ヒメコンドルという鳥をご存知だろうか。南北アメリカ大陸やフォークランド諸島などに生息し、日本名で書くと「姫禿鷹」となるヒメコンドルは「姫」というにはほど遠い生態をもっている。
真っ黒な羽に真っ赤な頭。ハゲタカよろしく頭部は見事に禿げあがり、翼を広げれば全長は170㎝ほどにもなる大型の鳥である。この段階ですでに姫とは呼べないが、実際の生態を覗いてみると、そこにはもっと恐ろしい事実が待っている…。
今回はそんな、ヒメコンドルについての驚きの雑学を紹介していくぞ!
【動物雑学】ヒメコンドルの全く「姫」でない生態とは?
【雑学解説】ヒメコンドルの名前の由来は?主食からして姫じゃない
ヒメコンドルの名前の由来についてはどこの辞典にも記載がなく、真意は定かではないが、よく似た形の鳥に「クロコンドル」という鳥がいる。
こちらはヒメコンドルと容姿は同じだが、頭が真っ黒で非常に安直なネーミングであることを考えると、ただ単にクロコンドルと比べて頭が真っ赤なのでヒメコンドルという名前になったのかもしれない。
ヒメコンドルは植物や虫なども食べるが、主食は腐肉である。なぜ、わざわざ腐った肉を好むのかといえば、これにはコンドル類の嗅覚が異常に発達していることが関係している。
中でもヒメコンドルの嗅覚は優秀で、16㎞離れた場所の死体のにおいを嗅ぎつけることもできる、といわれている。つまり、誰よりも早く死体に気づくことができるわけだ。これは野生の動物界において非常に有利な能力で、食料となる死体をいち早く見つけることができるのだ。
そのため、ヒメコンドルは生きた動物を狙うことがほとんどなく、競合のない死体の肉を好んで食べるのだ。
これも心配には及ばない。
ヒメコンドルの消化器官は他の動物よりも強く、腐肉に含まれる大量の細菌も全く問題にしないのだ。コンドルのような死肉食動物は消化器官が強く、死体を食事として処理できることから生態系では非常に重要な役割を担っている。
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【追加雑学】ヒメコンドルは日本でも飼える
日本ではあまり見ることのないヒメコンドルだが、日本で飼育することも可能だ。
通常、コンドルは猛禽類(もうきんるい)の中でも獰猛なので、特定危険動物に指定されている。そのため、個人で飼育するには都道府県の許可が必要だが、なんとヒメコンドルは特定危険動物から除外されている。
つまり、特に届け出も要さず、簡単に買うことができる。
まずは、大きめのケージを用意することから始めよう。繋いだ鎖などが外れても逃げられることのないような頑丈なものをおすすめする。また、万が一逃げてしまったときのために個体識別ができるよう、マイクロチップなども用意しておけば完璧だ。
エサは小型動物の肉が好ましいが、腐っている必要はなく、魚なども好んで食べる。ただ、注意が必要なのは渇いた肉はほとんど食べないということ。ヒメコンドルは肉から水分を得るため、渇いてしまった肉は好まないのだ。
とても「姫」を飼うとは思えない内容だ。
ヒメコンドルの雑学まとめ
ヒメコンドルについての雑学、いかがだっただろうか。ヒメコンドルという名前から、華やかな容姿を想像してしまいそうになるが、実態は姫と呼ぶことを躊躇ってしまうほどの容姿と食生活であった。
死肉を掃除するヒメコンドルは生態系では欠かせない存在であり、むしろ重宝されるべき存在なのだ。
そういう意味では「姫」と呼ぶにはふさわしいのかもしれない。
ヒメコンドルは上野動物園や、愛知の東山動物園など、各地の動物園で広く飼育されているため、動物園に訪れた際は必ずチェックしてほしい。ここだけの話、ヒメコンドルの鼻の穴は貫通していて向こう側が見えるようになっている。ぜひご自分の目で確かめていただきたい。
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