お祝い事やご褒美に登場する肉といえば、なんといっても牛肉! 高級な肉の代名詞だが、思いうかべるのは霜降り肉ではないだろうか。
焼肉屋でよく目にする霜降り肉には「A5ランク」と書かれている。特に深く考えず、牛肉の最高ランクだと思っている人も多いだろう。たしかに最高ランクではあるのだが、その意味を知っているだろうか?
実は牛肉は、最高のA5ランクだからといって味が最高だとは限らないのである。まるでA5神話のようにありがたがっていたが、まさかの事実にビックリだ…!
今回はそんな、牛肉にまつわる驚きの雑学を紹介していくぞ!
【食べ物雑学】A5ランクの牛肉が美味しいとは限らない
【雑学解説】和牛のランク付けは見た目だけで判断
牛肉のランク付けはアルファベットによるA~Cと数字による1~5に分けられている。アルファベットは「可食部(食べられる部分)の大きさ」を、そして数字は「サシ(脂、つまり霜降り)の入り方・肉の色・質感」を表している。
牛肉は部位ごとに大まかに切り分けたものを「枝肉(えだにく)」とされ、その枝肉の「歩留まり(ぶどまり)=可食部」が大きければ大きいほどAとされる。あくまで味ではなく、食べる部分が大きければA! 小さいからC! ということだ。
また、霜降りの具合やおいしそうな色、肉の引き締まり具合などは完全に見た目による判断。5が最高で1が最低だ。経験を積んだプロがランク付けを担当するので心配はないが、これもあくまで見た目にすぎない。
しつこいようだが、A5だからといって食べて判断しているわけではないのだ。逆にB5やC5でも、食べられる部分が少ないだけであって肉質はA5と変わらない。
もちろんプロの判断なのでA5が「大きくておいしそうな肉」であることは間違いないし、実際おいしい可能性は高い。だが、霜降りが多くても脂の味がしつこかったり、食感が固かったりする場合もあるだろう。
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【追加雑学①】日本の牛はA5ランクにむいていない?
古来より日本にいる在来種は、黒毛和種を筆頭に褐毛和種・日本短角種・無角和種。いずれも海外種より小柄でこぢんまりとした品種だ。
日本は肉食ではなかったし、田畑を耕す牛は貴重な家畜。牛肉を食べるなんてとんでもないことだったのだ。小柄な体は畑で動きやすいように進化したといってもいい。
日本の牛は小さな体で可食部が少なく、よく動くので脂肪も少ない。つまり、日本古来の品種ではA5ランクにむいていないということだ。
このため、戦後は体格のいい海外種との交雑が推奨された。A5ランクは売値が高いので農家がA5ランクを作ろうと努力し、体が大きい牛を育てようと必死になった。
今では和牛本来のよさが見直され、血統が厳しく管理されるようになったが、おいしさというより「A5ランク」というイメージだけにこだわってしまった悲しい歴史がある。
和牛のきめ細かな肉質と脂の旨みは、本来A5にこだわらなくてもじゅうぶん味わえるものなのだ。
【追加雑学②】霜降り肉と赤身肉はおいしさが違う
A5だからおいしいとは限らない理由は他にもある。日本で高級肉の代名詞とされる霜降り肉だが、脂っこい質感が苦手な人にはむいていない。
脂は口当たりが柔らかく融点が低いので、口に入れるととろけるような舌ざわりが楽しめる。質のいい脂ならうまみと甘みを感じることもできるだろう。だが、飼料や生育環境によってはしつこい・くどい味になることもある。
対する赤身は歯ごたえがあり、小さな子どもや高齢者ではアゴが疲れてしまうかもしれない。しかし赤身のよさはその歯ごたえ。
脂と違い、肉そのものの風味を存分に味わえる。海外の厚切りステーキに赤身が多いのはこのためだ。
霜降り肉と赤身肉にはそれぞれの味わい方があり、おいしさも違う。A5ランクの牛肉が高級であるのは間違いないが、A5だけを絶対視しなくてもよいことは覚えておこう。
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牛肉のランク|雑学まとめ
牛肉の「A5」についての雑学、いかがだっただろうか。いかにプロの目利きとはいえ、味わいをまったく無視して見た目だけでランクづけされているとは知らなかった…。ほんのりショックである。
霜降りならではのとろけるような食感は魅力だが、赤身ならではの味わいも捨てがたい。外食店では「脱A5宣言」をする店が出始めている。
「おいしい肉」は人それぞれ。BやCでもむしろお得に牛肉を買えるチャンス! たまにはA5以外を意識して味わってみよう。
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