私たちの体にとって重要な栄養素・ビタミンが「A・B・C」などと種類分けされていることは周知の事実。そこからさらに小分けにされたB1・B2といった名称ももはや聞き慣れたものだろう。
しかしよく考えてみると、B1やB2はあるのに、A1やC2などという成分は聞いたことがない。そう、数あるビタミンのなかでも、同じグループ内で小分けにされているのは、ビタミンBだけなのだ。
一番手のAだけが小分けにされているなら、「ああ、昔はAしかなかったのね」という感じでなんとなく納得できるが、なんでまたBだけ? 今回は、そんなビタミンで唯一小分けにされているB群の雑学を紹介する。
【人体雑学】ビタミンBだけ種類があるのはなぜ?
【雑学解説】ビタミンBは8種類の栄養素の相互作用でできている
ビタミンBには全部で以下の8種類がある。
- ビタミンB1:チアミン
- ビタミンB2:リボフラビン
- ビタミンB3:ナイアシン
- ビタミンB5:パントテン酸
- ビタミンB6:ピリドキシン
- ビタミンB12:コバラミン
- ビタミンBC:葉酸
- ビタミンBH:ビオチン
なぜまったく別々の物質なのにビタミンBというグループでまとめられ、小分けにされているのかというと、これらがかつてはひとつの物質だと考えられていたからだ。
つまり単にビタミンBと呼んでいたところ、「チアミンにリボフラビンにナイアシン…とにかくいろいろな物質が含まれているようだぞ!」ということが、研究が進むにつれて明らかになっていったのである。
そしてこれらはそれぞれが単体で作用するわけではなく、相互に合わさることで栄養素として効果を発揮する。そのためグループとしてひとまとめで考えるべきだとされ、B1・B2などの分け方がされたのだ。
またB4が歯抜けになっているのが気になった人もいるだろう。これは以前B4と呼ばれていた物質がビタミンではないことが判明し、除外されたためだ。逆にビタミンGと呼ばれていた物質が実はB2だと判明し、Gがなくなった事例もある。
【追加雑学①】ビタミン=健康上必要な栄養素の意味
「ビタミン」という名称を最初に考えたのは、ポーランドの生化学者カシミール・フンクである。
当初このビタミンはひとつの物質を指す言葉だったが、後に「健康上必要な栄養素」の意味に変わり、一連の栄養素が発見されるたび、その名前が付けられていった。
1911年のこと、フンクは糖質がエネルギーに変換できず、神経に障害が出る「脚気(かっけ)」という病気を予防する成分を米ぬかから発見し、これをビタミンと名付ける。
そして1913年にアメリカの生化学者エルマー・ヴァーナー・マッカラムが、マウスの生育に必要な栄養素をバターのなかから発見し、それぞれ「資質性因子A」「水溶性因子B」と名付けた。
このうち水溶性因子Bが、フンクの発見したビタミンと同じ物質だったため、後にビタミンA・ビタミンBのような呼び方がされるように。その後ビタミンと名付けられた物質は、これにならってアルファベットで分けられているのである。
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【追加雑学②】ビタミンを最初に発見したのは実は日本人
フンクによって世界へとその存在が広まっていったビタミンだが、実はその前年、1910年には日本の生化学者・鈴木梅太郎が、脚気予防の研究のなかで同じ物質を発見している。
…ん? じゃあなんでフンクがパイオニアみたいになってるの? となるが、これもまた拍子抜けするような理由で、「海外の人に日本語の文献は読めなかったから」だ。誰か翻訳してあげてくれ!
ちなみにこのとき鈴木氏はビタミンに「アベリ酸」という名前を付けている。彼が英語で報告していれば、「アベリ酸B1」などという名前になっていたかも!?
【追加雑学③】ビタミンB群を摂るなら甘酒が〇?
なんでもビタミンB群を効果的に摂取するには、甘酒がいいという。そもそもビタミンは米ぬかから発見されたのが最初だし、同じ米を発酵させたものということで説得力はある。
しかしビタミンB群なんて、結局はいろんな食べ物に含まれてるんじゃないか? と思うところだが、単品でビタミンB群を網羅できる食べ物というのはあまりないのだ。
以下がビタミンB群を含む食物の例だが、それぞれ1種類か2種類ずつしか含まれていない。
- 豚ヒレ(ビタミンB1)
- 豚レバー(ビタミンB2)
- ピーナッツ(ニコチン酸)
- マグロ(ビタミンB6)
- 牛レバー(ビタミンB12)
- 鶏レバー(葉酸、パントテン酸)
- まいたけ(ビオチン)
ビタミンB群は相互作用によって効果を発揮する栄養素だというし…これだけバラバラになっていては、その恩恵にあずかるのも難しそうである。
その点甘酒には、ビタミンB12を除いたすべてのビタミンB群が含まれている。想像以上に健康的な飲み物だったのだ!
以下の動画では、自家製甘酒の作り方が紹介されている。時間はかかるが意外に難しくないので、興味のある人はトライしてみては? 自分で作ったものの美味さはきっと格別だ!
雑学まとめ
ビタミンのうち、Bだけが細かく種類分けされているのは、Bのなかにもさまざまな栄養素が含まれていることが、後から判明したからだった。そもそもBと呼ばれていたものは米ぬかから発見されたものということで、米と発酵のパワーを改めて実感させられる。
お米大好き日本人としては、どこか誇らしい(?)そんなトリビアだった!