日本は毎年冬になると外出するのが億劫になるほどの寒さに襲われる。しかし、世界中には日本とは比べ物にならないほど寒い地域が存在する。そう、北極と南極だ!
北極と南極は、地球の最北端と最南端の島だ。その寒さは年間を通して氷点下を大きく下回ると言うから驚きである。では北極と南極ではどちらが寒いのだろう?
「氷で島ができてるから北極でしょ」「ペンギンがいる南極では?」など、さまざまな意見があるだろうが、実はこの2つの島の気温は大きく違うのだ。今回の雑学では、北極と南極の寒さに隠された謎に迫る!
【自然雑学】北極と南極、寒いのはどっち?
【雑学解説】北極より南極のほうが寒い
北極と南極のイメージといったら「めちゃくちゃ寒い場所」というのが真っ先に思い浮かぶだろう。実際、この2ヶ所は日本の冬より-30度以上も寒い場所だ。到底人間が生きていける場所ではない…。
まずは同条件とするため、北極点と南極点に位置を限定して2ヶ所の年平均気温を比べてみよう。北極点の年平均気温は-43度であることに対し、南極点は-49.5度である。南極点のほうが6.5度低い。
ではそれぞれ場所を限定せず、様々な地点で気温を観測した場合どうだろう。実はこの場合、南極のほうが北極よりも平均して20度も気温が低いのである! 南極のほうが遥かに寒いという結果だ…。
ではなぜ、南極は北極と比べると寒いのだろうか? それは北極と南極の地理的要因が大きく関係している。
南極は氷が分厚いので北極より標高が高い!
実は北極と南極では標高が全然違うということをご存知だろうか?
まず北極は島のほとんどが水面に浮かんだ氷であり、氷の厚さは最大でも10メートルほどである。
それに比べて、南極は広い岩盤の上に氷が張っている大陸だ。岩盤の上の氷は平均で2450メートルもあると言われている。南極の岩盤は海面下160メートルにあるので、南極の平均標高は2,290メートルになる。
つまり、南極は北極よりも標高がかなり高いので、必然的に寒いのだ!
また、南極は北極と比べて、気温変化が激しいことが分かっている。南極は広大な大陸であり、その面積は北極の海氷面積の3倍以上・日本の約33倍にもなる。一般的に海岸より内陸部のほうが気温の変化は激しいので、南極の内陸部は気温が下がりやすいのだ。
この他にもさまざまな要因があるとされるが、南極が北極より寒い理由の主な原因はこの2つだ。似たように見える北極と南極だが、地理的に見るとかなり違う土地なのだ!
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【追加雑学①】南極の中でも場所により気温がぜんぜん違う
南極は非常に大きな大陸であり、その面積は14,000,000キロ平方メートルだ。この大きさはオーストラリア大陸と比べても1.5倍ほどもある。
実は広大な南極では場所により気温がぜんぜん違うのだ。
南極には世界の国々の観測基地があり、日本の観測基地も存在する。南極の沿岸部に建てられた日本の「昭和基地」で観測された年平均気温は-10.5度であるのに比べ、内陸にあるロシアの「ボストーク基地」では-55.3度だ。
一言で南極といっても、場所によっては40度以上も差があるのだ。
【追加雑学②】北極と南極で生態系が違う理由
北極と南極は極寒の地でありながら、その気候に適応した動物たちが生態系を築いている。これらの動物たちは「極地動物」と呼ばれ、アザラシやクジラなど厚い脂肪に覆われた動物たちが多い。
しかし、北極と南極では生態系が異なっている。ご存知の通りホッキョクグマは北極にしかいないし、ペンギンは南極にしかいない…。ではなぜこのような違いが生まれたのだろうか?
動物たちの生態系が異なる理由については、北極と南極で育つ植物の違いが最も関係している。
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北極で育つ植物は種類が豊富!
基本的に氷点下の気候では植物は育ちにくいといわれる。しかし、北極はツンドラ気候に属しており、実はさまざまな種類の植物が生えているのだ。
植物が生えているということは、それを食べる昆虫が生まれ、昆虫がいるということはこれらを食べる小動物が生息できる。小動物が生息しているということは、それらを食べる肉食のホッキョクグマが生息できる…。
このように北極では見事な食物連鎖が育まれているのだ! これに対し南極の植物はコケや菌類のような植物しか繁殖していないので、このような食物連鎖は生まれないのだ…。
昔は北極にもペンギンはいた
次にペンギンが南極にしかいない理由を説明する。
実はその昔、南極だけでなく北極やその周辺にもペンギンは生息していた。そのペンギンは「オオウミガラス」と呼ばれ、数百万羽もいたとされている。
しかし、16世紀フランスの探検家によりオオウミガラスが発見されると、羽毛や脂肪の搾取のためにオオウミガラスは乱獲され始めた。
オオウミガラスは好奇心が強く、人間に自分から寄っていったようで、簡単に捕獲できたそうだ…。
その結果、19世紀半ばには最後のオオウミガラスが捕獲されて以降、オオウミガラスは絶滅したのだ。つまり、人間により北極のペンギンは絶滅させられたというわけである。
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【追加雑学③】南極は大陸だが北極は違う?
南極は南極大陸だが、北極は北極大陸といわれることがないのはなぜだろうか?
実は、島が大陸と呼ばれるには条件があるのだ! それは、オーストラリア大陸より大きいかどうかだ。(つまり最小の大陸はオーストラリア大陸ということになる。)
北極はそのほとんどが海の上に氷が張っていることで成り立つ島だ。そのため陸地とみなす岩盤がほとんど存在せず、面積は狭くなってしまう。そのため北極は、大陸とはなりえないのだ。
Youtubeに北極と南極の違いを比較した動画があるので、さらにこの2ヶ所の違いを知りたい方はぜひ見てみると良いだろう。
北極は地図には描かれない?
世界地図を見ると南極は下の方に大きく描かれているのに対し、北極は見当たらない。この理由も北極のほとんどが氷の大地であることが関係している。
北極という島は存在するが、地図に氷を描くわけにはいかないので地図上には北極がないのだ。「北極どこだ~?」と探しても無駄でしかないのである。
ちなみに「北極諸島」と呼ばれるカナダの北方にある島々は陸地(岩盤)が存在するので、ちゃんと地図にも描かれている…。
雑学まとめ
今回の雑学では北極と南極のどちらが寒いかを、互いの違いを踏まえた上で解説した。漠然と北極と南極が寒い気候だと言っても、実際にはかなりの気温差があり、平均すると南極のほうが約20度も気温が低い。
北極や南極は現在も謎が多く、研究が日々進められている。人間が生きてはいけない極寒の地は神秘的で、魅力がいっぱいだ!
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