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相撲の行司は襲名制。"木村家"と"式守家"によって受け継がれる名前

zatsugaku

雑学カンパニー編集部

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相撲の行司は襲名制という雑学

37代式守伊之助 (後の35代木村庄之助)

日本の国技とされる大相撲。現在の大相撲界では、日本人の力士だけではなく、モンゴルやヨーロッパ出身の力士が数多く登場している。時代とともに力士の出身国も国際色が豊かになっているのだ。

力士の活躍に注目がいきがちな大相撲だが、何も力士だけが相撲界を支えているのではない。力士を指導する親方や、力士の髷(まげ)を結う床山(とこやま)など、多くの人が相撲界に携わっている。

なかでも取り組みの進行や勝敗の判定をおこなう行司は、なかなか興味深い存在だ。この雑学記事では、それほど注目されることのない行司のトリビアについてご紹介する。

【スポーツ雑学】相撲の行司の名前は襲名制

新人ちゃん
行司の世界かぁ~。ぜんぜん分かりません!
マッチョ課長
今日は素直だ…。行司名には「木村家」と「式守家(しきもりけ)」という2つの名跡(みょうせき)があるんだ。
新人ちゃん
ふ~ん。自分で選ぶことはできないのですか?
マッチョ課長
できない。なぜなら相撲部屋に所属する際に、事前に決定されているから。くわえて行司名は襲名制が採用されているんだぁ!

【雑学解説】あなたが知らない行司の世界

土俵での取り組みを裁く行司。大相撲の中継で、大柄な力士のあいだに立って、装束(しょうぞく)姿で軍配をもった人を、一度は目にしたことがあるだろう。

大相撲中継で、場内に行司名が紹介される際、その名が同じであることに気づいた方もいるかもしれない。じつは行司名は、先代から代々受け継がれてきた襲名制が採用されている。

行司名には、「木村家」と「式守家(しきもりけ)」という2つの名跡(みょうせき)がある。各相撲部屋に所属する行司は、力士と同じく部屋に入門するかたちをとり、部屋に所属する際に「木村家」か「式守家」か、事前に決められているのだ。

新人ちゃん
あっ!その名前なら、テレビで耳にしたことがあります。

したがって、行司名は原則として変更しないことが通例になっている。あまり知られていないが、行司の仕事は土俵での取り組みを裁くだけにかぎらない。

なかでも行司に必要とされるのは、番付表や力士の紹介などでたびたび目にする書体「相撲字」の習得である。以下の動画はその研修時の様子である。

マッチョ課長
「相撲字」の習得は行司の大切な仕事のひとつなんだ。
新人ちゃん
へぇ~。あの独特な文字は、行司の方が書いていたのですねぇ~。

取り組みの行司のなかでもっとも階級が高いのが、立行司(たてぎょうじ)と呼ばれる「式守伊之助(しきもりいのすけ)」と、「木村庄之助(きむらしょうのすけ)」だ。

日本大相撲協会のHPによると、2019年7月現在、立行司は「木村庄之助」が空位となる一方、「式守伊之助」は、高田川部屋に所属する「今岡英樹」がつとめている。

行司は力士と同じで部屋に所属し、その名が事前に決められているのだ。伝統や格式を重んじる大相撲ならではの決まりといえる。

【追加雑学①】行司は階級ごとに身に着ける装束が異なる

行司の最高位にあたる「式守伊之助」と「木村庄之助」。行司は階級ごとに身に着ける装束が異なっていることをご存知だろうか。

階級の上下に関わらず、いずれの行司も土俵に立つ際の格好が、直垂(ひたたれ)と烏帽子(えほじ)を着用し、手に軍配をもって土俵にあがるところは変わらない。だがその衣装は階級ごとに、微妙に異なっているのだ。

新人ちゃん
そんな違いがあるんですかっ!

たとえば、行司の最高位に属する「木村庄之助」や「式守伊之助」は、白足袋や草履を履くことが通例とされるが、十両と呼ばれる幕下以下の取り組みを裁く行司は足袋を履かず、裸足のまま土俵へあがる。

また立行司は、腰に短刀や印籠などを身に着けるが、階級が低い行司は、短刀を差さないなどの違いも見られる。さらに「式守伊之助」と「木村庄之助」にも違いがみられる。

マッチョ課長
あの短刀は軍配を差し違えると、切腹するという覚悟を示すものなんだよ。
新人ちゃん
切腹っ!

行司が手にもつ軍配のふさの色は、庄之助が「総紫」、伊之助が「紫白」の違いがある。行司の最高位となる両者を比べた場合、「木村庄之助」の方が格上にあたるという。

大相撲協会が定めた行司の定員は45名以内。そのうち十両格以上は22名以内と定められている。力士と同じく行司の世界も実力主義で、勝負判定・取り組みの姿勢態度・土俵のかけ声や声量などが考慮され、9月に開催される大相撲理事会において、その昇給や降格が決定される。

力士の世界と同じく、行司も昇級や降格のシステムがある実力主義の世界なのだ。うかうかしていると、年下の後輩に抜かれるなんてことも起こり得るだろう。ぜひテッペンの立行司を目指して、頑張ってほしいものである。

【追加雑学②】数十年にわたって襲名されてない伝説の行司名がある

「木村」や「式守」の名跡をもつ行司の世界。行司名は襲名制であることから、襲名をおこなわなければ、その名を受け継ぐことはできない。したがって、行司名のなかには数十年のあいだ、空位のままになっているものがある。

そのひとつが「木村玉之助」である。この行司名は、1959年11月を最後に13代目が職を辞したため、現在に至るまで50年以上も襲名されないままになっている。

また「木村清之助」もそのひとりで、先代が戦前に死去したため、70年以上ものあいだ、襲名されないままになっている。他にも100年以上襲名されていない行司名は数多く存在するという。

新人ちゃん
へぇ~100年も!行司名って使いまわしなんですね…
マッチョ課長
こらっ…言い方、言い方!

一方で、「式守鬼一郎(しきもりきいちろう)」「木村銀治郎(きむらぎんじろう)」などの行司名が数十年ぶりに復活した逆の例も見られる。

時代が変わるにつれ、モンゴルやヨーロッパ出身の力士が誕生したように、行司の世界も同じように、じつは人知れず変化にさらされているのだ。

雑学まとめ

以上、大相撲の世界にはかかせない行司の襲名制と、それに関連する雑学についてご紹介してきた。どの世界にも共通するが、時代が変わるにつれ変化にさらされる。

それは行司の世界も同様で、それぞれに階級が存在し、行司名のなかには数十年も空位になっているものも少なくない。

大相撲というと力士のみに注目がいきがちだが、今度読者の方が中継を観る際は、行司の動きや様子にも注目してほしい。きっとなにかしらの発見があるはずだ。

新人ちゃん
今度から注意して見てみようっと!
マッチョ課長
相撲がよりおもしろく感じられるはずだぞ!

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