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トルコでコーヒーが禁止されていた理由とは?飲んだら死刑。【ムラト4世】

雑学カンパニー編集部

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17世紀のトルコでは、ムラト4世によってコーヒーを飲むと死刑になったという雑学

喫茶店にモーニングという言葉があるように、朝の1杯をコーヒーから始める人は多い。かと思えばランチの後の一息タイムや、お疲れの缶コーヒーなど、1日を通して私たちはコーヒーとかなり密接に関わっている。

そんなコーヒーだが、一時は飲んだだけで死刑になるような重罪と捉えられていた国があるというぞ? まるで違法ドラッグ…いや、それ以上の扱いではないか。

スタバでドヤるビジネスマンも、自家焙煎を楽しむこだわり派も、缶コーヒーで束の間の休息を取る現場のおっちゃんも、この法律に従えば即刻死刑? そんな嘘みたいなトルコの黒歴史に、今回は迫ってみよう。

【世界雑学】トルコでコーヒーが禁止されていた理由とは?

ロバート
ブレイクタイムはコーヒーに限るぜ!これがない日なんて考えらんないよな?
エイミー
そうね。でもかつてのトルコでは、コーヒーは禁止されていたのよ。これは17世紀の皇帝・ムラト4世の時代の話よ。

【雑学解説】コーヒーを飲んだら海に沈められる!

コーヒーは神に背く飲み物?飲んだら海に沈めるぞ!というトリビア

17世紀、トルコがまだオスマン帝国と呼ばれていたころの指導者、ムラト4世はコーヒーを毛嫌いしており、1杯飲めば40回の鞭打ち刑、2杯飲めば袋詰めにして海に捨てるという、恐ろしい法律を作った。

ロバート
コーヒー2杯で海に捨てられるとか…オレ命がいくつあっても足りねーよ…。

まるで麻薬さながらの扱い…コーヒーがそこまで悪い飲み物のようには思えないが?

この法律の施行には、ムラト4世が敬虔なイスラム教徒だったことが関係している。イスラム教では神を偶像に見立てるのは無礼にあたるため禁止されており、コーヒーは偶像崇拝者が儀式の際に飲むものとみなされていたのだ。

偶像崇拝の行為だけでなく、それに使われる器や食べ物まで忌むべき対象とされるのである。また炒ったコーヒー豆が、イスラム教で食用を禁止されている炭に似ていたからという説もある。

炭ってそもそも食べ物でもない気がするが、焦げた食べ物のことか? いずれにしても食べ物に罪はないのだが…宗教はいろいろと難しいものだ。

そもそもトルコはイスラム教の国だが、その信仰の度合いは指導者によってさまざま。ムラト4世は歴代の君主でも、とにかく厳格に教えを守ろうとした人物なのだ。それにしたって海に沈めるのはやりすぎだと思うが…。

ロバート
いくら宗教が厳しくても、コーヒーをちょっと飲むくらいいいと思うけど…。
エイミー
それが実は、宗教以外にもコーヒーを禁止しないといけない理由があったみたいなの。

コーヒーの禁止には治安維持の意味合いも

コーヒーの禁止には治安維持の意味合いというトリビア

イスラム教の教えに反するという理由もあれば、コーヒーの禁止には政治的な意味合いもある。当時のトルコ・イスタンブールには、現在のカフェの起源となったカフヴェハーネが600件以上もあり、治安に大きな影響を及ぼしていたのだ。

当初こそ単にコーヒーをたしなむ場だったカフヴェハーネは、年月を追うごとに社交の場の意味合いを強め、政治的な議論が繰り広げられることもあれば、怪しい男たちの集いの場となるようなこともあった。

ロバート
カフェは今でも社交の場だしな…あと女の子をハントする場だぜ!

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さらに喫茶店といえば想像に容易いようにタバコが付き物で、そのイメージはよろしくない。こういったことから街の治安を低下させているとみなされたことも、コーヒーが禁止される一因となったのである。

ムラト4世はコーヒーやタバコだけでなく、酒はもちろん、夜に街を出歩くことすら禁止にしている。要するに不良っぽいことを一切許さない、超真面目な指導者だったのだ。

ちなみにトルコに600件以上ものカフヴェハーネがあったのは、そもそもコーヒーのルーツがトルコだからである。コーヒーがヨーロッパに伝わったのは、トルコとの交易を通してのこと。コーヒーを世界へ広めた国でコーヒーが禁止されるとは、これまた妙な因果である。

エイミー
トルココーヒーはユネスコの無形文化遺産に登録されているくらい、歴史的なものなのよ。

今はひとつの都市に600件もあるなんてことはないが、トルコでは本場流の一風変わったコーヒーを飲むことができるぞ! 以下に動画を紹介しておこう。

ロバート
へぇ~、トルコでは砂糖たっぷりの濃いコーヒーを飲むんだな!

炭火で湯を沸かしていることもそうだが、そもそも火にかける前に砂糖やコーヒーの粉を入れるのが独特である。砂糖を大量に入れる割に、苦みの強い味わいだというぞ。

【追加雑学】ムラト4世はトルコを立て直した救世主

コーヒーを飲んだら死刑という法律のインパクトが強すぎて、ここまで過激なイメージしかないムラト4世。最後に少しフォローしておくと、彼はそのイメージに反して優れた指導者であり、今でもトルコには英雄視する人が少なくない。

ムラト4世が君主の座に即位した当時の帝国は、政治的なシステムもぐだぐだな状態で、民衆の暴動が絶えず、衰退の道を辿っていた。彼はそんな堕落しきったトルコを、数々の政策を用いて立て直した人なのだ。コーヒーの禁止令もその一環である。

エイミー
あとムラト4世は大のタバコ嫌いで、これも厳しく取り締まっていたのよ。

国力を見事に回復させたムラト4世は、イラク領の奪還現在のイランに当たるペルシアとの和睦など、外政においても多くの功績を残した。まさに17世紀のトルコにとって、救世主のような存在だったのだ!

路頭に迷った国を立て直すには、ときとして思い切った改革も必要ということか…。なんにせよ今となっては嘘のように感じる法律が秩序を保った時代があったことは興味深い。

コーヒー禁止の雑学まとめ

17世紀のトルコでは…コーヒーを飲むと死刑になった…【ムラト4世】についてのトリビアまとめ

17世紀のトルコでは、イスラムの教えを厳格すぎるほどに守ろうとした君主、ムラト4世によって、コーヒーが禁止されていた。しかも破れば海に沈められるほどの重罪だ。

宗教的なことを踏まえると難しい側面はあるが、これはコーヒーというよりも、コーヒーを飲みにやってくる人たちが作り出す場の雰囲気が問題視されていたということだろう。現代のカフェはオシャレなイメージが強いが、国によっては物騒な時代もあるものだ。

ロバート
オレ、現代のアメリカに生まれてよかったぜ…。コーヒーを自由に飲めるからな。
エイミー
そうね。ところでロバート、かつてとある国では、コーヒーが刑罰に使われていたことがあったのよ?
ロバート
オイオイ、処罰の対象かと思ったら今度は処罰に使う道具って…コーヒーも大変な歴史を歩んでるんだな…。

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