ジーコにカカにペレ。ブラジルのサッカー選手は変わった名前が多い。しかも外国人の名前にしては、短くて呼びやすいから親しみがもてる。ポルトガル語って案外わかりやすい言葉なのかな?
…なんて思ったらとんでもない! そもそもブラジルの選手はほとんど本名を名乗っていないのだ! どうして? というか、あだ名だとしたら意味がすごく気になるぞ。
ということで、今回はブラジルのサッカー選手のニックネームの雑学をお届けしよう。
【スポーツ雑学】ブラジルではサッカー選手をニックネームで登録する
【雑学解説】ブラジル選手の選手登録名(あだ名)はとってもユニーク
ブラジルのサッカー選手は本名ではなく、ニックネームで選手登録を行う風習がある。日本で有名な選手にしても、認知されている名前はほぼニックネームだ。
たとえばJリーグ創成期の鹿島アントラーズで活躍し、日本代表の監督を務めたジーコもそう。彼の本名は「アルトゥール・アントゥネス・コインブラ」で、ジーコは「痩せっぽち」という意味だ。もっと強そうなニックネームを付けてもいいと思うのだが…。
また95年からジュビロ磐田で活躍し、ブラジル代表監督も務めたドゥンガの名前は『白雪姫と七人のこびと』に出てくる一番若い小人から取ったもので、意味は「おとぼけ」である。ちなみに本名は「カルロス・カエターノ・ブレドルン・ヴェーリ」だ。
そして94年に柏レイソルがJリーグ昇格を果たした際に貢献した、元ブラジル代表のカレカはなんと「ハゲ頭」という意味である。まったくもってハゲてはいないのだが…ブラジル人はニックネームでウケを狙いに行く人が多いみたいだ。
まあいわれればたしかに、変にカッコつけた名前にしようとすると、どうしても中二病っぽくなってしまうし、ニックネームを自分で付けるというのも照れくさいからふざけてしまうのもわかる。
なお日本ではあまり知られていないかもしれないが、ブラジルリーグには「ピカチュウ」という選手までいるというぞ!
どんなに可愛らしい選手なのかと思えば、その呼び名は動きの素早さに由来するらしい。以下に彼のプレー集を紹介しておこう。
たしかに選手の合間を縫ってのプレーは早業と呼ぶに相応しい。しかし…ポルトガル語の実況にたびたび「ピカチュウ」という単語が登場するのがシュールで笑ってしまう。
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ブラジル人がニックネームで選手登録する理由とは?
さて、どうしてブラジルの選手が揃いも揃って、本名ではないニックネームをサッカーネームとして使用しているのか。理由としては、ここまでで紹介したように、彼らの名前が非常に長いからだ。
ブラジルでは本名が「名前(ファーストネーム)+洗礼名+ミドルネーム+名字(ラストネーム)」となるのが普通で、ピッチで流すにしてもややこしいのである。だったらファーストネームだけで呼べば? という気もするが、そうもいかない。
ブラジル人は名前のレパートリーが少ないため、ファーストネームだけを取って呼ぶと名前が被ることが非常に多いのである。
同じピッチに同名の選手が何人もいれば、たしかに観るほうも混乱してしまいそうだ。チームメイトが名前を読んだら敵チームのメンバーが反応したりして…。
そして名前がややこしいのはサッカーの場に限らないのか、ブラジルにはもともと本名で呼び合う習慣があまりない。家族でもユニークなニックネームで呼び合うというから、サッカー選手の名前もその流れなのだろう。
【追加雑学】近年はブラジルでもニックネームが廃止に?
長らくユニークなニックネームで親しまれてきたブラジルのサッカー選手だが、どうやら近年はそのニックネームも廃止の方向に向かっているという。
2018年のワールドカップの代表選手を見ても「ガブリエルジェズス」「コウチーニョ」「パウリーニョ」など、ファーストネームで選手登録がされていることが明白だ。
なんでもブラジルのサッカークラブ役員が「ニックネームのイメージに選手がしばられて、本来の持ち味が発揮できない」のようなことを言っているのだとか。
いやいや、今まで持ち味発揮しまくりの強国として君臨していたじゃないですか…という感じである。そもそも1974年から40年以上も続いた文化だというから、今さらも今さらだ。
…と、寂しい気持ちからちょっぴり文句を言ってしまったが、呼び方が変わっても彼らは変わらないポテンシャルで観衆を楽しませてくれることだろう!
雑学まとめ
ブラジルのサッカー選手には「痩せっぽち」「おとぼけ」「ハゲ頭」「ピカチュウ」と、実にユニークなニックネームが並ぶ。
本名が長くて呼びにくいというのもあるだろうが、そもそも家族でもニックネームで呼び合うというのは、なんともフレンドリーな風習だ。やはり熱帯の気候が人々も陽気にするのだろうか。
…日本では間違ってもお父さんを「ハゲ頭」なんて呼んじゃいけないぞ!