私たち日本人は箸を使って食事をすることが多い。メニューによってはスプーンやフォークを使うこともあるが、なんでも器用に箸でつかむ。
考えてみれば、あんな細い棒二本で食事をするなんてだいぶ難易度が高いことをしている。他にもいい方法、あっただろうに…。箸を考えた人はマゾヒストなのかもしれない。
とにかく道具を使ってものを食べるのが日本での「普通」でありマナーだ。目の前の人がいきなり手づかみで食事をしだしたら困惑してしまうだろう。
ところが世界に目を向けてみると、道具を使って食事をすることは必ずしも「常識」とはいえないのだ。今回は世界の食事法についての雑学をご紹介していくぞ!
【世界雑学】世界の40%は食事を手で食べる
【雑学解説】世界の三大食事法「手食」「箸食」「ナイフ食」
世界には大きく分けて3つの食事法がある。
日本・中国・台湾・ベトナム・朝鮮半島などで取り入れられている「箸食」、ヨーロッパ・ロシア・アメリカなどが主流の「ナイフ食」、そして東南アジアやアフリカ、中近東で使われている「手食(てしょく)」。
箸食は箸を主に使用する食事。日本人にとっては馴染み深い文化だ。ナイフ食は、ナイフやフォーク、スプーンを使う食事法だ。フレンチやイタリアン、洋食で私たちも日常的に使っている。そして手食は手を使って食べる。
私たちは、基本的に箸やナイフなど道具を使って食事をするので、すべて手で食べるのは馴染みがないが、実は世界的に見ると手食人口の方が多い。
手食が約40%、箸食とナイフ食はそれぞれ約30%だ。
この違いは宗教・文化的な側面も強いが、食べている料理の性質にも出る。たとえば、パサパサしたタイ米などは手のほうが食べやすいし、粘り気の強い日本の米は箸でつまんだほうがきれいに食べられる。厚い肉はナイフで切りフォークで突き刺したほうが簡単だ。
このように、それぞれの食文化に合わせた食べ方を人々は選んできたのである。
ちなみに箸食が一般的な日本では、手で食べたらお行儀が悪いとされている。そのためか「手食」と聞くとワイルドなイメージだが、日本でも手食は身近に存在するのだ。たとえば寿司やハンバーガー、パンにおにぎり。手で食べるでしょ?
そう考えると手食がそんなに奇天烈なものではないのがわかる。
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【追加雑学①】結構厳しい!世界の手食マナー
一見ワイルドな手食だが、実はマナーが結構あるのだ。国によって様々なのでここではインドの手食について紹介しよう。
そもそもヒンドゥー教では、神から与えられた身体こそが最も清いものだという考えがある。そのため食器よりも手の方が綺麗だとされているのだ。
そしてその手も、右と左で意味が変わってくる。右手は清いのだが左手は不浄とされているのだ。そのためまず、左手は使わない。右手だけで食べる。さらに、使っていいのは人差し指・中指・親指だけ。それも第2関節までしか許されていないのだ。
詳しいカレーの食べ方はこの動画を見るとよくわかる。
やってみるとわかるのだが、意外とこれが難しい。手食も手食で習得するのは難しいのだ。
【追加雑学②】箸だけを使って食事をするのは世界で日本だけ!
アジア圏でしばしば用いられる箸食だが、箸食文化の国々にも違いはある。なんと、完全に"箸だけ"を使って食事をするのは日本だけなのだ。
私たちはなんの気なく、並べられた夕飯の前に箸置きひとつと箸1膳だけを用意する。ごはんもおかずも汁物も、全部箸を使って平らげてしまうが、他の箸食文化の国はそうではないのだ。
中国では汁物にはレンゲを使うし、韓国ではごはんものに匙を使う。そういえば、中華料理店も韓国料理店も、箸1膳だけでは済まない。
指先のこまやかな感覚が要求される箸。生真面目で几帳面な日本人の性質と合ったのか。箸の発祥は中国といわれるが、いちばん愛されているのは日本なのかもしれない。
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雑学まとめ
今回は世界の食事法についての雑学を紹介した。
「ナイフ食」が世界的に多いと思っていたので「手食」の多さには驚いた。
ナイフを使う民族も、箸を使う民族も、もともとはみんな手食だったのだから、いまだに一番なのはある意味もっともなのかもしれない。
シンプルなようで奥深い手食の世界、ぜひ体験してみるのもいいだろう。
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