2本のツノを揺らしながら、のんびり歩くカタツムリ。このツノをつついて遊んだことはないだろうか。
わたしも子供のころ、カタツムリを見つけると意味もなくツンツンしていたものだ。びっくりしたようにツノを引っ込め、しばらくすると、また恐る恐るツノを伸ばす。その動きが可愛らしくて、ついつい何度もツンツンしてしまう。
しかし…わたしのその行為は、カタツムリにとってとても迷惑なものだったのかもしれない。ツンツンしていたツノには、非常に大事なもの…そう、目がついているのだ!
そういえば…カタツムリの目ってどこにあるか知らなかった…という方もいるだろう。今回はそんな、意外とすごいカタツムリの目についての雑学を紹介しよう。
【動物雑学】カタツムリの目はどこにある?
【雑学解説】カタツムリの目は触角の先にある
カタツムリの頭からは、にょきっとツノのようなものが出ている。あれはハチやチョウなど、ほかの多くの昆虫にも見られる触角である。
頭の部分をよく観察してみると、上向きに大きな触角が対で2本、その下側には、下向きに小さな触角が2本ある。このうち大きいほうの触角を、子供のころのわたしはツンツンしていたのだが、実はその先には、小さな目玉がついている。
要するに、わたしはカタツムリの目玉をツンツンしていたわけである。なんて申し訳ないことをしていたのだろう…。でも…みんなだってやってたでしょ?
以下の動画で、ツンツンされて目玉を引っ込めるカタツムリの様子が紹介されている。かわいそうだけど、驚いて目を引っ込める動作はやっぱりかわいい…。
実はあんまり見えていないカタツムリの目
ごめんなさい…と、ひと謝りしたところで、このカタツムリの目の性能について、ちょっと触れておこう。
実はカタツムリの目はあまりよく見えておらず、明るさがなんとか分かる程度なのだとか。
雨の日に元気になるカタツムリは乾燥に弱く、ほかはともかく日の光には敏感になっておく必要がある。そのため彼らは基本は夜行性で、光の弱まる夜をその目で察知して活動している。
光以外の視覚に関しては、長い触覚を常にゆらしながら歩き、障害物があるかどうかを探っている。触覚の先についているのは、あまり見えない視力をカバーするためなのだ!
ちなみに、下のほうの小さい触角は、臭いや味を感じることができるようで、歩きながら食べ物を探っている。
このようにカタツムリは目があまりよくないため、ぶつかるまで物が近づいていることに気付かない。だからわたしのように、いたずらをする人間にツンツンされると、びっくりして目を引っ込めるのだ。
じゃあ…わたしがつつかなくても、結局いろいろぶつけてたってことだよね? …じゃなくて!
やっぱりのんびり歩いているだけなのに、目玉をツンツンされるのはかわいそうだ。反省…。
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【追加雑学①】カタツムリの触角は、切れても再生する
カタツムリにとって、光や障害物を察知する触角はとても大切なモノだ。もし触角がなくなったら、カタツムリは、歩くことが出来なくなるかもしれない。人間がツンツンして遊ぶように、何かの拍子で傷付いてしまっては非常に困るが…。
実は驚いたことに、あの触覚はちぎれたり傷付いても再生するのだ! カタツムリ侮りがたし…。
そういやドラゴンボールのナメック星人も再生できるよね。…って、あれはナメクジか。
しかし、再生するまでにおよそ100日かかる。その間はどう過ごしているのか…心配だ…。
【追加雑学②】ツノの先に目がついていないカタツムリもいる
同じカタツムリでも、ツノの先にではなく、ツノの根元付近に目が付いている種類もいる。ヤマキサゴ、ヤマタニシと呼ばれるカタツムリたちだ。
以下の動画はヤマタニシの一種、アオミオカタニシを映したもの。日本だと沖縄にしかいない、とっても珍しいカタツムリだぞ!
ツノの根元につぶらな黒い瞳があるのがわかる! しかも…ツノが2本しかない。
そう、ひとくちにカタツムリといってもその生態はさまざまである。
というのも、カタツムリは貝類が陸の上で生きられるように進化した姿の総称であり、祖先となる貝類が一種類ではないからだ。
アオミオカタニシのように目がツノの根元についているカタツムリは、ツノの先についているカタツムリとは別グループの貝から進化した種類だから、似ているようでまったく異なる生態をしているのだ。
【追加雑学③】カタツムリのツノに寄生する虫がいる
カタツムリに寄生するロイコクロディリウムという寄生虫が、かなりえげつない。
なにがってこのロイコクロディリウムさん、寄生したカタツムリのツノをイモムシのように腫れ上がらせ、ウネウネと動き回るのだ。しかも寄生されたツノは、めっちゃカラフルになる。…けっこうなホラーである。
以下、なかなかの衝撃映像なので閲覧注意だ。できればこんなカタツムリには出くわしたくない…。
なんでロイコクロディリウムがカタツムリにこんな仕打ちをするのかというと、ほんとにイモムシと勘違いさせて、鳥にカタツムリのツノごと食べてもらうためだ。
鳥に別のところへ運んでもらい、その糞を別のカタツムリが食べる。こうして恐怖の連鎖は繰り返されていくのだ!
カタツムリよ…、ツノはまた生えてくるからって、そこまでお膳立てしてやることないんだぞ…?
【追加雑学④】カタツムリの別名「でんでん虫」の由来は?
カタツムリは、別名「でんでん虫」とも呼ばれている。むしろ、でんでん虫と呼ぶ人のほうが多いかもしれない。「でんでん虫虫、カタツムリ~」と歌にもなっているし…。しかしいったいなぜ、でんでん虫と呼ばれているのだろうか。
実はでんでん虫の名前の由来は、「出出虫」が変化したものだと言われている。殻にこもったカタツムリを、「出ろ出ろ!」とはやしたてたことで、「出ろ出ろ虫」→「出出虫」→「でんでん虫」となったそうだ。
でんでん虫の歌が、「ツノ出せヤリ出せ頭出せ~」と続くことにも、名前の由来が「出ろ出ろ」だと分かると妙に納得できる。わたしは「電電虫」だと思ってたんだけどね。
だって、ワンピースにはでんでん虫型の電話が出てくるじゃないか!
https://twitter.com/SENCE34031729/status/1267711614515441664
ちなみに「ヤリ出せ」のヤリは、カタツムリが交尾の際に相手に突き刺す「恋矢」のことを表している。マジでヤリみたいなの出すんだよ! 以下の動画で確認してみよう。
なんか…このカタツムリの姿はあんまり知りたくなかった。
雑学まとめ
カタツムリについての雑学を紹介してきた。カタツムリの目は、上にある2本の触覚の先についている。しかも、触角が切れても再生するというすごい能力をもっていた。
特に梅雨時期には、のんびり歩くカタツムリを身近に見つけることが出来る。彼らはマイペースに動いているように見えるが、レーダーのように触覚をゆらしながら必死に歩いているのだ。そう思うと二度とツンツンなど出来ない…。