アホウドリ、一度聞いたら忘れられないインパクトのある名前だ。
こんな気の毒な名前で呼ばれている鳥とは、いったいどんな鳥なのだろう。もしかしたら、鳴き声が「アホウ~アホウ~」でアホウドリ? それとも本当に残念な鳥?
そんなアホウドリの謎を調べてみたら、「やっぱりそうか!」と「そんなことが!」な雑学があったので紹介してみよう。
【面白い雑学】アホウドリはアホが原因で絶滅しそうになった
【雑学解説】アホウドリの名前の由来とは?
アホウドリは、生息する場所が無人島だったため、人間に対する警戒心が薄く、仲間が目の前で捕まっているのに、逃げずに自分も捕まってしまうような鳥だったので、「アホウドリ」と名付けられてしまったのだ。
19世紀の後半から20世紀の前半にかけて、捕まえるのが簡単なアホウドリを羽毛目的のために乱獲したために絶滅の危機に瀕したのである。
また、アホウドリの体長は80~10cm。翼を広げると両翼の端から端までが2メートルを超え、重さも3~5kgと大型の海鳥である。
そんなアホウドリは、大きな翼をもっているために地上ではバランスが悪く、歩くのがとても遅いのである。そして、一旦地上に降り立ってしまうと、助走をしないと飛び立てないのも捕まりやすかった要因の一つだ。
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【追加雑学①】アホウドリは、実は優れた飛翔能力を持つ!
地上ではすぐに捕まるアホウドリもひとたび空に舞い上がると、とても美しい姿をみせるのだ。
アホウドリはその大きな翼を広げて、グライダーのように風に乗って空を飛ぶのだが、このときほとんど羽ばたかずに長距離を移動できるという。
ゴルフでパー(基本の打数)より3打少なくホールを終わることを「アルバトロス」というのだが、この「アルバトロス」はアホウドリの英語名なのである。遠くまでボールを飛ばさないと出すことができない「アルバトロス」は、アホウドリの飛翔能力の高さに由来しているのだ。
こちらが飛んでいるアホウドリの映像。優雅に滑空する姿はアホウには見えない!
【追加雑学②】アホウドリはオキノタユウに改名する!?
「阿呆鳥」・「阿房鳥」・「信天翁」はすべてアホウドリと読む。
「信天翁」とは、「天から魚(エサ)が降ってくるのを1日中待っているおじいさん」といった意味で、そのまま「しんてんおう」とも読むが、これもまたアホウな様子を表した名前である。
こんな残念な名前が一般的になってしまっているのだが、実は古くから呼ばれていたアホウドリの地方名に「オキノタユウ」というものがある。漢字にすると「沖の太夫」で、「沖に住む立派な鳥」というような意味になる。
東邦大学の名誉教授で、長年アホウドリの生態研究や保護活動を続けている長谷川博先生が、「長い間捕獲され、人間に利用される対象でしたが今は違う。ともに生きる仲間として敬意を込めて呼びたい。」
「ツルよりも長生きで、オシドリよりも夫婦仲の良いこの鳥は人間にとってめでたいことの象徴になりうる。アホウドリではなくオキノタユウと呼ぼう。」と呼びかけている。
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アホウドリは寿命が50~60年と長く、さらに一夫一婦制を生涯貫く愛情深い鳥なのである。そんな彼らを「アホウドリ」と呼び続けるのはやはり人間の傲慢のように思えてならない。
日本魚類学会では2007年に、差別的な表現を使った魚の和名を改名しているので、アホウドリもぜひ「オキノタユウ」という名で知られるようになってもらいたい。
アホウドリの雑学まとめ
アホウドリについての雑学、いかがだっただろうか。
アホウドリは、地上での動きの鈍さや警戒心のなさで捕まりやすかったために「アホウ」のレッテルを貼られてしまい、絶滅寸前になってしまった鳥だった。
1949年に一度は絶滅宣言もされてしまったアホウドリだが、1951年に10羽ほど再発見され、今では国の特別天然記念物・国際保護鳥に指定され、懸命な保護活動により2018年には5000羽を超えるまでに増えている。
人間のエゴで1000万羽も乱獲され、さらにひどい名前で呼ばれてしまったアホウドリ。その飛翔能力は鳥類の中でも群を抜いており、その様は美しく勇壮だ。
調べていたらアホウドリに魅せられてしまった。いつの日か「オキノタユウ」に改名され、アホウなだけではないことを見直されることを祈る。
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