日本には、ユニークな祭り「奇祭」がある。その中の1つが愛媛県の大山祇(おおやまずみ)神社で行われる「一人相撲祭り」だ。
その名の通り、お相撲さんが1人で土俵に立ち、見えない何かと戦っている。いったいどうしてこのようなお祭りが行われるのだろうか? それには、昔からの信仰が関係している。
今回は、そんな不思議な奇祭に関する雑学を紹介しよう。
【面白い雑学】日本の奇祭「一人相撲祭り」とは?
【雑学解説】奇祭「一人相撲祭り」は田の精霊との力比べ!
「一人相撲祭り」が行われるのは、旧暦の5月5日と9月9日だ。旧暦の5月5日は「御田植祭(おたうえまつり)」の日で、この日は田んぼの精霊に豊作を願う。旧暦の9月9日は「抜穂祭(ぬいほさい)」の日で、この日は収穫を祝うのだ。
この2つの祭りで行われるのが「一人相撲祭り」だ。この「一人相撲祭り」は、田んぼの精霊を相手に相撲をとり、旧暦5月では豊作を願い、旧暦9月では実りを感謝する神事となっている。
精霊に苦戦中…!
田んぼの精霊との相撲は3本勝負。そのうち2回は田んぼの精霊が勝つというのがお決まりの流れとなっている。田んぼの精霊が勝つと、その年は豊作になるといわれているのだ。
「それっていわゆる八百長では…?」と思ってしまうかもしれないが、それくらい田んぼの精霊は強いということだ!
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「一人相撲祭り」の様子を動画で見てみよう!
今回紹介した「一人相撲祭り」の様子を動画で見てみよう!
力士も頑張っていたが、やはり精霊のほうが一枚上手のようだ。精霊側は見えないので、力士の動きがシュールに見える。
【追加雑学】神話にも相撲は出てくる
今回紹介した大山祇神社の他にも、石川県の羽咋(はくい)神社や茨城県の鹿嶋吉田神社など、神事に相撲を取り入れる神社はある。このように、相撲は日本神道と関わりのある競技なのだ。
その関わりをさかのぼると相撲は、なんと日本の神話にも出ているのだ! トリビアとして、神話の中の相撲について解説しよう。
神話に出てくる相撲は、当時日本を支配していた大国主(おおくにぬし)に対して、アマテラス側が「支配権はアマテラスの子孫にある!」と交渉する「国譲り」の話で出てくる。
国譲りの交渉に、アマテラス側からタケミカヅチという神様が派遣された。大国主に直談判を行ったものの、「国を譲るかは、私の子供たちに聞いてくれ」と返される。
交渉に応じて国を譲ることに賛成してくれた子供はいたが、1人だけタケミカヅチに歯向かった子供がいた。その子供はタケミナカタといい、今では諏訪大社に祀られている神様である。
タケミナカタはタケミカヅチに力比べの勝負を挑んだものの、タケミカヅチが強すぎて、タケミナカタは諏訪に逃げてしまったという話だ。
この時、タケミナカタとタケミカヅチが行った力比べの勝負が、相撲の起源とされている。
このことから、相撲と日本神道の関わりの深さが分かると思う。よく「相撲は日本の国技」といわれるが、それはこの神話が由来しているところがある。
「日本の奇祭」の雑学まとめ
今回の雑学では、愛媛県の不思議なお祭りについてご紹介してきた。
「一人相撲祭り」というのは、田んぼの精霊との力比べである。春には豊作を祈願し、秋には収穫を感謝する神事だ。3番勝負のうち2回は精霊が勝つことになっているものの、実際に動画を見てみると、思わず力士を応援したくなってくる。
この祭りは、愛媛県大山祇神社で旧暦5月と旧暦9月に行われる。機会があったらぜひ見に行ってみよう。具体的な日付は、愛媛県の観光サイトで調べることができるぞ。
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