突然だが、私はクモが嫌いだ。8本ある脚ですばやく動く様子を見るとゾワゾワする。家を出ようとして顔にクモの巣がかかって不快な思いをしたことも、一度や二度ではない。
ただ、水滴のついたクモの巣は、しゃれたインテリアのように見えることもある。
巣作りの名人であるクモだが、カフェインを与えるとおかしな巣を作るという話を聞いた。そこで、今回の雑学ではカフェインとクモの関係について調べてみた。
【動物雑学】クモにカフェインを与えるとおかしな巣を作る
【雑学解説】カフェインがクモの中枢神経を麻痺させる
ヒトがアルコールを摂ると、中枢神経である脳が麻痺する。その麻痺こそが「酔い」の正体である。大脳から始まった麻痺が小脳に達すると、足がふらつくなどの運動失調が起きるようになる。
クモがカフェインを摂ると、ヒトがアルコールを摂ったときと同様に中枢神経が麻痺する。その結果上手に動けなくなり、おかしな巣を作ってしまうのだ。
ヒトが摂れば目が覚めるカフェインで酔ってしまうとは、不思議な話である。
これは、アメリカのクモ愛好家・ピーター・ウィットさんがペットのクモにコーヒーを飲ませたことから、偶然わかった事実とのこと。かわいがっているペットが突然おかしな巣を作りはじめて、ピーターさんも気が気でなかっただろう。
ヒトの酔い同様、酔ったクモは数時間でもとに戻るそうなのでご安心を。
【追加雑学①】ネバネバしているのはクモの巣の横糸だけ
クモの巣は、エサをとるための網のようなものである。他の虫がクモの巣にひっかかると、ネバネバの糸にくっついて逃げられない。
しかし、クモは自分の巣にひっかかることはない。それは、クモの巣の糸にはネバつくものとネバつかないものがあるからだ。
ネバネバするのは横糸だけで、巣の中心から外にむかう縦糸はネバつかないのである。クモは縦糸のみを移動しているから巣にひっかからないのだ。
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【追加雑学②】クモの糸の強度は鋼鉄の5倍
クモの糸は、同じ太さの鋼鉄の5倍の強度と、ナイロンの2倍の伸縮性をもつ。これは、世界最強の天然繊維といっても過言ではない。
そこで、米軍やNASAをはじめ、世界中の研究者が「人工クモの糸」の生産を目指した。だが、コストや製造過程に問題が生じて量産化は難しかった。
そんな中、クモの糸を研究していた関山和秀さんが、クモの糸の製品化・量産化を目的として設立した山形県のベンチャー企業・Spiber(スパイバー)が2013年に技術を開発。合成クモ糸繊維「QMONOS」の量産化に成功した。
米軍やNASAが成しえなかったことを日本の企業がやってのけたと思うと、非常にワクワクする話である。
【追加雑学③】クモの糸で作られた絨毯がある
クモの糸を利用したアイテムとして有名なのは、ニューヨークのアメリカ自然史博物館にあるクモの糸の絨毯だ。そのサイズは縦1.2m・横3.4mだという。クモの糸の細さから考えるとかなり大きめである。
この絨毯はコガネグモ科のクモを捕獲するのに70人、絨毯を織るのに12人の人手。そして、4年という長い時間をかけて完成したとのこと。
この絨毯のためにかなり多くのクモを飼育して糸をとったのだろう。飼育されている風景は…かなりゾッとする光景だろうから、想像することはおススメしない。
雑学まとめ
クモにカフェインを与えるなど考えたこともなかった…。思わぬところから新しい事実が見つかるものだな。もし巨大なクモが地球征服をくわだてるような事態になったら、非常に役に立ちそうな雑学である。
以前、クモの糸を人工的に作ることは不可能に近いと聞いたことがあった。しかし、調べてみるとすでに量産化に成功していたのでかなり驚いた。技術の進歩に脱帽である。
カフェインで酔うとはかわいい。これからは、家の中に出るクモにも少しは優しくなれそうな気がする…だけでやっぱり無理かもしれないので、クモの皆さま方には我が家への侵入をご遠慮いただきたい。