草食動物

超大移動!ヌーは一年間で日本横断と同じ距離を歩き、けっこう死ぬ…

雑学カンパニー編集部

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ヌーは一年間で日本を横断する距離を移動するという雑学

ヌーはアフリカに住む草食動物の一種で、有蹄類(ゆうているい)の仲間である。嗅覚が優れており、非常に遠くの雨の匂いを嗅ぎとることができるという。

ヌーは一年のあいだに、非常に長い距離を大集団で移動する動物であり、その移動中に大勢のヌーが命を落とすという。一体どのくらいの距離を移動するのだろうか?

ヌーが移動する距離や、ヌーの大移動が意外な恩恵になっているという雑学をご紹介しよう。

【動物雑学】ヌーは一年間で日本を横断する距離を移動する

ウサギちゃん
ヌーって、ライオンくんの好物って言ってたよね…。
ライオンくん
そうだぜ。でっかくて食いごたえがあるしな。ヤツらは雨の少ない時期になると、草を求めて大移動を開始するんだ。1年間に同じルートを往復することになるんだが、その距離は日本を横断するのとほぼ同じくらいなんだぜ!

【雑学解説】ヌーは餌や水を求めて大集団で3000キロを移動する

ヌーは餌や水を求めて大集団で3000キロを移動するというトリビア

ヌーはアフリカに生息する草食動物で牛の仲間である。体は牛とカモシカを組み合わせたような特徴があり、大きなものでは300キロ近くになる。

ライオンやワニの餌食になることが多く、子供は小型のリカオン(イヌ科)にも狙われるなど強い生き物ではない。かつては尾が白いオジロヌーも生息していたが、現在は保護区にいるのみで、事実上野生のものは尾が黒いオグロヌーだけだ。

ヌーは、雨が降らなくなると草が少なくなるため、草が豊富な土地に移動するのだ。この大移動を行うヌーの群れは100万頭にもなり、一年間で移動する距離はなんと3,000kmにもなるという

ライオンくん
オレからすると、ごちそうが大量に歩いてるってなもんだぜ!

これは、日本最北端の宗谷岬と最南端の沖ノ鳥島を結んだ距離が2,854kmで、最東端の南鳥島と最西端の与那国島を結んだ距離は3,142kmである。

つまりヌーの大移動は、ほとんど日本を縦断する距離なのだ。ヌーは乾季に水と餌になる草を求めて移動するわけだが、これだけの大集団が移動するのだから大変な騒ぎになる

草を食べる草食動物はヌーについていくメリットがあるため、シマウマなどが集団に加わることもある。

当然、肉食動物もこの集団を狙うことになり、移動の途中にある川ではワニが待ち構えているのが確認されている。人間もこの大移動を見物しようとツアーも組まれるという。

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【追加雑学①】大移動で死んだヌーの死体が栄養となって周辺の生態系を支えている

ヌーの大集団は、溺死する危険の高い川を横断することが多い。リスクを冒しても川に入る理由は匂いを消すことで、肉食動物の追跡をかわそうとしているといわれている。

下の動画は、ヌーが川を横断する様子を撮影したものだ。ものすごい数のヌーが、川を移動する様子は壮観である。同時に長い川を横切るのが危険であることもわかる

ウサギちゃん
たしかにシマウマもヌーの群れに混じってるね。

ヌーが川を横断するようになったのは、移動ルートの途中に牧場ができたためともいわれている。有刺鉄線が張られて道を塞がれたため、川を横断するしかなくなったのだ。

現在でも、有刺鉄線にヌーが突っ込んで死亡する例は少なくないという。集団が避けるのも当然だろう。川を横断する際に多数のヌーが川で溺死することになり、その死体の一部はワニの餌になるという

しかし、ワニが食べるヌーはごく一部に過ぎない。ヌーの死体の栄養は周辺の生態系を支えていくことになる。ヌーの骨はすぐになくなるわけではなく、7年の時間をかけてゆっくりと分解されていく

そのあいだに少しずつ、骨の中のリンが川の水に溶けだしていくのだ。リンは動植物の成長には欠かせない物質であり、さまざまな生物が生きていくのを支えていく。

ライオンくん
ヌーの肉はオレたち肉食動物が食うけど、骨だって他の生物にとって大事なものだったんだな。

さらに骨の表面には、大量の微生物が集まり膜を作る。この微生物も川の魚の食料になり、川の魚を育むのだ。

溺死したヌーの栄養分がどんな形で、他の動植物の糧になっているのか完全にはわかっていない。しかし、その栄養分の半分だけでも、非常に多くの動植物を育てていることがわかっているのだ。

【追加雑学➁】ヌーが大移動するのは本能ではなく文化である

ヌーが大移動するのは本能ではなく文化であるというトリビア

人間は、動物の行動を本能によるものと考えがちである。しかし、ヌーが長い距離を移動するのは本能ではなく、文化と考える学者がほとんどだ

渡り鳥は非常に長い距離を移動する。渡り鳥の移動は遺伝子に記憶されたものであり、生まれたときから、移動を開始する時期と場所を理解していると考えられている。

実験室で生まれ、親のいない渡り鳥でも、時期が来たら正しい方角に移動しようとするからだ。渡り鳥は生まれたときから、渡り鳥なのである。

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しかし、ヌーを始めとした長距離を移動する有蹄類は、生まれたときからどこに移動するのか理解しているわけではない。有蹄類は幼いころに母親の後をついて回ることで、空間的な記憶を受け継ぎ移動ルートを学ぶと考えられている。時間をかけて移動方法を学んでいくのだ。

そのため何らかの理由で、今までの移動ルートが使えなくなると移動できなくなる。数が減少した有蹄類の個体数を回復するため、人間の手で別場所に移動させられるケースがある。

別の場所に移動させられた有蹄類は、次の移動先やルートがわからないため、自分の意思で移動することはないという。ただし、移動先を知っている仲間がいれば、移動ルートを学ぶことができるという。有蹄類が本能で移動しているわけではない証拠である。

方角がわかっていれば、今までの移動ルートが使えなくなっても有蹄類は移動を行う。しかし、安全なルートを見つけるのには時間がかかるため、途中で死ぬことも増えるという。

安全な移動ルートは、有蹄類が世代を重ねることで作り出した文化なのである。

ウサギちゃん
生命の危険を伴う大移動だから、親から子へ代々受け継がれていった確実に安全なルートをたどりたいっていうのは本能だよね。

雑学まとめ

超大移動!ヌーは一年間で日本横断と同じ距離を歩き、けっこう死ぬ…という雑学まとめ

ヌーの大移動に関する雑学をご紹介した。ヌーは非常に長い距離を移動することになるが、そのルートはかなり危険なものだ。以前はもっと安全なルートを通っていたと考える専門家も多い。

しかし、大勢のヌーが死ぬことで、多くの動植物を支えていることも確かなのだ。ヌーが安全なルートを見つけたとき、アフリカの生態系に大きな影響が出るのかもしれない。

ライオンくん
オレたちは厳しい自然の中で生き残りたいっていう本能で動いてるけど、死ぬことも自然を支える上で必要なんだな…。
ウサギちゃん
そうだね…。ボクたちは他の生き物の死によって生かされている。だからこそ、自分も他の生き物の命も大切にしたいよね。

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