ひらひらと優雅に飛んでいるチョウチョを外で見ると、つい和んでしまう。世界にもたくさん種類がいるチョウだが、なにも小さくて可愛らしいものばかりではない。
日本で見られるものは、比較的小さめのチョウが多いのだ。しかし、南太平洋のパプアニューギニアという国に、正直引いてしまうくらい大きいチョウが生息していることはご存知だろうか?
今回は、世界一大きいと評されるそのチョウの雑学を紹介しよう!
【動物雑学】世界一大きなチョウ「アレクサンドラトリバネアゲハ」とは?
【雑学解説】大きさだけじゃない「アレクサンドラトリバネアゲハ」の魅力
アレクサンドラトリバネアゲハ(またはアレキサンドラトリバネアゲハ)は、南太平洋の島国・パプアニューギニアの東部、オロ州の一部にのみ生息するトリバネアゲハ属のチョウである。
主食はハイビスカスの蜜で、メスは成虫で30センチにもなる。つまり文房具の30センチ定規そのままが、このチョウの大きさなのだ。
うーん、デカい…。それに比べオスは少し小さめだが、それでも他のチョウとは比較にならないほど大きい。
なお、最初につく「アレクサンドラ」という名の由来だが、イギリスの名家・ロスチャイルド家出身のウォルターという人物が、当時のアレクサンドラ・イギリス王妃への献名として名付けたのだとか。
アレクサンドラトリバネアゲハは幼虫時も巨大で、約12センチほどの大きさである。
…幼虫の大きさも規格外だ。
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色鮮やかなのはオス
王家ゆかりのたいそうな名が付いているチョウだが、その名の通りただ大きなだけではない。注目すべきは見た目の鮮やかさだ。
黒のラインに縁取られたハネの合間に、澄んだ青色が入っていて、実に美しい見た目をしている。が、これはオスに見られる特徴である。
一方、メスはまるでカフェラテのような暗めの色をしているのだが、ハネの大きさをオスと比べてみると明らかにサイズが違う。
これはアレクサンドラトリバネアゲハに限らず、トリバネアゲハ属の特徴である。オスが鮮やかで美しいハネをもつのに対して、メスはオスよりも大型だが、地味な配色になっている種類が多いのだ。
また、トリバネアゲハ属は全体的に生体数が少なく、オス・メス関係なしで、その全てがワシントン条約で保護されている貴重な種だということも付け加えておこう。
中でもアレクサンドラトリバネアゲハは、今でも規制を無視したコレクションや密猟の対象として狙われているという、不運なチョウでもある。
【追加雑学①】アレクサンドラトリバネアゲハは切手になっている
生息地・パプアニューギニアから発行された切手の中で、アレクサンドラトリバネアゲハがあしらわれたものがある。
それだけ国にも浸透しているチョウだということが伺える。パプアニューギニアでは、他にもチョウをあしらった切手が発行されているそうだ。
研究機関からの標本を元にして作られており、いずれもリアルで完成度の高い切手である。
【追加雑学②】アレクサンドラトリバネアゲハの貴重な動画
短い時間でかつ無音だが、オスのアレクサンドラトリバネアゲハが羽ばたいている様子が撮られた動画があった!
映像だとやはり大きさまでは伝わりづらいが、オスの美しい姿を見ることが出来る。
アレクサンドラトリバネアゲハの生きた実物を見ることは難しいため、動画であっても大変貴重なシーンなのだ。
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【追加雑学③】大型のチョウはほかにも!
アレクサンドラトリバネアゲハに匹敵する大きいサイズのチョウが他にもいるぞ!
それは「ゴライアストリバネアゲハ」という名前で、ニューギニアに生息するトリバネアゲハ属のチョウであり、アレクサンドラトリバネアゲハの近縁種でもある。
名前は旧約聖書に登場する巨人「ゴリアテ」から付けられたそうで、その名に恥じることない大きさのチョウだ。
ハネの面積だけならアレクサンドラトリバネアゲハを上回ることもあるそうだが、ハネを広げた際の全長としては21センチほど。そのため、こちらは次点の巨大チョウということにさせてもらった。
なお、同じトリバネアゲハ属の特徴ということで、こちらもオスは鮮やかな見た目でメスは地味な色のチョウである。
日本の巨大なチョウは?
海外種だけではなく、ここで日本にも生息する大きいチョウのことも紹介してみよう。
「モンキアゲハ」という名のチョウがいるが、アジア圏に広く分布していて、日本でも関東以西で見られる南国系のチョウだ。
日本で見られるものとしては最大の種類で、大きさは10センチ~14センチほど。だいたい大人の手のひらサイズである。
これよりも数段大きいアレクサンドラトリバネアゲハが世界一というのもうなずけるだろう。
アレクサンドラトリバネアゲハの雑学まとめ
「アレクサンドラトリバネアゲハ」についての雑学をご紹介してきた。
アレクサンドラトリバネアゲハは世界最大のチョウでありながら、鮮やかな色彩のハネを持ち合わせている。しかし、鮮やかなのはオスだけで、メスはオスよりもデカいが少し暗めの色になっていることもわかっただろう。
しかし、カラフルな原色=美しい、とは限らない。ディープな昆虫好きの人からすれば、メスの方が美しいチョウに見えている可能性だってある。
さらに、筆者のイメージではあるが、昆虫界においてのアレクサンドラトリバネアゲハのメスは、他のチョウのメスとはまるで別格で、あらゆるオスからモテモテのチョウだかもしれない。
そうだとすると、サイズの大きさも含め、まさしく「王妃」の名を冠するにふさわしいチョウだといえるのではないだろうか。
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