みなさんは「フランダースの犬」を見たことがあるだろうか。こどものころに「世界名作劇場」のアニメで見たことがあるという方も多いだろう。
また、ときどき放送される「懐かしの何とか~」みたいな番組でも取り上げられることもある。
知らない人の方が少ないであろうこのフランダースの犬、実は日本語版の名前が原作とは違っていたということをご存じだろうか。
今回は、懐かしの人気作品・フランダースの犬についての雑学を紹介していくぞ!
【面白い雑学】"フランダースの犬"の日本語版にはネロとパトラッシュが登場しない。
【雑学解説】「フランダースの犬」のあらすじと日本語版
フランダースの犬は主人公の少年ネロと犬のパトラッシュのお話である。その二人(一人と一匹)のことは知っているが、ストーリーはあまり知らないという方のために簡単にご紹介しておこう。
絵の大好きな少年・ネロは貧しいながらもおじいさんと犬のパトラッシュの三人で一緒に生活をしていた。しかしネロは仕事を奪われ、放火犯の濡れ衣を着せられてしまう。
おじいさんは亡くなり、家賃も払えなくなったネロは家を追い出されてしまった。クリスマス前に行われる絵画コンクールに望みをかけていたが、それも落選。
絶望の中、ネロは一度見てみたいと思っていた絵画を見るために大聖堂に向かった。外は雪が降り、衰弱していたネロは念願の絵の前で、パトラッシュを抱きしめながら命を終える。
実はその道中、落し物のお財布を持ち主に届けていたネロ。それを知った持ち主は今までのネロへの仕打ちや非礼を詫び、身寄りのなくなったネロを引き取ろうと決心する。
また惜しくも落選したネロの絵が、著名な画家の目に留まり、その彼の才能をかって引き取りたいとも申し出た。
しかしすべては手遅れであった、という内容である。テレビで放送されたあの最後のシーンに涙した人も多いだろう。
日本語版「フランダースの犬」は、清(きよし)とぶち?
フランダースの犬は、イギリスの作家であるウィーダが1870年に書いたものである。日本に初めて翻訳されてはいってきたのは明治41年。1908年のことだ。
翻訳者は日高善一さん。この当時、外国の名前は日本人にとってなじみのないものだった。
そこでとった方法が、名前を日本名にするということだったのだ。実際、発売されたこの日本版は登場人物の一人である「ルーベンス」を除いてすべて日本名になっている。
ルーベンスはネロがあこがれた画家の名前だ。
ちなみに主人公の名前は「ネロ」だが、日本名では「清(きよし)」である。パトラッシュも「斑(ぶち)」と名付けられているのだ。
スポンサーリンク
【追加雑学①】フランダースの犬で「清」という名前が使われた理由
正直なところ、現在の私たちからすればなんでこんな名前なんだろう? と首をかしげたくなるようなチョイスである。
翻訳者でもある日高善一さんの好みかと思いきや、そこにはしっかりと時代背景に沿った選定があったのだ。
今ではよく見かける名付けランキング、実は明治45年から行われていた。この本が翻訳されたのは明治41年なのでランキング自体が発表されていたわけではないが、実際大きくランキングが変わっていたということは考えにくい。
そしてネロの名前にもなった「清」は、明治45年の男の子ランキングでは第2位。フランダースの犬は、当時の人気ネーミングをしっかりと反映させたということだ。
ちなみ第1位は「正」。
では、今ネロに名前をつけるとなった場合、「赤ちゃんの名前ランキング」男の子&女の子の1位」から考えると、当時「清」が2位だったので、ネロは「ひろと」になる。
またパトラッシュは、現在の犬の名前ランキング1位からとったとすると「ココ」になる。
「ひろと」はなんとなく大丈夫そうだが、「ココ」は違う気がする。「ココ」だと小型犬なイメージが強すぎる。パトラッシュは「ココ」感がなさすぎる。
そう考えると「清」と「斑」は、イメージにもあったしっくりくる名前だったということが感じられるのではないだろうか。
【追加雑学②】フランダースの犬は、実は短編だった
テレビアニメで認識している方にとっては、ちょっとびっくりな事実がある。実はフランダースの犬は短編なのだ。
連続アニメなので、なんとなくストーリーも長編なのかと勘違いしていた。実際は児童書の短編で、とても短いものだった。
アニメでしか見たことのない方も、一度本書の方も読んでみてほしい。アニメの良さと小説の良さ、どちらも味わってみるのもいいかもしれない。
「フランダースの犬」の雑学まとめ
いかがだっただろうか。今回は有名な「フランダースの犬」についての雑学をご紹介した。
ちなみに私は、リアルタイムでこのアニメを見ていたわけではなかった。調べてみると生まれる前のことだったらしい。
だがこのオープニングはやはり懐かしいと感じる。みなさんもそんな気分を味わってみてほしい。
おすすめ記事
-
ネロごめんよ…本場ベルギーでは"フランダースの犬"は人気がない
続きを見る