オリンピックの見どころのひとつといえば、聖火リレー。聖火がともされたトーチをバトンのようにつないで、何人ものランナーが何日もかけて、聖火を開会式会場まで運ぶ。
この聖火はギリシャのオリンピア遺跡で太陽の光から採火され、何カ月もかけてオリンピックの開催地へと運ばれるのだ。
2020年の東京オリンピックでは、国内の聖火リレーのスタート地点である福島に届けられたあと、さらに121日もかけて、国内を聖火が駆け巡る。
さて、この聖火リレーを誕生させたのは、ナチスドイツで有名なヒトラーであるらしい。ユダヤ人を大量に虐殺したヒトラーと、平和の象徴である聖火リレー。対局にあるように思えるが…。そこで今回の雑学では、この謎に迫ってみようと思う!
【オリンピック雑学】聖火リレーを誕生させたのはヒトラー説
【雑学解説】聖火リレー誕生には、政治的思惑が関係している
1936年の第11回ドイツベルリン大会、当時ドイツの首相だったのはヒトラーだ。ヒトラーは大会の運営を、かつてオリンピック選手でもあり、ドイツオリンピック組織委員会で力をもっていたカール・ディーム氏に依頼した。
このカール氏が聖火リレーを発案した張本人。彼は紀元前80年、アテネで行われていたリレーをマネて「オリンピックの発祥の地ギリシャのオリンピアで採火した火をリレー形式で、ベルリンのメーンスタジアムまで運ぶ」というアイディアを出した。
聖火リレーは、オリンピックを政治利用したいと考えていたヒトラーにとってぴったりの儀式だった。ギリシャ文明ゆかりの採火がドイツまで運ばれていく様は、まるで20世紀の文明の担い手はドイツであると象徴しているかのように見えたという。
つまり聖火リレーは、ヒトラー率いるナチ党のプロパガンダ(特定の政党や政治思想の宣伝)となっていたのだ!
聖火リレーを見たドイツの若者は「聖なる地で灯された火がおれ達の住んでいる国に運ばれてくる! ドイツすごい! ヒトラーすごい!」と感じ、ヒトラーへの崇拝度をどんどん高めていった。
このときの聖火リレーの距離は約3,000キロメートルで、1人1キロずつ3,075人もの聖火ランナーが走った。また、ドイツ国内では聖火リレーの様子をラジオですべて中継している。
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そしてベルリン大会記念映画「オリンピア」を作成し、全世界に配信した。この映画で、ギリシャ人ランナーがエーゲ海の海岸を走るシーンは多くの人々を魅了したようである。
このようにナチスドイツは聖火リレーを、自分たちの宣伝に巧みに利用したのだ! 平和の象徴であるオリンピックをこのように悪用するのは許せない行為である。
しかもナチスドイツは、3年後に巻き起こった第二次世界大戦において、聖火リレーのルートを逆走する形で、他国へ侵攻を開始した。聖なる道が台なしである…。
このように、聖火リレーは残念な形で始まったのだ。暗い気分になってしまったかもしれないが、ここで気分を変えて、現在のオリンピックで聖火ランナーになるためにはどうすればよいかをご紹介しよう。
【追加雑学】聖火ランナーになるにはどうしたらいい?
聖火ランナーは実は一般人でもなることが可能。都道府県やコカ・コーラなどのスポンサーが募集しているので、これに応募し当選すればいいのだ。
しかし、下記のような募集対象者の上限があるので注意いただきたい。
- いずれの時間でも参加可能
- 1kmを6分ほどで走れる人
- 年齢・国籍・性別は問われない
以上の3点だ。1kmを6分ほどで走るというのは、体力がないご高齢の方などでは厳しいかもしれない。また、ユニフォームは支給されるが、交通費や宿泊費は実費となってしまうようだ。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか? 聖なる聖火リレーの始まりは、ヒトラーの政治的なたくらみから。ヒトラーはギリシャで灯された聖火が、ドイツに運ばれていく様子を自国の若者に見せることで「ドイツってすごい!」と思わせたのだ。
許せない行為だが、人々の心の動きを上手く捉えたのはさすがである。実際聖火リレーのあと、若者たちはナチ党に入り、第二次世界大戦の軍隊として活動してしまったのだ…。
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