックを起こす可能性があるので、危険がないわけではない。また、日本に外来種として入り込んだセアカゴケグモ、ハイイロゴケグモは強力な毒をもっているので注意が必要だ。
【追加雑学②】クモのおかげで人類は生きていられる?
クモを不快に感じる方は多いのではないだろうか。しかし、クモは益虫である。人類が生きていられるのは、クモのおかげだという説があるのをご存じだろうか?
クモは、非常に数が多い生物である。全世界に生息しているクモの食べる獲物の量は、年間で4億トンから8億トンにも達することが知られている。全世界に存在する人類の体重の総計は、4億トンにも満たない。
クモの獲物は虫が多く、1年で全人類の体重以上の虫を食べている。どれだけ食べるんだ! 驚きの事実…。
また、人間にとって深刻な害を及ぼす虫も食べてくれる。もしクモがいなくなったら、ものすごい勢いで害虫が増えることになるだろう。
クモがいないと、害虫のせいで人類が絶滅するという説まで存在するらしい。本当に人間は絶滅してしまうのだろうか…。とりあえず言えることは、クモのおかげで地球が害虫だらけにならないということだな。
雑学まとめ
クモの半数は網をはらないという雑学をご紹介した。網を用意しなくても、クモはさまざまな方法で獲物を捕らえる優秀なハンターである。
グロテスクな外見のせいでクモは敬遠されがちだが、人類にとって有益な存在であることは間違いない。
スパイダーマンというヒーローが誕生したのも、クモが人類にとってありがたい存在であることを伝えたかったからなのかもしれない。
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