日本全国津々浦々、同じ国のなかでも地域によってさまざまな文化が存在する。
食文化もそのひとつで、たとえば日本独自の文化である、お正月のおせちやお雑煮をとっても、地域によってまるで違うものだったりする。
食文化でいえば、ちっぽけな島国でも世界は実に広いといえる。そしてそれを象徴するようなスイーツが長野県に存在するのだ。
…以下、虫が苦手な人は閲覧注意の雑学である。
【食べ物雑学】長野県ではバッタのソフトクリームが食べられる
【雑学解説】諏訪湖の名物「バッタソフト」とは…?【動画】
「バッタソフト」と聞いて、どんなソフトクリームを想像するだろうか。バッタの姿形を模したソフトクリームかな?緑色のソフトクリーム?
──甘い。ソフトクリームだけに甘い。
現実はそんなゆるふわな世界ではない。これが諏訪湖名物「バッタソフト」だ。
突き刺さってる!!
なんと、数匹のバッタが真っ白なソフトクリームに突き刺さっているのだ。…インスタ映え間違いなし(?)のソフトクリームである。
ちなみにこの「バッタ」の正体はイナゴの甘露煮。バッタといいつつイナゴらしい…。ちなみに400円で5,6匹のイナゴが刺さってくる。
バリバリとイナゴの食感を感じながら甘いソフトクリームを食べる…。果たしてどんな味がするのだろうか…。
イナゴの甘露煮は甘さとしょっぱさがあるので、ソフトクリームと相まって甘じょっぱい味を想像できる。ある意味、少し前に流行った塩スイーツのような感じなのか?
しかし、なぜ諏訪湖でバッタなのだろうか。
実は、長野県では虫を食べる「昆虫食」の文化が古くから根付いているのだ。今でもイナゴの佃煮や蜂の子の甘露煮、さざむしなどが食べられている。地元の食文化を観光客にも知ってもらうために生まれたアイデアが「バッタソフト」だったのだ。
そして、バッタソフトを販売する諏訪湖観光汽船の売店では、バッタソフトに続いてさらなるバッタグルメを展開させている。それが「バッタ飴」に「バッタおやき」。
バッタ飴は透明な飴の中にイナゴが丸ごと入っている。バッタおやきは信州名物おやきのなかにたっぷりのイナゴを詰め込んだ珍味だ。
…バッタ愛がすごい。諏訪湖を訪れた際にはぜひチャレンジしてみては?
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【追加雑学①】昆虫は美味しい!?
衝撃的なバッタソフトだが、実は虫を食べる文化は国内でもそう珍しいものではない。
先述のとおり、長野県では昆虫食の文化がある。長野以外にも海のない山間部では、しばしば虫を食べる文化が見られるのだ。そして世界に目を向ければもっと食べられている虫たち。
動物にも美味しい動物と美味しくない動物がいるように、虫にも味に違いがある。もちろん味の感じ方は人それぞれだが、ここでは一般的に美味しいとされる虫を紹介しよう。
イナゴ・蜂の子・さざむし
日本の山間部でも食べられている魅惑の伝統グルメ。佃煮や甘露煮になって食べられていることが多い。日本で普通に食べられているとだけあって、食べやすくて美味しい。
セミ
ナッツに似た味がするともいわれるセミは「美味しい虫」代表としてよく挙げられる。成虫も幼虫も美味しいのだとか。
ちなみに筆者も食べたことがある。香ばしくてたしかにローストしたナッツのようだった。昆虫独特の癖が少ないので食べやすい。
カミキリムシ(幼虫)
バターのようなトロっとした食感に、バニラのような甘みがあるのだとか。なんとマグロのトロにたとえられるほどだ。ついでに成虫は鯖の味がするのだそう。
かの有名な「ファーブル昆虫記」にも美味しい虫として登場している。
オオスズメバチ(前蛹)
出会ったら死を覚悟するこわーい昆虫オオスズメバチ。さなぎになる直前の前蛹(ぜんよう)の状態がとても美味しいのだとか。濃厚な味で、鶏肉に似ているという。
カイコ(幼虫・さなぎ)
絹の材料にもなるカイコは、かつて日本の産業を支えた縁の下の力持ち。実は食材としても美味しいのだ。
幼虫はクリーミーで甘いのだそう。筆者は過去にさなぎの佃煮を食べたことがある。癖になる美味しさだが、土のような独特の臭みが感じられるので、好みはわかれるところだろう。
サソリ
毒をもった砂漠の虫、サソリ。
さくさくで軽い食感に、海老のような風味は酒の肴にぴったりだ。こちらも筆者は食べたことがある。どことなくエスニックな、南国の味がしてとても美味しかった。
実は都内でも昆虫を扱う店は意外に多く、ネット通販で食用の昆虫を手に入れることも簡単だ。遠いようで身近な昆虫食。一度試してみればハマるかも?
【追加雑学②】昆虫食が世界を救う!?
ゲテモノのイメージが強い昆虫食だが、実は今世界的に見直されつつある。
その原因は食糧難。日本では少子化が叫ばれているが、現在、世界の人口は増加の一途をたどっている。
人口増加が進むと生じてくる問題が食糧不足だ。このままでは確実にぶち当たる壁である。その解決策として今注目を集めているのが、昆虫食なのだ。
昆虫はタンパク質やミネラルが豊富な食材。栄養食としても優秀だ。そして飼育コストが圧倒的に安く、生産するために排出する温室効果ガスも少ない。
こうしたメリットから、国連でも「未来食」として推奨されている昆虫。日本でも、昆虫食の普及活動を行っているNPO団体が存在し、関連するイベントやワークショップもたびたび開かれているのだ。
エコで、栄養たっぷり。さらにここまでで触れたように、美味しいものも多い。見た目はイマイチだが、虫たちは食材としてかなり優秀なのだ。
もしかしたら将来、昆虫食が世界を救う時代がくるかもしれない。
「バッタソフトと昆虫食」の雑学まとめ
今回はバッタソフト、そして昆虫食についての雑学を紹介した。
見た目が想像を超えてくるバッタソフト…。まさか突き刺してくるとは。衝撃的だが気になるスイーツだ。
昆虫食は、見た目のハードルが高い。いくら美味しいといわれても、食糧難でも、あからさまに虫だと躊躇してしまいそうだ…。
とはいえ、チャレンジしてみれば案外イケる…なんて場合も多々ある。手始めにバッタソフトで挑戦してみるのも、アリじゃないだろうか。