「ちびまる子ちゃん」の主人公である、まる子の大きな味方となってくれるのが、お爺ちゃん・友蔵(ともぞう)。まる子に言いくるめられて甘やかしてしまうことも多いが、孫思いの優しいお爺ちゃんだ。
実は、友蔵がここまで孫に甘々なキャラクターになったのには理由がある。今回は、知っているようで知らない、友蔵に関する雑学を紹介しよう。
【サブカル雑学】「ちびまる子ちゃん」に出てくる友蔵は、作者の理想のお爺ちゃん像
【雑学解説】現実のお爺ちゃんは酷かった
「ちびまる子ちゃん」といえば、作者であるさくらももこの少女時代を下敷きにしたエッセイ的なギャグマンガである。連載が長引くとオリジナルの話が連載されたが、当初は作者自身のエピソードを元にしたエッセイ的な話が描かれていた。
そのため、登場するキャラクターは、さくらももこの少女時代の友達や家族がモデルとなっている。しかし、現実とは違うキャラクターとなったのが祖父である友蔵だ。
現実の友蔵は、アニメのように優しいお爺ちゃんではなく、意地悪でろくでもない祖父だったという。
さくらももこのエッセイである「もものかんづめ」では、現実の友蔵の人となりとして、このようなことが書かれている。
ズルくてイジワルで怠け者で、嫁イビリはするし、母も私も姉も散々な目に遭った。
「もものかんづめ」より
このほかにも、さくらももこの貯金箱からお金を盗んだり、お風呂をのぞき見しようとしたりするなど、アニメ版の友蔵からは考えられないような人物であったことが「もものかんづめ」で語られている。
ボケていた可能性もあったが、さくらももこは「そのボケ方が怪しい」と思っていたそうだ。
さらに、「もものかんづめ」では友蔵が亡くなった後の葬式のことが語られているのだが、そのエピソードがやばい。友蔵が亡くなったことを伝えに、さくらももこは姉を起こしに行くのだが…
「ジィさんが死んだよ」と私が言ったとたん、姉はバッタのように飛び起きた。「うそっ」と言いつつ、その目は期待と興奮で光り輝いていた。私は姉の期待をますます高める効果を狙い
「いい? ジィさんの死に顔は、それはそれは面白いよ。口をパカッと開けちゃってさ、ムンクの叫びだよあれは。でもね、決して笑っちゃダメだよ、なんつったって死んだんだからね、どんなに可笑しくても笑っちゃダメ」としつこく忠告した。
姉は恐る恐る祖父の部屋のドアを開け、祖父の顔をチラリと見るなり転がるようにして台所の隅でうずくまり、コオロギのように笑い始めた。
(中略)
死に損ないのゴキブリのような姉を台所に残し、私は祖父の部屋へ観察に行った。誰も泣いている人はいない。ここまで惜しまれずに死ねるというのも、なかなかどうしてできない事である。
「もものかんづめ」より
さくらももこが煽ったのもあるが、祖父の死に顔に大笑いする姉…。これだけでもなかなかパンチの効いたエピソードだが、祖父を弔いに来た人は誰も泣いていないという。
親族が亡くなっても、悲しくても涙を流さない人はいるものだが、「誰も泣いている人はいない」となると…。
祖父が亡くなっても、さくらももこはその死を悲しまなかった。エッセイでも、祖父はろくでもない人間であることを語っていた。このことから、アニメや漫画に出てくる友蔵は、さくらももこの「理想のお爺ちゃん像」であることが分かるだろう。
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雑学まとめ
ちびまる子ちゃんのおじいちゃん、友蔵にまつわる雑学を紹介した。「ちびまる子ちゃん」の登場人物は、作者・さくらももこの少女時代の友人や家族がモデルだ。しかし、その中でも祖父である友蔵は、現実とは違うキャラクターとして描かれている。
その理由は、現実の祖父が、さくらももこにとってろくでもない人物だったから。どれほど嫌われていたかは、さくらももこが葬式で悲しまなかったことからも読み取れる。
そのためか、アニメや漫画の友蔵は、さくらももこの思う「理想のお爺ちゃん」となっているのだ。
この雑学を知って、上の動画のようにアニメで友蔵がまる子を溺愛するエピソードを見ると、少々なんともいえない気持ちになるのは私だけだろうか…?