ゴジラ(1954) 芹沢博士を演じた"平田昭彦"
ゴジラは人間の手に負えない怪獣であり、ほとんどの場合倒すことはできない。しかし、1作目の「ゴジラ」ではなんと人間の科学者が作った兵器で倒されている。
ウルトラマンシリーズに登場するゼットンは、ウルトラマンを倒した怪獣だ。あまり知られていない事実だが、ゼットンも人間の科学者が作った新兵器で撃退されている。
なんと、ゴジラとゼットンを倒すための兵器を開発した科学者は、同じ俳優が演じているのだ! 今回は、「特撮最強の男」と呼ばれる平田昭彦についての雑学をご紹介しよう。
【面白い雑学】平田昭彦は「日本特撮最強の男」
【雑学解説】平田昭彦が「日本特撮最強の男」と呼ばれている理由とは?
ゴジラシリーズのゴジラは作中ではほぼ不死身の存在だ。他の怪獣に負けることはあっても死ぬことはない。もちろん、通常兵器による攻撃は全く通用しない。
しかし、一度だけゴジラが攻撃を受けて死んだことがある。それは、人間の科学者が開発したオキシジェンデストロイヤーという兵器によってだ。
ゼットンはウルトラマンを始めて倒した怪獣で、新しい怪獣がどんどん登場しても別格の存在として扱われている。こちらでも、ゼットンをあっさりと倒した無重力弾は、人間が開発した兵器だった。
さらに、オキシジェンデストロイヤーの開発者の芹沢大助博士と、無重力弾を開発した岩本博士は、東宝の二枚目スターだった平田昭彦が演じている。
平田昭彦は、東京大学法学部政治学科を1950年に卒業し、一度東京貿易に入社した。しかし、1953年に東宝に入り、その年に俳優としてデビューしている。ゴジラに出演したのは1年後だ。
平田昭彦は時代劇・戦争映画・コメディ・アクション映画・文芸作品など幅広い作品に出演した俳優として知られている。
丹波哲郎主演の「鬼平犯科帳」では、鬼平こと長谷川平蔵の理解者である若年寄・京極備前守高久を演じている。原作者の池波正太郎が、備前守にふさわしいのは平田昭彦しかいないといって、主役が変わっても備前守を演じ続けたのも有名な話である。
伝説の刑事ドラマ「太陽にほえろ」には、物語の舞台である七曲署の所長役で出演しており、刑事たちの指揮をとるシーンも存在する。
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特撮映画で輝いた平田昭彦
平田昭彦は、デビュー間もないころにゴジラに出演したこともあり、特撮映画の俳優としても有名だ。ゴジラでは毎回違う役だが計7回出演している。また、科学者を演じることが非常に多い。
ゴジラとゼットンだけでなく、ゴジラ以上の怪獣として設定されている大怪獣バランを倒した藤村博士も演じているのだ。これらのことから、怪獣映画のファンからは日本特撮最強の男と呼ばれることもある。
ちなみにゴジラのテレビゲームには、平田昭彦が演じる芹沢博士が巨大化して、ビルを破壊するというとんでもない展開がある。
1974年の「メカゴジラの逆襲」では、チタノザウルスを操る悪の科学者・真船博士を演じた。その後、ゴジラ映画復活のため芹沢博士にコスプレし、1984年の「ゴジラ」にも出演予定だった。しかし、体調不良で入院してしまい、「ゴジラ」に出演することはなかった。
1984年7月25日に癌性リンパ症で亡くなったため、「メカゴジラの逆襲」がゴジラシリーズの最後の出演となった。
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【 追加雑学①】平田昭彦の「芹沢博士役」は渡辺謙に引き継がれた
ゴジラ(1954) 芹沢博士を演じた"平田昭彦"
ゴジラシリーズでゴジラが負けることはそこまで珍しくない。しかし作中で完全に倒されたことは、1作目とアニメのゴジラを除いて一度もない。
そのため、ゴジラを倒した芹沢博士とオキシジェンデストロイヤーの名前は特別なものになっている。オキシジェンデストロイヤーは酸素を破壊する兵器であり、使用すると広範囲の酸素を破壊してしまう。
その効果は生物の細胞内の酸素にまで及び、生物の肉体を崩壊させて骨だけにしてしまう。ゴジラの作中では水中で使用され、ゴジラを含む東京湾中の生物を骨だけにしてしまった。もし地上で使用されたら、東京中の生物は全て死に絶えるといわれている。
「ゴジラ対デストロイア」では、怪獣デストロイアがオキシジェンデストロイヤーを使用する攻撃を行っている。
しかし、核エネルギーが暴走したゴジラは、肉体が崩壊する前に再生してしまいオキシジェンデストロイヤーも通用しなくなっていた。
2014年から始まったハリウッド版ドラマのゴジラには渡辺謙がメインキャストとして登場しているが、芹沢博士の名前を受け継ぎ、芹沢猪四郎という生物学者を演じている。
ハリウッド版に登場する日本人キャストということで、芹沢博士のオマージュとして芹沢猪四郎博士を演じることになったのだ。
また、2019年のハリウッド版のゴジラ映画「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」にも、全く別の原理の兵器だが、ゴジラにダメージを与える超兵器としてオキシジェンデストロイヤーが登場している。
ゴジラを倒した存在として、芹沢博士とオキシジェンデストロイヤーは特別なものになっているのだ。
【追加雑学②】平田昭彦の「無重力弾」は二度と登場しなかった
オキシジェンデストロイヤー
ゴジラを倒したオキシジェンデストロイヤーは作中で特別な兵器として扱われており、そのままの形で登場しなくても、作品の中で抜群の存在感を誇っている。
ゼットンを倒した無重力弾もまた、「ウルトラマンシリーズ」で特別扱いを受けてもよさそうだ。しかし無重力弾は、「ウルトラマンシリーズ」のテレビ作品には全く登場しない。名前が登場することもなく、全く存在感がないのである。
「ウルトラマンシリーズ」では、唐突に怪獣を一撃で倒すような超兵器が登場する場合があるが、ゼットンを倒した無重力弾のインパクトは抜群である。
「ウルトラマン」の最終話は、ウルトラマンがゼットンに倒されるという衝撃の展開になるものの、平田昭彦演じる岩本博士が唐突に現れて、無重力弾を科学特捜隊の隊員に渡すのだ。
無重力弾は、拳銃サイズの武器にアタッチメントとして取りつけて使用する。扱いは極めて簡単で引き金を引くだけで撃つことができるのだ。
大きさも鉛筆ぐらいであり、別名ペンシル爆弾と呼ばれている。こんな武器を打ち込んだだけでゼットンが宙に浮かんで爆発してしまうのだから恐ろしい兵器である。
もし量産されたら、ウルトラマンが怪獣と戦う必要はなくなってしまうだろう。強すぎる人間の兵器は、「ウルトラマンシリーズ」では邪魔な存在なのかもしれない。
平田昭彦の雑学まとめ
平田昭彦
ゴジラとゼットンを倒す人物を演じた、平田昭彦に関するトリビアをご紹介した。56歳の若さで亡くなってしまったが、ゴジラの出演に関しては、非常に精力的だったことが知られている。
その後もゴジラは休業期間を挟みながらもシリーズは継続しており、平田昭彦が存命だったならさらに出演作が増えたといわれている。
オキシジェンデストロイヤーと関係が深い1996年の「ゴジラVSデストロイア」の作中では、平田昭彦演じる芹沢博士の当時の映像が流れている。