鳴き声や見た目が特長的なセミ。子供の頃に、幼虫から孵るときの抜け殻を集めて遊んだという人もいるだろう。
私たちにとって身近な虫でもあるセミについて、こんな噂を聞いたことがあるはずだ。「セミは成虫になったら1週間しか生きられない」。まことしやかに噂されているセミの寿命は1週間説。しかしこれは真っ赤な嘘。セミはもっと生きているのだ。
今回は、そんなセミの寿命についての雑学を紹介していこう。
【動物雑学】「セミの成虫は1週間しか生きない」はウソ
【雑学解説】セミの成虫は、実は一ヶ月ほど生きている
夏の風物詩であるとともに、儚いイメージももたれがちなセミ。やつらの鳴き声は夏の到来を感じさせる。そのイメージは彼らの人生、もといセミ生によって築かれたものだろう。
数年のあいだひとりぼっちで土の中で過ごし、成虫になって地上に出たら1週間で死ぬ。という噂に「たった1週間しか外の世界にいられないなんて…」と、セミに切なく儚い印象を抱く人も多いだろう。
しかし、そんな人間を尻目に、セミはもうちょっと長生きしているのだ。
種によっても左右されるが、実際のセミの寿命は1週間よりも長く、だいたい10日からひと月ほどだとされているのだ。
2019年には、セミの寿命を調査した岡山の高校生がニュースにもなった。捕獲した863匹ものセミの羽にマークをつけて放し、その後に再捕獲するという気が遠くなりそうな調査の結果、セミの寿命が1週間よりも長いことを突き止めたのだという。
それではなぜ、1週間しか生きないという俗説が広く知られているのだろうか。これにはセミの飼育が難しく、飼育下では寿命が縮まるからではないかといわれている。
幼虫期間も含めたら何年も生きているセミ。短命で儚い虫だと思われているが、虫の中では長生きな方なのだ。幼虫期間含め1年ほどしか生きないカブトムシの方がよほど儚い命である。
セミは意外とよく生きているのだ。
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【追加雑学①】17年間幼虫で過ごしたセミもいる
セミはその生涯の多くを土の中で暮らす。成虫になってから1ヶ月生きるとしても、その事実は変わらない。幼虫期間は種によっても変わってくるが、だいたい2年から5年ほどだ。
ところが世界には、驚くほど幼虫期間が長いセミもいるのである。それがアメリカで見られる現象、「周期ゼミ」だ。
不思議なことに、世界でも北アメリカだけに見られる現象で、一定の周期でセミが大量発生するのである。
その周期が17年と13年。北アメリカの北部では17年ゼミが、南部では13年ゼミが生息している。
「周期ゼミ」は複数の種の総称で、17年ゼミは3種、13年ゼミは4種。「17」も「13」も素数なことから「素数ゼミ」とも呼ばれるのだ。
17年に1回、13年に1回、起こるセミの大量発生。
これは、セミの生きるサイクルに関わっているだろうといわれている。つまり、17年ゼミは17年、幼虫生活を行なっているというわけだ。そして17年に1回、成虫となり地上デビューするのだ。
しかし、17年といったらすごい時間だ。人間だってほぼほぼ大人に成長する期間。そんな長い時間を土の中にこもって過ごしているとは…。虫だと考えると長生きすぎる。
【追加雑学②】怖い!「セミ爆弾」の見分け方
夏の風物詩のセミだが、夏の終わりにはこわーい風物詩に変身する。それが「セミ爆弾」。
道に転がる生死の境目をさまよっているセミたちだ。道路や公園、マンションの廊下など、さまざまな場所で行き倒れているセミたち。
「もう動かないのかな?」「仏様かな?」と思ってそばを通ると、突然「ジジジッ!」と暴れまわる。
この心臓に悪いセミ爆弾…効果は抜群だ。道の真ん中に仕掛けられていると、通るに通れず立ち往生である。
そんな困ったセミ爆弾だが、実はこのトラップを回避できる見分け方があるのだ。注目すべきはセミの脚。開いているか閉じているか。
セミの脚がぱかっとご開帳していたら、そいつは今際の際にいる、「生きたセミ」だ。逆に足をきれいに揃えて閉じられていたら、ご臨終済みの「亡骸のセミ」。
夏の終わり、トラップに引っかからないように脚に注目して歩こう。
雑学まとめ
今回はセミの雑学を紹介した。
なんとセミは意外と長生きだったのだ。セミを見るたびに、1週間しか生きられないのだとセンチメンタルな気持ちを味わっていた身としては大ニュースだ。1ヶ月も十分短いが…。
それにしてもセミにとっては当たり前なのだろうが、一生のほとんどを土の中で過ごすって改めてすごい生涯である。
余計なお世話かもしれないが、セミたちが少しでも長生きできることを祈ってしまう。