マグロのトロ。それは庶民にとって憧れの高級食材である。程よく脂がのった中トロ。口に入れた瞬間、溶けてなくなってしまう大トロ…。あなたはどちらが好みだろうか?
現在では高級食材となったトロだが、なんと大正時代は捨てられていたらしい! なんてもったいない…。今回はマグロの「トロ」に関する雑学を紹介していくぞ。
【食べ物雑学】大正時代までマグロの「トロ」は捨てられていた
【雑学解説】そもそもマグロ自体が「下魚」とされていた
はじめに、マグロのトロがどんな部位なのかを解説していく。大トロ・中トロ・赤身の違いは以下の通りだ。
- 大トロ・・・頭に近い腹部からとれる部位。
- 中トロ・・・腹部と背部からとれる部位。赤身と脂が程よく混ざり合っている。
- 赤身・・・背部や背骨周辺からとれる部位。脂質が少ない。
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これを踏まえたうえで、トロの切ない黒歴史を紹介していくぞ!
そもそも江戸時代はマグロ自体が下魚(げざかな)であった。下魚とは値段の安い魚のことである。
その主な理由は、冷蔵技術が発達していなかったからだ。マグロは劣化が早く、相模湾沖や房総沖で獲れたマグロを新鮮な状態で江戸まで運ぶのは難しかった。
つまり、マグロが江戸に到着する時点で鮮度が落ちてしまっていたのだ。とてもおいしく食べられる状態ではなかったと考えられる。これでは下魚扱いされるのも無理もない。
こちらは、現在の冷凍マグロの競り前準備の様子である。
こんな冷凍技術や運送方法、江戸時代にあるはずないもんなぁ…。現在では全国どこにいてもおいしいマグロを食べることができる。本当にありがたい!
さて、話を戻そう。
江戸末期になると状況が一変する。マグロの赤身をしょうゆ漬けにする保存技術が誕生したからだ! 赤身のしょうゆ漬けは瞬く間に江戸っ子たちの心を魅了する。
少しだけ地位の上がったマグロだが、それでもトロは捨てられるか、「加熱専用」として食される運命であった。トロはしょうゆ漬けにしても塩分が浸透していかず、鮮度を保つのが難しい。江戸っ子たちがおいしく食べることは到底無理だった。
おまけに、脂っこいトロは当時の人の口に合わなかったらしい。合わなかったというよりも、単なる食わず嫌いのような気もするが…。
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【追加雑学①】「トロ」ブームの火付け役は学生?
大正時代になっても、マグロのトロは「加熱専用」という認識が強かった。そんな中、はじめてトロの握りを提供したのは東京・日本橋にある「吉野鮨本店」だといわれている。
大正8年ごろ、マグロの不漁で仕方がなくトロを提供したところ、これが意外と好評だったとか! その後、安いトロは学生を中心に密かなブームとなっていった。
脂っこいトロは学生の口に合っていたのかもしれない。脂っこくておまけに安い。当時の学生たちが目をつけたのも納得だ。
それにしてもトロが安かったなんて、本当にうらやましい限りである…。
【追加雑学②】「トロ」はどうして高いのか
現在では高級食材に成り上がったトロ。大トロの値段相場は1kgあたり20,000~25,000円前後、中トロの値段相場は1kgあたり10,000~20,000円前後である。た、高い…!
トロが高い理由は、1匹のマグロからとれる量が少ないからである。トロは全体の約15%ほどで、大トロはそのうちのたった5分の1しかない。
おまけに需要も多い。このような理由からトロ、とくに大トロには高い値段がついている。
雑学まとめ
今回は、マグロの「トロ」に関する雑学を紹介してきた。日本人が大好きなマグロだが、江戸時代までは下魚扱いだったなんて! かなり衝撃的だった。
大正時代までは捨てられることの多かったマグロのトロ。今おいしくいただけるのは冷凍技術や輸送システムが発達したおかげである。
おいしいマグロを食卓に届けるために、日々働いている人たちに感謝してマグロをいただきたいものだ。