バナナといえば古くは最高級フルーツとして日本に君臨していたが、輸送技術の向上に伴い現在では手頃に食べられる安価なものが多い。
東南アジアなどの原産地では1年半ほどで大量の果実を付けるため、主食にしている地域も多くある。日本での栽培地は沖縄や九州などが主だが、温泉蒸気の熱を利用した温室を用いて、奥飛騨でも栽培されているのが面白いところだ。
そんなバナナの秘密についての雑学をご紹介していくぞ!
【食べ物雑学】バナナはクローンで増える!
【雑学解説】バナナのクローンの仕組みとは?
バナナの木を増やすときには親木の根元から出てくる吸芽と呼ばれる子株を切り離して植え付ける。子株は親木が株分けされただけのものなので、なんと親とほとんど同じ遺伝子をもっているのだ!
つまりクローンであるが、人間にも黒髪が変化した白髪が生えるように、稀にそこからの変異も生まれてくる。たとえば「オリノコバナナ」という品種から「カリフォルニアゴールド」という寒さに強い個体が生まれるなどの例があった。
このようなことはどの植物も同じで、種子以外で増やされる果樹やイモなどは、同じ品種であれば同じ遺伝子をもっているのだ!
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種子から生まれたバナナは?
種子から生まれた個体は親の遺伝子を受け継ぎはするものの、全く同じ形質が発現する可能性は限りなく低い。
つまり種子から生まれた個体の性質はランダムであるということだ。だからといって不味いものができるわけではなく、親以上に素晴らしい個体が生まれる可能性も十分にある。
バナナの種はどこにあるの? と思うかも知れないが、栽培バナナは種がほとんどできない。
ただ稀に偶然種子ができる場合があるため、それを狙って種をまくか、性質の異なる遺伝子を交配して、新たに種無しバナナを作り出すなどの方法で新品種を作ることができる。
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【追加雑学①】芭蕉(植物)もバナナの一種
日本で古くから観賞用に栽培されている芭蕉(バショウ)もバナナの一種である。芭蕉に実が付いた話はあまり聞かないが、それは他花授粉性があり、自分の花粉では授粉できないバナナだからだ。
日本への芭蕉の移入ルートは限られていたため、例の通りほとんどの芭蕉は同じ遺伝子をもっている。
すると芭蕉に果実が付くことはなくなるわけだが、稀に違う遺伝子をもつ個体が近くにいると、日本でも果実を付けることがあるのだ。
芭蕉の果実は太くて短い卵型のバナナになるが、甘味があり、なんとマスカットのような芳香があるといわれている!
もしかしたら松尾芭蕉のお気に入りのフルーツだったのかも知れない、と考えると面白いが、種がたくさん入っているので食べるのには苦労する…。
【追加雑学②】寒さに強いバナナもある
バナナは寒さに弱いイメージがあるが、芭蕉は東北でも生き残るなどかなり寒さに強い。他にもバナナはヒマラヤ山脈に数多くの種があるので、関東程度であれば栽培が可能だ!
よく知られているものに赤い実をつける「ベルチナバナナ」がある。
品種改良にされた物ではないため甘味が強い個体から、渋いだけの個体もいるが、完熟すると果皮がパックリ開くため「アケビバナナ」の名前でも知られている。
他にも
- 雲南バナナ
- バーミーズブルー
- レッドタイガー
- へレンズハイブリッド
- トムソニー
などが寒さに強い野生種として挙げられる。
バナナの雑学まとめ
バナナの苗は、同じ品種であれば全て同じ遺伝子をもつクローン個体だ。ただし、それは種子以外で増やす植物であればどの植物も同じことである。
メークインの芋からはメークインが作られるが、メークインの種子をまけばまた別の品種が生まれる。こうして植物の品種ができていることを理解すると、野菜の安全問題に対する誤解などもなくなり安心してもらえるだろう。
バナナには意外と多様な種類があり、日本に導入されていない品種も数多くあるので、今後の動向に期待が高まる!