小説や漫画といった創作物には、少なからず作者の人生経験が含まれていることがある。世界的に有名な児童小説「ハリー・ポッター」シリーズでも、作者のJ・K・ローリングが人生で経験したことが土台になっているネタがいくつかある。
たとえば、「アズカバンの囚人」に出てくるディメンターだ。時にハリーたちを脅かすディメンターには、あるモチーフがある。
今回は、そんなディメンターに関する雑学を紹介しよう。
【サブカル解説】「ハリー・ポッター」シリーズに出てくるディメンターは、うつ病の象徴
【雑学解説】作者のうつ病経験から生まれた敵
作者であるJ・K・ローリングは、シリーズ1作目である「賢者の石」を執筆中、うつ病を患っていた。母親の死や離婚、さらには生活の困窮から精神的に参っていたのだ。
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しかし、ローリングはうつ病に侵されるだけではなかった。この苦しみを、作品に落とし込んだのだ。それで生まれたのが、ディメンターである。ディメンターの姿は下の動画で見られる。
ディメンターとは、「アズカバンの囚人」から出てくるキャラクターで、まるで黒い人影のような姿が特徴だ。
この姿に関して、ローリングは映画版「アズカバンの囚人」のインタビューにて、「10代のころ、黒いフードを被った人影を見た」と語っている。子供のころの夢に出てきた人影がディメンターに反映されているのだ。
さて、このディメンターの能力は「人の幸福や喜びなどの感情を吸い取る」というもの。また、ディメンターが近くにいるだけでも、活力が奪われてしまうという影響力もある。
喜びなどの感情が吸い取られ、活力も奪われる…うつ病の症状と似ている。うつ病も、特に喜びなどの感情がなくなり、何をするにも億劫になってしまうという症状がある。
このような症状から、ディメンターという1つのキャラクターを生み出したローリングのエピソードは、彼女の想像力の強さを感じさせられるものだ。ただ病に苦しめられるだけではなく、創作に落とし込んでエッセンスの1つにするとは…。
シリーズに登場した当初は、刑務所であるアズカバンの看守だったが、シリーズを重ねるごとにハリーたちの脅威の1つになる。うつ病も、人間にとっては脅威となる病気だ。
そういった面でも、ローリングは、ディメンターの中にうつ病の姿を見ていたのかもしれない。
そして、うつ病の象徴であるディメンターにハリーたちが勇敢に立ち向かっていくことで、「うつ病と戦えば、いつか勝つことができる」というメッセージを感じることができると私は思っている。
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雑学まとめ
今回はハリーポッターのディメンターに関する雑学を紹介した。
近年でもよく耳にする病の1つである、うつ病。それは「ハリー・ポッター」シリーズの作者J・K・ローリングも苦しんだ病気だ。
しかし、ローリングはうつ病に負けず、この苦しみを創作に落とし込んだ。そこで生まれたのがディメンターだった。
改めてディメンターの能力や影響力を見てみると、うつ病をもとにしたことが伺えるだろう。こういった作者の経験をもとに作ったネタは、とても説得力のあるものとなる。
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