日本には四季があり、春夏秋冬様々なレジャーが楽しめるが、楽しい時間にこそ危険はつきものである。特に山や海などでの遭難は死に直結する危険もあり、遊びの中にも注意が必要だ。
遭難事故が起こると、よくニュースなどで捜索映像が取り上げられるが、空にはヘリコプターが飛び、地上では何十人もの捜索隊・捜索艇が捜索に当たっている。
気になるのはその費用だ。遭難救助に関する費用は税金から出ているとされているが、もちろんタダではないはずだ。今回の雑学ではその救助費用について調べてみた。
【自然雑学】山と海で遭難したときの費用は?
【雑学解説】シチュエーション別、救助する団体とその費用
2018年の山での遭難事故件数は全国で2661件(警視庁調べ)に上り、海での遭難件数は2626件(海上保安庁調べ)、うちマリンレジャーでの遭難件数は853件に上る。
救助活動で活躍する団体はシチュエーションによって異なる。山では警察・消防・自衛隊が、海では海上保安庁が救助を担当することになる。このほか、地元の山岳会など民間の力を借りることもあり、国に助けられるか、民間に助けられるかで費用は大きく変わる。
山での遭難事故
山岳で遭難してしまった場合は、警察・消防・自衛隊の出番である。実際に遭難したケースを考えてみよう。
登山中道に迷い、うろうろしていたところ足を滑らせ転落、怪我をして動けなくなってしまった。こういったときはすぐに警察へ救助を求めよう。登山ルートを外れ、窪地などに落ちてしまうと発見される確率も低くなる。
問題なく携帯が繋がったとして、警察に救助を要請、状況によりヘリコプターを使った捜索活動が始まる。このとき、出動するヘリコプターはそのときの待機状況などにより、より早く出動できるものが要請され、公的機関・民間機関の選定はできない。
ヘリコプターでの救助費用の相場は1分1万円といわれており、出動から現場の山岳に到着するまでに15分を要したとすると、この時点で15万円の費用が発生していることになる。
また、救助隊も交通費や手当・食事代から宿泊費と、1人につき2万~3万円の人件費がかかり、動員数によって大きく異なる。遭難した山が大きい山であれば必然的に動員数は増加される。
たとえば、運よく出動から1時間で発見されたとしてヘリコプターの費用が約60万円。救助隊の動員数が50名だった場合、1時間の救助費用だけで約160~210万円ほどかかる計算だ。
これは公的機関であれば、その土地の自治体の税金からまかなわれるが、民間機関であった場合は、もちろん遭難者本人が負担することになる。これだけの出費は厳しいが、命が助かっただけでも良しとするしかない。
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海での遭難事故
海での遭難事故の場合、捜索は海上保安庁が担当することになる。
こちらは山での遭難と違い、民間の救助機関がないため、必然的に海上保安庁の救助となり、救助費用は基本的に請求されない。しかし、地元の漁師などの協力を要した場合は、それに伴う費用が掛かることもある。
また、海での遭難は通信手段が少なく位置情報を把握することが難しいため、発見される確率も山より低くなる。おのずと生存確率はグンと減ることになる。
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【追加雑学①】救助費用を抑えるコツ
たった1時間の捜索で160~210万円もの救助費用が掛かるとなれば、そうやすやすと遭難するわけにはいかない。しかし、過失による遭難以外にも、災害などに巻き込まれるケースもあり、絶対に遭難しないとは言い切れないのが現状である。
それならば、万が一救助を要する事態になったとして、少しでも救助費用を抑えたいというもの。実は救助費用を抑えるのはそんなに難しいことではないのだ。
・目的地を誰かに伝えておく
「山へ行ってきます」。この書置きだけ残して登山に行けば、遭難せずとも捜索が始まってしまいそうだが、もう少し情報の多い書置きだけでも残しておくと救助の際に手がかりとなり、発見が早くなることもある。
捜索範囲を絞れれば、ヘリコプターの活動時間も救助隊の動員数も減るという算段だ。
・遭難したらやみくもに動かない
遭難したら誰かに多大な迷惑がかかることは誰でも知っている。そのため、自力での下山を試みる方も多いが、これは捜索がさらに難航するケースが多く、おすすめできない。
地元の山岳救助隊は、地元の山での遭難のケースを熟知しており、捜索範囲も当たりをつけて活動を行うため、無理に動いてしまうとかえって捜索範囲が広くなり、それだけ救助活動にかかる時間も増えてしまう。腹をくくって助けを待つのが賢明だ。
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・頂上を目指す
どうしても自力下山をしたいというのであれば、頂上を目指すことをおすすめする。下山という響きからふもとへ降りることに執着してしまいそうだが、遭難した場合これは間違いである。山はふもとへ行けば行くほど、雑木が増え、視界が悪くなる。
逆に山頂へ向かうことで、木々の背も低くなり、視界が開け、位置情報を把握しやすくなり、救助の際に明確な情報を伝えることができる。
また、山頂は開けている部分が多いため、ヘリコプターからの発見も容易になるのだ。
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【追加雑学②】備えておきたいレジャー保険
以上をもってしても、救助には費用が掛かることは免れないと思っておいた方がいい。しかし、命が助かったとはいえ、1日で160~210万の救助費用を支払うのは一難去ってまた一難である。
そんなとき役に立つのが、レジャー保険と呼ばれるものである。レジャー保険は、海・山などでのレジャーに関わる怪我や事故の補償をしてくれる、登山家やサーファーなどには必須の保険だ。
レジャー保険にはいろいろなタイプがあるが、レジャーという性質上、1日(24時間)だけの保険があるのも特徴だ。
1日500円ほどの保険料で、最大200~300万円ほど補償してくれる。1泊2日プランや3泊4日プランなど細かい設定があるので、それぞれのレジャーの計画に合わせて部分的に加入することができる。
もちろん月額プランも用意されており、月額プランではさらに手厚い補償が受けられる。山や海でのレジャーの他にも、ゴルフやスキーなどでの事故にも対応してくれるため、特に子供連れなどでレジャーに出かける際は一考してみてはいかがか。
雑学まとめ
今回は遭難救助の費用についての雑学をご紹介してきた。公的機関のおかげで、救助費用が無料になることも多い遭難事故だが、だからといって何も備えないで行くと、巨額な請求をされ、痛い目を見るかもしれない。
誰かの迷惑も考えれば保険に加入しておくのが賢い選択といえそうだ。もちろん命あってのものなので、遭難しないに越したことはない。山や海に出かける際は入念な行動計画を練ることをおすすめする。
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