あらゆるスポーツにおいて、スタートがあればゴールがあり、スタートとゴールはセットとして成り立っている。しかし、マラソンのゴール地点などに掲げられたアーチを見ると「Finish」の文字が…。これは一体どういうことだろうか。
実はスポーツにおいて、スタートの反対はゴールではない。
これまで日本では、多くのメディアで「GOAL」の文字が使われてきたが、世界的に見れば、公式な場ではそのほとんどが「Finish」で表記されているのだ。
日本でも日本陸上競技連盟が80年代に規則変更をし、陸上競技においてはゴールでなくフィニッシュを用いることを定めているのだが、あまり定着していないのが現状で、陸上競技のテレビ中継などでも、実況はいまだにゴールという表現を使っている。
では、ゴールとフィニッシュ。その違いが説明できるだろうか…? 今回の雑学ではこの違いについて取り上げていくぞ!
【スポーツ雑学】スポーツにおけるスタートの反対はゴールではなくフィニッシュ
【雑学解説】ゴールとフィニッシュの違い
言葉の意味として、ゴールには目標・目標地点などの意味があり、「マラソンを5時間で完走しよう」や「100m走を10秒で走れるようになる」など、その競技において目標としている事柄がゴールという位置づけになる。
一方フィニッシュは、その競技をやり遂げて終了したことを表す言葉となり、「マラソンで完走した」「100m走を走りきった」など、やり遂げた瞬間がフィニッシュという言葉で表現される。
つまり、陸上競技においてはフィニッシュ=ゴールではない。
さらにゴールとフィニッシュは、球技だとより顕著になる。たとえば、サッカーの試合をイメージしてほしい。
試合開始の笛が鳴り響いたところがスタート。サッカーなどの球技では一試合での得点数を競うため、目標である得点を取ったところがゴール、そして試合終了の笛が鳴ったところでフィニッシュとなるのだ。
このように、球技はそれぞれが独立しているのでわかりやすいのだが、陸上競技の場合、目標地点と競技の終了が同じところにある場合が多いので、余計にややこしい。
ちなみに80年代の日本陸上競技連盟の規則変更で、これまで「ゼッケン」と呼ばれていたものも「ナンバーカード」と称すように改められたが、こちらも全く定着していない。
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【追加雑学】フィニッシュになるのは体のどの部分が通過したとき?
では、陸上競技においては、どの瞬間がフィニッシュになるのだろうか。もちろん、フィニッシュラインを通過した瞬間が文字通りフィニッシュになるのだが、こんな説明では不親切極まりない。
陸上競技のフィニッシュは、5cm幅のフィニッシュラインの一番手前を、トルソー(胴体)が通過した瞬間がフィニッシュとなる(頭はトルソーに含まれない)。陸上選手がフィニッシュライン手前で胸を突き出しているのはこのためだ。
他方、トラック外で行われる競技であるマラソン・ロードレース・競歩などでは「トランスポンダーシステム」による計測が行われ、選手は極軽量のチップやタグと呼ばれる小型発信機を身につけ、それがフィニッシュラインを通過した瞬間をフィニッシュとしている。
このシステムにより、途中地点の通過タイムなども正確に計測できるようになった。この小型発信機は胸のナンバーカードのほか、シューズに装着することも認められている。
そのため競り合いのフィニッシュになったとき、発信機が胸についているか、シューズについているかで、見た目の順位とタイムの順位が逆転してしまったという事象も発生しており、一長一短である。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。スポーツにおいては主に得点を得ることをゴールと位置づけ、その競技の終了をフィニッシュとしている。日本陸上競技連盟はこれに則り、日本での呼称の変更を試みたが、ゴールとフィニッシュの正確な使い分けが日本中に浸透するのはまだ先のことになりそうだ。
目標の達成をゴールと呼び、目的の終了をフィニッシュと位置づけるならば、人生においてはまだまだフィニッシュに到達したくないものである。
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